表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
乙女転生―悪役令嬢REPLAY―  作者: せおはやみ
REPLAY―乙女恋愛遊戯編―
73/75

乙女遊戯ですわ

 私達が廊下に出た瞬間に会えたのはお兄様とレイチェル様。


「ヒルデ、アルフレッド殿下」

「お姉さま、お兄様も、ご無事でしたか」

「よくぞ妹を守ってくれた、礼を言おうマスティス卿」

「勿体無きお言葉でございます」

「レイチェル様、お兄様、移動しながら説明しますわ」


 そのまま簡単な事情をお話してエーリカ達の元へと急いだのですが、そこには傷ついて意識を無くしたクリストフと介護するデイヴィッド、そして二人を守りながら戦うジャンヌ達の姿がございました。


「なっ、貴様達! ジャンヌ無事ですかっ」

「私は問題ない、それよりもクリストフ様を!」

「お兄様達は加勢を、私とレイチェル様は治療を致しますわ」

「任されよ! ヒルデ嬢」

「フッフッフ、我が一族とその友人を狙うとは、百度殺す!」


 圧倒的に増えた人数で刺客を倒しましたが何分にも場所が教室などの限られた空間ではなく中庭でしたので騒ぎが大きくなってきました。騒ぎを落ち着かせる為、夜の妖精とシャロン達に生徒を誘導させて、事態の把握を急ぎました。

 とりあえずクリストフの治療を終わらせましたが、意識が戻らなければ状況が完全には分からないようですわ。


「済まない、間に合わなかった為に……」

「ジャンヌに責は御座いませんわ、それよりもクリストフ様を助けれた事を喜びましょう。貴方たちが間に合わなければ確実に命を落としておられたでしょう、それよりも事態の説明を……」


 私からの緊急事態発生のシグナルを受信して、偶然にも近くにいたジャンヌとデイヴィッドペアとエルリッヒ、ジョセフ、シャロン、テッサロッサが、クリストフの元へと急行し間一髪で間に合っただけ。

 エーリカについては恐らくですが浚われと見てよいでしょう。

 私達には毒を使ったことから殺害目的ですわね。

 そして毒を使って居なかった事からもエーリカとレイチェル様に対しては誘拐が目的とみて間違いございませんわ。お兄様がレイチェル様と一緒にいなければ危なかったですわ。


「そうなると、此方に敵は戦力をかなり割いたという事か」

「恐らくは私共の方は殺害か足止めが目的……」


 人数もかなりの割合がこちらに集中していたようで御座いますし。

 よくクリストフも無事で……


「このヒルデガルド・ルビー・スカーレットに挑んだ事……必ずや後悔させましょう」


 エーリカは必ず助け出しますわ。

 ええ、エーリカの位置は此方で把握できておりますもの。私の夏季休暇最後の日々の結晶ですわよ。夜の妖精も一人がなんとか着いていったようですし。

 黒幕には覚悟して頂かないといけませんわね。




 ウフフ、こんな近場に逃げ込むとは……

 まぁ木を隠すのは森の中、人から逃れるのもまた人の中と言う訳でしょうか。そのまま郊外へと向かえば確かに人目につき過ぎますものね。少しは知恵が回りますのかしら。

 私に挑むという暴挙で既に知恵などないと思っておりましたわ。

 フ、フフフ。


「やはり、貴方ですか……皇太子殿下?」

「これは、まさか生きておられるとはね、可笑しいな貴方は始末される運命の筈なのにさ」

「それよりもこんな事をされて無事にお帰りになれるとでもお思いなのですか?」

「ハハハ、何を馬鹿な事を言っているんだい、私は今エーリカ嬢を助けに来た所だよ」


 言動が一致しておりませんわね。

 心が壊れてしまわれている?

 ですが目は爛々としておりますし、油断も出来ませんわ。


「それにね、私は皇国の皇太子、誰が僕を裁くと言うんだい、一体何の罪で? 全く理解ができないね」

「では、その辺りにいるでしょう残りの暗殺者達にお聞きしましょうか?」

「その者達と私が繋がりがあると? ふふ、その者達が喋ればいいねえ、夏季休暇直後にも痛ましい事件があったけど犯人は全員死亡したんだっけねえ。ハハハハハ」

「いえ、既にもう全員倒して確保しておりますし、捨て駒であった事を知れば話も変わりますわ」

「フフフ、そうであるといいね」


 この男は自分が皇太子であり絶対に守られる存在だと勘違いをしておられますのね……

 哀れですわ……

 所詮は皇太子でしかないというのに。


「それにしても、不思議ですわね、皇太子殿下?」


 こういう方は二度と立ち直れない程に心を折らなければなりませんわ。

 人を不幸にする事に何の罪悪感ももたず、そう、遊戯でもするかのように人生を歩んでいる。

 そんな人物を私は認めませんわ。

 懐に差していた扇子を構えて片手に持って、さあ、所業を暴き、己の罪を悔い改めさせましょうか。

 私の番でしてよ。


「なんだ、何が不思議だと?」

「此処に、一枚の魔法通信書簡がございますのよ」

「フ、そんな書簡がどうしたと?」

「差出人はルナ王妃様、貴方の母上でしょう?」


 ここでその名が出るのがそんなに不思議ですか?

 私の事をご存知なのでしょうに。


「な、なぜ母の手紙を貴様が……」

「さて、この手紙にはこう書かれておりますの、皇太子が行方不明故に捜索を願う」

「ハハハ、何かの行き違いか、そんなものありえる話でなにも」

「そして、こうも書かれておられましたわ、帰国命令を出すも無視をし続けていた、今回皇国に皇太子は帰国していない。さて……皇太子殿下、貴方が我が国に帰国の暇乞いと学校の休学を届けられたという事は確認済みなのですが、一体この相違は何でしょうか?」

「フ、フフフ、アハハハハハ、そうか何だ、全部知られてるのかい。しかし君は本当に可笑しい人だよ、ああ色々と、君以外にも色々と変なんだ!」


 この方は、罪を認めても、其れを罪と思っていない、一体何が言いたいのです。

 私がというか何をもって変というのか。


「だいたいさぁ、どうしてこの私が留学する前にジャンヌとその男が婚約するなんて事になっているんだ! そんな話は無かった筈だ、そして何故留学直後にエーリカに婚約者候補などが存在した! おかしいんだよ、何もかもが、全部捻じ曲がって全てが否定されて! そして君だ、常に正論、圧倒的な有能さで他の人物から好かれ、慕われて、おまけにアルフレッドと仲が睦まじい? そんな悪役令嬢なんていない、可笑しいんだよぉ」


 この感じは……前世のエーリカ?

 あの前世のエーリカ嬢と対峙したときも私を否定されました。そんな正論で迫るような悪役令嬢など可笑しいんだと、実力を伴うなんて話が違うと詰め寄られた時に似ていますわ。


 何が彼女とこの皇太子に関係する事象なのかは不明ですが……

 戯言などで、この私の妹となったエーリカを浚いクリストフを傷つけた報いは受けてもらいますわ。


「貴方が何を思い、何をしたかったのか全く理解もできませんわ、貴方は処断されるのですよ」

「はっ、何が処断だ、皇太子である私を処断など「出来ますよ?」あぁ」

「貴方を便宜上皇太子とお呼びしておりましたけど、既に貴方は皇太子ですらない、存在もしない、そういう事に決まっておりますのよ?」

「まさか、貴様らこの私を暗殺する気なのか!? おい、お前たち助けろお」

「誰に助けを求めているのですか? 先程言いましたわよね、暗殺者達は全て抑えたと」

「ヒッ」


 そうですわよね、死ぬのは怖いでしょう。

 ええ、ですが貴方には貫く矜持もなにもありませんわね。


「貴方はエーリカに何を求めたのです、相手の何も知らずに近づくだけ……レイチェル様達になにがしたかったのでしょうね。その汚らわしい手をエーリカから離せ下郎!」

「わ、私を下郎などとっ」

「黙れ、何も持たない愚か者よ!」

「離さぬと言うならば……」


 爆音のように放たれる風の壁、扇子へと仕込んだ制圧用の一手。

 それを利用した高速移動と共に鳩尾を扇子で打ち抜き、エーリカから引き離しましたわ。


「こうして離せばいいだけのことですわ。薬を使って眠らせるなどと……レイチェル様、エーリカを頼みますわ」

「お任せくださいませ、お姉さま」

「そ、そんな馬鹿な。そうだそうやって慕われる悪役令嬢なんて……」

「少々黙って頂こうか、フィリップ」


 あら、アルフレッド様も参加されますの?

 こんな汚らわしい相手と会話すると品性が下がりますわよ。

 ええ、私は小気味がいいのでやっておりますが。

 一応は元皇太子、アルフレッド様が決着をつけたほうが宜しいかもしれませんわね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ