輝かせますわ
さて、御仕置きをしましょうかとなったのですが……
テッサロッサさんの一言がこれでしたの。
「アッシ……夜の妖精に憧れて地元に居るときからゴロツキに暴れてたんです」
フフフ、憧れるのは解ります。ええ、憧れたくもなりますでしょうね。
ですが『蛾』になるのは頂けませんわ。
「それで如何して夜の蝶なのです、夜に飛び回るなんて蛾と思われるではありませんか、それに衣装もキラキラしすぎですわよ?」
「それは私から説明します」
扉を開けて入ってきたのはシャロンさん……
居たのは知ってましたが、貴方達見た目が違うのに友達なのですね。
「その衣装は私が作りました……その私とテッサちゃんとで夜の蝶を作ったのです」
「「「…………」」」
人の事は言えないかも知れませんが、驚くほど凸凹のコンビですわ。
何があったといいますの、このお二人に。
「あっしとシャロっちが王都に来て知り合った時の事です……」そう話初めたのはテッサロッサでした。
なんでも二人が初めて王都に来て間もない頃にフラウ家の主催した茶会で知り合った二人は互いの領地も近い事から意気投合したそうなのですが、黙って屋敷を抜け出して街へとでた所で人攫いに目を付けられたそうです。そして見事に二人を救出したのが夜の妖精の部隊員だったと……
云われてみれば何かそんな報告がと思い出しましたわ、そこからまさか憧れた二人が地元の領地へと帰ってからも頻繁に連絡を取り合って衣装製作からはじまりついには街のゴロツキを退治するようになるだなんて、私達でも想定外ですわ。
はぁ、ある意味今回の外出や事件の元は夜の妖精に憧れてということになりますのね。
「……と言う訳なんです」
「なので、御仕置きはテッサちゃんだけでなく私も受けます」
そういう話ではない筈なのですが……
どうしましょう?
「まずお二人とも、時間外に寮を出てしまったことは寮規に違反していますわね」
「「はい」」
「それについては心配を寮監の方などにおかけしたのですから謝罪をなさい、罰は恐らく初犯ですしそう厳しいものではありませんわ」
「ほ、本当ですか!」
「よ、よかったぁ」
「ですが!」
問題はそこだけでは無くなってしまいましたのよね。
仕方ありませんわね……
「夜の蝶の活動は禁止ですわ」
「「ええぇ!」」
当然でしょうに驚くことですかっ。
「その、休みの日とかもでしょうか?」
「当然です」
「折角憧れの王都で一緒に働けるかもとアッシ夢にみてたのに」
「……」
「お、お姉さま、なんとかなりませんの」
レイチェル様、何とかと言われましても、『蛾』と同等の扱いはと嫌がられておられたではございませんか。認めるにも、その格好ではちょっと。
そうですわ!
「はぁ、先ずはその格好を変えましょう。それに今の貴方達だと無闇に相手に傷を負わせすぎですし、力量が全く持ってたりませんわ」
「「へ?」」
「ですから、特訓ですわね。それを乗り越えたら名を改めてであれば活動を認めましょう」
「「え、えぇ?」」
「良かったな、お前たち。フフフ、ヒルデがいう特訓を受ければ技量もあがるぞ」
ジャンヌは嬉しそうですわね、まあ後輩ですものね。
貴女なら喜んで鍛えそうですもの。それも悪くありませんわね。
「良かったですわ、これで後輩ができますわ」
レイチェル様も優しいですわね。ええ、衣装も新調させて問題の無いようにしますからお任せくださいませ。
「私に後輩が……」
エーリカも目を輝かせて……そうですわね、新生して名前をかえましょう。
「貴方たちの新しい名は『輝く蝶』ですわ」
「「名前が決まってる?」」
「ウフフ、本物からの命名ですよ」
「「えぇ!? ほ、本物?」」
本当に仲が良いですわね、双子の様に息がピッタリですわね。先程からずっと重なっておりますわよ。
隠す必要も別に無いのですけども。
「但し、訓練は厳しいですわよ? 当然、学校の授業とは別になりますから大変ですわよ、それでも宜しければというお話ですけども」
「「頑張ります(っす)!」」
「それでは、先ずは謝罪していらっしゃいませ、その後こちらでお茶にしますわ」
「「行ってきます」」
そこは行って参りますと……
まあ後々ですわね。
「走らないようになさいませ」
「「はいっ!」」
元気がいいですわー、序でにこれは淑女としての教育も必要ですわよね。
最近ジャンヌもエーリカも優秀でしたもの、指導する相手がおりませんでしたものね。
あら、ジャンヌどうしましたの生贄を見るような目で送り出して。
フフフ、楽しみですわー。