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乙女転生―悪役令嬢REPLAY―  作者: せおはやみ
REPLAY―学園友情編―
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逃亡ですわ

 悔やむ姿など、このヒルデガルド・ルビー・スカーレットには似合いませんわ。


 私は気高くそして誰もが認める令嬢でなくてはなりませんの。


 ええ、それなのに……

 逃亡ですわ!

 この姿だけはアルフレッド殿下にはお見せできませんわ。

 なんというタイミングですの、そういえば絶妙のタイミングでよく現れましたものね。

 そういう才能をお持ちか星の元にお生まれになられておられますのね。


 ですけれど、私、シショウからジキデンを受けメンキョカイデンになっておりますのよ!


「ヒルデ嬢? 先ほど見かけたヒルデ嬢が居たかと思ったのに……」


 何処かで見かけられておられたのですね。

 今は駄目です。自分の気持ちを認めてしまっている私は貴方の前には出れませんわ。

 こうして木上に隠れているのが精一杯なのです。



 私には殿下から想いを抱いて頂く資格は御座いませんの。

 暫くして殿下が去られた後も、私は下に降りることなく佇み続けましたわ。

 枝に腰掛けてみると、ふと昔の事を思い出しましたの。


 そう言えば一番最初にお姉さまに見せて頂いたシノビの技もこうした魔法を使わない跳躍でしたわね。

 フフフ、幼いながらに見たあの技も私は身に付けたというのに、心は今だあの頃のままなのですわ。

 殿下の為に……

 駄目ですわ、本当に逃亡する必要に迫られそうですわ。


 これは前世よりも私重症ですわね。



「ご心配をおかけしましたわ」

「おかえりヒルデ」

「お帰りなさいませお姉さま」

「お帰りなさいませ、今紅茶を用意しますねっ」

「有難うございます皆様、エーリカも有難う、お菓子を買ってきましたの、皆で頂きましょう」


 こういう時はスイーツですわ。

 部屋へと戻り辛かったのが一番ですが、なにか?

 確実に目が腫れておりましたもの、帰れないではありませんか。

 あれ以上あの場に留まれば夜の妖精が気にしますし、いつアルフレッド殿下がもどられるか判りませんもの。下手をすればお仲間を集めて全員で捜索されてしまいますわ。


 買ってきたのは自分の経営する店の商品ですけれど、お勧めですのよ。

 コメシュを使って仕込んだ甘いスポンジとレモン風味のチーズの層とを幾重にも重ね合間にイチゴのカットが挟まれて、一番上にはラズベリーのムースが乗り、最後にブラックベリーのソースが掛かっていますの。

 酸味と甘さとホンノリと香るコメシュ。

 見た目も華やかですし、見た目、香り、味わいと楽しめる一品ですわ。


 今日の私が駄目なのは判り切っておりますもの、ならばせめて心配をおかけしている親友達へは美味しいスイーツを食べて欲しかったのですわ。


「と、所でだ、報告と言う訳ではないというかなんというか」

「如何しましたのジャンヌ」

「いや、そのだな……」

「なんですか改まって……いいですわよ、大抵の事では驚きませんわ、それにレイチェル様もエーリカもご存知なのでしょう? 私が外に出ている間に聞いたのでしょうし、私も聞いておきたいですわ」

「そ、そうだな、実はデイヴィッドからその実家にだな挨拶に「えぇ!」そ、そのやはり可笑しいか……」


 違いますわよ! 


「おめでとうジャンヌ、婚約ですかっ! 本当ですのね? 嘘ではありませんわよね! お似合いだと思ってましたのよ」


 なんてことでしょうか。

 素晴らしいですわ。

 ジャンヌの良さを判ってくれる男性だとは思っておりました。

 お目出度いですわ! お祝いしなくてはいけませんわね。


「私達4人の中で一番のりですわ」

「ありがとうヒルデ、この出会いは君のお陰だ……こんな男の様な振る舞いしか出来なかった私が……ぅっぅぅ」

「何を言っておりますの、私の親友ですのよ貴女は! 見る目がない相手など放っておけば宜しいのですわ」

「ヒルデェ」

「ジャンヌ、笑顔ですわ、折角の美しい顔が台無しですわよ」


 ああ、ジャンヌが婚約。


「でも婚約しても私達は何時までも親友ですのよ、ですから心配なんていりませんわ」

「そうですわね、この4人は何時までも親友でいますわ」

「私なんかが恐れ多いですけど、私もっ、親友だとおもってます」

「もう、エーリカったら、貴女も立派な令嬢ですわよ、そして親友ですわ」


 祝いの席になってみなでジャンヌの幸せを祈りました。

 デイヴィッド様?

 フフフ、今までのエスコート具合などから、心配など一切御座いませんが、幸せにしないと3人の令嬢から恨まれますわよ。

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