第9話
ビュンビュン丸は見事に飛び立ち、空中要塞へと突き進みました。
「マグナムトルネード!」
襲い来る悪魔たちをなぎ倒し、三人は遂にONIGASHIMAへと突入しました。
「ランディ、いつものいくぞ」
「ん?」
リンゴ太郎は、とりあえずランディを一刀両断しました。
「アギャーッ!これを『いつもの』にすんなッ」
入ってすぐに、男が立っていました。
「久しぶりだな・・・待ってたぜ」
「・・・ッ!」
それは悪魔の配下となった狂戦士・絶影でした。
「リンゴ太郎、ランディ。ここは私に任せてくれ」
「言われなくてもそのつもりだぜ!」
リンゴ太郎は言いました。
「よし、じゃあ俺はランディと戦うとするか!」
「いや何で!?お前どんだけオイラをイジメたいの!?」
「いくぜ桃太郎!『冷凍糞』!」
吹雪が桃太郎を襲いますが、桃太郎は素早くそれを防ぎます。
「『朱雀炎舞』!」
何と桃太郎は自らの体を、炎に包んでしまいました。
リンゴ太郎は言いました。
「あいつ・・・ドMだったのかっ!」
「これで私に吹雪は通用せんぞ」
絶影はニヤリと笑い、絶輪を繰り出しました。
「破ッ!」
桃太郎は左手に闇の力を集め、氷の輪を破壊しました。
リンゴ太郎は言いました。
「あいつあんなに強かったの!?いつもランディをイジメてるだけなのに」
「それはお前だ・・・」
「やるな!『キンキンボール』!」
大きな氷の玉が、桃太郎を襲いました。
「略して金玉か!」
真顔でそう叫ぶ桃太郎は、とても滑稽でした。
「『満月』!」
桃太郎は刀『真月』で円を描き、キン玉を破壊しました。
所でどいつもこいつも、技に名前を付けるのが好きなよーです。
「面白いぜ、新技を見せてやる!『朝青龍召喚』!」
「何っ!?」
何と冷気が集まり、太った氷の龍が現れました。
「ハァ〜イ☆アタシ特別ゲストよんっ」
しかも何かウザい性格のデブ龍でした。
「岡本ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
謎のwordを発し、桃太郎を闇が包みました。
「はっ!」
そして桃太郎は、またまた悪魔モモタロイザーへと変身しました。
「いやぁ〜ん☆怖い〜」
ドデブ龍の顔の方が怖いです。
「うおおおーっ、痩せろ―――ッ!」
モモタロイザーはクソデブ龍を一刀両断しました。
「いやぁ〜ん☆もう出番終了ぉ〜?」
黙って死ね!
ランディは今回は標的にされずに済み、安心していました。
「安心するのは早いZe☆」
リンゴ太郎はランディに斬りかかりましたが、ユニコーンブレードに止められました。
「(この家畜・・・ッ!)」
リンゴ太郎に殺意が芽生えました。
「いや何で!?オイラ何か悪い事した!?」
「次は・・・お前だッ!」
モモタロイザーは、絶影に斬りかかりました。
ランディはロシアンルーレットで勝った気分でした。
リンゴ太郎は、ハナから自分が攻撃されるとは思ってもないようです。
彼は日頃の行いが善い(と思っている)ため、ハチに刺されることも雷に打たれることも無いと思っています。
リンゴ太郎の顔を見て全てを悟ったランディは思いました。
「(何てポジティブなガキなんだ・・・)」
モモタロイザーは、遂に絶影に一撃を与えました。
「ぐはっ!」
「どうした、もう終わりか?」
「なめるなっ!」
絶影は後ろに下がり、両手を前に突き出して叫びました。
「『氷機関銃』!」
いくつもの氷の玉が、モモタロイザーを襲います。
「ぐっ・・・ぐわしっ!」
奇妙な声を上げて、モモタロイザーは倒れて桃太郎に戻りました。
「ふん、甘かったな桃太郎」
リンゴ太郎が、一歩前へと出て言いました。
「おい絶影、次は俺と戦ってみないか?」
「お前は確かリンゴ太郎か。桃太郎より強いのか?」
「やってみりゃわかるさ」
「・・・いいぜ」
リンゴ太郎は上手く絶影を挑発し、タイマンに持ち込みました。
「リンゴ太郎・・・」
瀕死の桃太郎を担ぎながら、リンゴ太郎は言いました。
「『仲間』だって、お前の力の一つだ。俺が奴を倒せば、お前が倒した事になるさ」
「・・・すまん」
何かいつの間にかリンゴ太郎が良い奴になってました。
「いくぜ絶影!」
リンゴ太郎は刀を抜き、絶影に突進します。
「早い!」
さすがはリンゴ太郎、昔ピンポンダッシュで鍛えた足は最速です。
しかしリンゴ太郎の刀は、絶影の氷に防がれました。
「・・・『ライオンヘッド』!」
油断した絶影に、リンゴ太郎の頭突きがヒットしました。
「たまには主人公らしく活躍しないとなっ!最近バカ馬も強くなってきたし」
この旅は、ニート少年を少しは立派に育てたようです。
「やるな!『暴鬼』!」
絶影は氷の柱を作りましたが、リンゴ太郎は既にパンツを脱いで準備完了です。
「ボッキってのは・・・こうやるんだよ!」
リンゴ太郎の見事なチンコは、氷の柱を打ち砕きました。
続いて絶影は大暴威を繰り出しましたが、リンゴ太郎はそれを一刀両断しました。
「主人公は俺!」
そして悪魔リンゴタリオンへと変身し、勝手にキレ始めました。
「悪いのは俺じゃなくてムカつく社会だ!ニートだって良いじゃないかっ!」
「この怒り・・・大事な仲間を傷付けた、貴様で晴らすっ!」
リンゴタリオンは絶影に向かって飛翔し、一刀両断しました。
「ぐはあっ!馬鹿な、この俺がッ」
「そう、働かないんじゃないんだ。働けない体質なのさ・・・」
リンゴタリオンはそう呟き、ゆっくりとリンゴ太郎へと戻りました。
「やったな!」
ランディはリンゴ太郎のもとへ走ってきました。
「なぁ家畜よ、いい加減な・・・パターンを読めッ!」
リンゴ太郎は、やっぱりついでにランディを一刀両断しました。
「何故・・・殺さん?」
絶影は、リンゴ太郎に問いかけました。
「お前はこのリンゴ太郎にとっての猿だからだ」
「・・・?」
「お前は桃太郎を殺しはしなかった。だからだ」
「・・・甘いぜ」
絶影はゆっくりと、目を閉じました。
「立てるか、桃太郎?」
「ああ、もう大丈夫だ」
「よし、奥へ行くぞ!最終決戦だ!」