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乙女転生―悪役令嬢REPLAY―  作者: せおはやみ
REPLAY―乙女恋愛遊戯編―
66/75

話にもなりませんわ

 私達の日常も変化していきました。

 第一学年よりも厳しくなる訓練が待ち受けておりますもの。座学は変化も御座いませんが、基礎訓練が無くなり、その代わりに白兵戦などの実戦を取り入れ始めます。そして魔法の実技も大幅に内容が変わり、魔法を使った戦闘訓練、魔力切れまで続く射撃訓練などになります。


 夜の妖精の訓練に慣れている私達にとっては大した事でもありませんが、多くの生徒が死に絶えた様に倒れておりますわ。

 特に魔力が切れるまでの射撃などは厳しいでしょう。

 私達は保有する魔力量の問題で別メニューの訓練ですが、普通の魔力量ならば倒れるのも仕方ないですわね。

 魔力切れになると、体が魔力を補充する為に体力が消費されますし、欠乏状態では眩暈などが起こります。

 この時間、使わないように誤魔化す事ができませんのよね。

 実際に魔法を放たないといけませんから当然ですが。

 そもそも、この訓練の目的が自信の魔力量の把握と虚脱状態への慣れでございます。


 私達も経験した方が良いのでしょうが、恐らく私とエーリカは威力の相当強い魔法を放つか、複合した強力な魔法を放たなければ魔力を枯渇させる事ができません。それに、その様な魔法を放ち続ければ、訓練場がなくなりますもの、致し方御座いませんわね。


 ですがやはり不満に思う方はいらっしゃいますわよね……


「だから、どうして彼女たちだけ同じ内容ではないのだ?」


 そのような個人的な内容をペラペラと教官が話す筈も御座いませんでしょうに。

 説明する義務も責任も無く、敢えて言えば説明するべき事ではありませんもの。


「あら、同じ扱いが宜しいのですか?」

「当然だろう、これは不公平と言うものだ、校則で平等を謳っておきながら待遇に差があるなど認めることはできん」


 確か、リットン侯爵家の次男の方でしたか。

 成る程ですわね、下手に説明してもプライドを傷つけて面倒になりますわね。

 ならば私が引き継ぎましょう。


「私達がやっておりますのと同じ内容を受けるという事で宜しくて?」

「は?」


 あら、同じ扱いをされると思っておられませんでしたのかしら。

 でもこちらが貴方たちに合わせた内容だという事を解って頂いた方が早いですから。

 ええ、他の方々もついでにご確認頂けますものね。


「教官殿、あちらの授業をお望みだそうですから、一度指導してあげて下さいませ、詳しく説明するよりもその方がお分かりになられるでしょう」

「うむ、了解した。それが一番早そうだな」


 まあ、こちらで一時間持つのでしたら5分と言ったとこでしょうか。

 それぐらい持てばよろしいですわね、フフフ。

 では参りましょうか。


「まて、何故使う呪文が違う!?」

「この時間の魔法射撃で貴方がお使いになっていた魔法と、私の使っている魔法は別のものでしてよ。お分かりでは無かったのかしら?」

「同じにしか見えないぞ!」

「それは貴方の技量が低いからにすぎませんわね、さあお続けなさいませ」


 まぁ5分持ちませんでしたのね、慣れない状態で威力の強い魔法を放とうとすると漏れる魔力が多すぎて暴走したりします当然ですわね。

 第二学年での魔力枯渇になるまでの訓練は第三学年での強力な魔法を使う準備の為という事をご理解頂けたかしら。


 さあ授業はまだ続いておりますわよ。




 やはり新学期だからでしょうか……

 格闘の授業でもまた一人。いえ、違いますわね、この方はどうも何かを勘違いなさっているようですわ。


「ハッ! フフフどうかな」『私の体捌きは凄いだろう』と副音声が聞こえてきますわ。

「さぁ次も掛かってきたまえ」『稽古を付けてあげよう』なんて思ってますわね。

 まあいいですわ、面倒さえ起こさないのであれば、他国の皇太子殿下が思い上がろうとも私には問題ございませんもの、まあそのまま皇太子殿下で入れるかどうかは存じ上げませんが。


「君たち、もっと鍛えないといけないよ? 全く、皇国と比べてレベルが低いね」


 ……は?

 今、幻聴が聞こえませんでしたでしょうか。ええ、幻聴ですわ幻聴。

 周りの方々が一瞬だけ怯えましたが、私なにもしておりませんわよ。


「いやあ、これなら今度から手を抜かないと恥をかかせてはいけないよね、ハッハッハ」


 フ、フフフ、アルフレッド殿下との実技演習で叩きのめされれば宜しいのですわよね。

 そう、そうですわ。オ、オホホホホ。


「おっと、エーリカ嬢、そんな相手と訓練しても上達出来ませんよ、私が相手「オーッホッホッホッホ」ん?」

「殿下はご冗談もお上手ですわ」


ありえません、ほんっとうにありえませんわ!


「いやいや、冗談じゃなくてほん「まあ、自信をもたれているようでしたら、一つ組み手をお願いしましょうかしら」へぇ、ヒルデ嬢が相手になるのかい」

「ええ、お願いいたしますわ」


 ダンスでもそうでしたが無理やりに割り込もうとするとは。

 やはりお灸を据えなくては駄目だったようですわね。


「本気は出さないから安心してくれていいよ」

「オホホホホ、大丈夫ですわ、殿下、私も本気など出しませんので」

 ……

「「ではっ」」


 確かにこの方は体術の訓練を受けているのでしょう、まあ一年の地獄をみた私達の学校レベルではございませんし、ある意味地位の低い方々からすれば取り扱い難い相手で手も抜いたのでしょうね。

 だからと言って、私、手を抜いても加減はいたしませんわよ?


「えっグェッ」あら、踏み込んで肘をちょっと鳩尾に入れただけでは有りませんか。

 そんな事で止まらないで頂きたいですわね。

 まだ次がのこっておりますわ。

「ハッァ!」軽めに留めておいて差し上げますわよ、暫く呼吸はできませんでしょうが、自業自得とお諦めくださいませ。

 胸倉を掴んで手首を取って背中から投げ落とすだけですわ。

「ガハッ」あら、受身もとれませんのかしら。

 話にもなりませんわ。


 別に顎に鳩尾からの掌底もいれていませんし、投げも逆関節を極めていません、最後の足も寸前で止めておりますから喉に落としておりませんでしょう?

 関節を取ったり握るのも汚らわしいですし、最短で終わらる手抜きでしたが、コレぐらいでご自分の力量がお分かり頂けましたでしょうかしら。


 まあ、私達が鍛えたエーリカならば同じぐらいの事はやれるでしょうけども、後々クリストフ様達が心配されますもの。

 ええ、本当に本気で無かった事を感謝して頂きたいですわ。

 オーッホッホッホッホ。


「何方か、皇太子殿下を保健室までお運びくださいませ、気を失われましたわ」


「「「はいっ」」」と先程まで手加減するしかなかった生徒が一斉に手を上げて運んで下さいました。

 フフフ、まあ多少は憂さも晴れましたでしょうか。



 クリストフ様がお礼にと食堂のプリンを確保しておいて下さいました。

 流石、気を利かせたら右に出るものがおりませんわね。

 わかってらっしゃいますわ!

 因みに皇太子殿下は前後の記憶が無かったらしいですわ、オーッホッホッホッホ。

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