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乙女転生―悪役令嬢REPLAY―  作者: せおはやみ
REPLAY―幼女転生編―
8/75

憧れますわ

 王妃メアリー様。


 私が理想とする淑女。


 前世でに『泥団子をぶつけられたショックの余りに涙してしまった』私に優しく接して下さり、息子である王子を投げ飛ばしたお方。それからも何かと機会があればお招き頂き、私の事を可愛がってくれた第二の母親のような方。

 前世で8歳の頃に亡くなられた時には、私も余りのショックに寝込んでしまいました。


 そのメアリー様が私の目の前に立っておられる。


 それだけでもう泣きそうですわ。


 二度と、そう二度と会えないと思っておりました。


 メアリー様……今生では必ず貴方の息子である第一王子も立派にして見ますわ。


「マ、母上、ですが!」


 今ママって言いそうになりましたわね、5歳ですから許されますが……やはり、まあメアリー様が亡くなられた事が原因で、更に大事に育てられて傲岸不遜になっただけありますわね。


「もしも、貴方が()()泥団子をヒルデちゃんに投げていたら、私が貴方を投げ飛ばしておりましたわよ? 貴方に私のお茶会に参加する資格はありませんわ、部屋に戻ってセイザしていなさい」


 ああ、私が紅茶を浴びせてしまったから()()豪快な投げを見られませんのね。


 しかし、王妃様……5歳児にセイザとは恐ろしい罰ですわ。


 たった数分で痛みが生じ、さらに続ければ足の感覚がなくなり、最後には立てなくなります。精神修行の一環でお姉さま(シショウ)と共にやっておりますが……普段が椅子文化の私達ではあの姿勢はまさに拷問。


 慣れない身で立ち上がろうとして鼻を擦り剥いたのは恥ずかしかったものです。


 懐かしいですわ、アルフレッド殿下は軍事訓練魔法学校での一番簡易な罰としてよくやられておりましたものね。


 女官長(元魔法騎士団所属)に連れて行かれる王子は少々哀れを誘うものがありますわね。


「あらヒルデちゃん、大丈夫」


 私としたことが、ずっと見つめていたからでしょうか。

 それとも思わず感動で涙が溢れそうになったのを誤解されてしまったのか……


「大丈夫で御座います王妃様」


 輝くような笑顔を向けて下さいました。


「ああ、ヒルデちゃんなんて可愛いのかしら。うちの子と取り替えたいわ」


 嬉しいですが流石に王子と交換はできないと思いますの。


「ねえシェリー私に下さいませんか」

「駄目で御座いますわ」


 突然の出来事に固まっておられたお母様もなんとか立ち直ったようです。まあ、娘が突然紅茶を浴びせた相手が『第一王子』だったら、お母様と言えども驚いてしまっても仕方ありませんわね。


「残念ですわねー。それにしてもこんなに可愛い子なのに、ずるいですわ独り占めなんて」

「ウフフフ、私とノイマンの子供ですもの♪」


 いけませんわ王妃様、それ以上いくとお母様のスイッチが入ります。


「相変わらずですが私とヘンリーも負けませんわよ?」


 忘れておりました。ふわっとした母もそうでしたが、王妃と王のお話はそれは甘いお菓子をこれでもかと詰め込んだぐらいのお話でしたものね。

 そうでした、私は一人でも王妃様によく招かれてこうやって膝の上に乗せられて可愛がられましたわ。

 ええ、身動きなど不可能なほどガッチリ抱かれておりますの。


「先ほどのやり取りも見事だったし、お嫁さんに来てほしいわ」

「もう、まだ早いわ。それにノイマンが自分を倒せる奴にしかやらないって意気込んでたし、フフフ、私の娘凄いでしょ?」


 そう、こうやって気に入られた私を息子の婚約者にする為だけに、お父様に対して国王陛下に頭を下げさせた王妃様がとかなんとか……。


 あら?


 王妃様に気に入られるのは構いませんが……このままでは婚約させられてしまうかも知れませんわ!


 駄目ですわ!

 

「泥団子を投げつける方は困りますわ。王妃様の子供になるのは嬉しいのですが……私の理想はお兄様ですの!」


 誰もが認めるハイスペックなお兄様……

 申し訳御座いませんが目標にして頂く山は高いに限りますもの。

 お兄様と同等の存在を提示すれば諦めて下さいますわよね?


「残念ですわー、もっと厳しく育てないと駄目ですわねー」


 オーッホッホッホッホ、成功ですわー5歳児ならではの意見ですわー。


「紳士としての振る舞いと心構えももっと勉強させますわ! 立派な青年にして必ずヒルデちゃんは娘に迎え入れますわ」

「そうねー、ヒルデちゃんのお婿様になって貰えるように頑張って! 貴女が浴びせた紅茶分はいい男性になって貰わなくてはね」


 王妃様は諦めが悪かった……お母様まで焚き付けないで下さいませんか?

 さっき固まっていたと思っていましたが、お母様、実は違うのですね!?

 もしかして私、第一王子からは逃げられない運命なのですか! やはり私の恋愛はありえませんの?

 と言いますか、王女殿下もいらっしゃいますでしょうに。

 膝の上で愛でるのは、勘弁して頂けませんでしょうか……

 私と違って王女殿下は可憐ですわよね、私可愛げなんてございませんわ。


 何もしなくても天使ですわよー!?


 ああ、あの方も毒牙から守らねばならないとなると少々大変ですわね。

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