第2話
って、完ではありません。
ヘルハザードが魔界から呼び寄せた悪魔たちによって、世界は少しずつ破壊されていました。
ある日リンゴ太郎たちの住む家に、傷付いた桃太郎が現れました。
「じいさん、ばあさん!私だ・・・リンゴ太郎を」
「お前は桃太郎!どうしたんじゃ、その傷は」
「ちょっと・・・な」
「どうせお前のことじゃ、その辺で転んだんじゃろう!アホじゃのー」
「それとも修行中に油断したのか?アホじゃのー」
「アホじゃのー」
「全くアホじゃのー」
桃太郎はおじいさんとおばあさんを一刀両断し、奥の部屋に向かいました。
「リンゴ太郎!」
そこで彼が見たものは、髪もヒゲも伸び放題の弟の姿でした。
「お、お前・・・」
「はっはははハルヒ萌え〜」
彼の眼前にはディスプレイ、左手には己が一物、右手にはマウス。そして近くにはティッシュ。
「完全装備ではないか・・・ッ!」
桃太郎は驚愕しました。
「リンゴ太郎、世界の情勢は知っているだろう!」
リンゴ太郎は鼻糞をほじり始めました。
「だが恐ろしいのは悪魔たちだけではないのだ!」
リンゴ太郎は屁をこき始めました。
「絶影という男に会った・・・奴の邪悪な力は、きっと世界を脅かす」
リンゴ太郎は叫びました。
「はうあっ!」
「どうした!?」
「ガスを出そうとしたら・・・実が・・・」
桃太郎はリンゴ太郎を一刀両断しました。
桃太郎はリンゴ太郎の髪とヒゲを処理してやるという優しさを見せ、話を続けます。
「手を貸すのだ、リンゴ太郎!私たちが組めば、世界はきっと救えるはずだ」
「でもなー、前に世界を救ったときも結局モテなかったし・・・」
「それはお前がブサイクだからだ。私はモテた」
「・・・」
「リンゴ太郎、頼む。協力してくれるなら、私が女を紹介してやる」
「本当か!よっしゃ行くぜ桃ちゃん!」
相変らず単純さはMAXでした。
おじいさんとおばあさんを安らかに眠らせ、二人は旅立ちました。
「おいおいわしらが死んだみたいじゃないか!それにわしらの出番これで終りょ」
無視して話は進みます。
「リンゴ太郎、お前はかつて仲間だったあの馬を連れてきてくれ。私は絶影の後を追う」
桃太郎はそう言って、東へ旅立ちました。
リンゴ太郎は久々に馬刺しを食べたくなり、西のギンギンシティへと旅立ちました。
ギンギンシティ――
大都会に独り足を踏み入れた田舎のアホ・・・もとい、リンゴ太郎。
そこに一台の高級車が通りかかり、停車して窓が開きました。
「おっとそこにいるのはいつかのリンゴ何とかさんじゃないですか!誰だっけ?椎名さんだっけ?」
「か、家畜ッ」
「おやおや随分貧しそうな格好をしていますねえ。実に哀れだ」
「お、お前本当にランディか・・・?」
「では失礼!貧乏人とは違って、わたくしは忙しいのでね」
高級車は走り去って行きました。
「バ家畜・・・許さん!」
リンゴ太郎に殺意が芽生えました。
ランディの住む場所がギンギンタワーだと特定したリンゴ太郎は、塔の最上階へと向かいます。
さすがは元・勇者。彼がその靴を脱げば、その悪臭で大抵のセキュリティは破壊できます。
「おい馬鹿馬!」
ややこしい字です。
「た、助けてくれリンゴ太郎〜」
何とそこでは、ランディが悪魔に襲われていました!
「いい気味だ」
リンゴ太郎は塔を下りていきました。
「って、待て待て!助けてくれよリンゴ太郎、金ならいくらでも払うから!」
「クックック、この街の神として君臨する貴様が死ねば、この街は崩壊する・・・覚悟!」
「待ちな悪魔」
「!?・・・貴様、俺様と戦うつもりか?」
「ランディ・・・俺はお前の腐った金なんか要らん。だが他に欲しいものがある」
「な、何だ・・・?」
「お前のウンコだ」
「スカトロロ〜ン!げっ、下品ザマス!」
会話を聞いていた悪魔が狂っている間に、リンゴ太郎はランディを急かします。
「さあ早く糞を出せ!」
「こ、このわたくしが大便など・・・」
「迷ってる場合じゃないだろ!誰かが汚れないと、この街は助からないんだよ!」
「はっ・・・」
何か大事なことに気付いたランディは、巨大なウンコをひねり出します。
「よくやったランディ!ここからは俺が汚れる番だ!『ビッグバン・うんこ』〜!」
巨大なウンコを両手で持ち上げたリンゴ太郎は、それを悪魔へとぶつけました。
「くっせぇぇぇ〜!!!!!」
かくして悪魔は倒れ、リンゴ太郎はランディとこの街を救いました。
ランディはリンゴ太郎に言いました。
「ありがとうリンゴ太郎・・・わたくしの、いやオイラの心はいつの間にかおかしくなっていた」
「わかれば良いんだ」
リンゴ太郎はランディの頭を優しくなでました。
頭上がウンコまみれになったランディは、言いました。
「リンゴ太郎はまた世界を救う気なんだろ!?オイラも連れていってくれ!」
「もちろんだ!行くぞバ家畜、桃太郎の所へ!」