表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
乙女転生―悪役令嬢REPLAY―  作者: せおはやみ
REPLAY―学園友情編―
51/75

咲き誇りますわ

「失礼、スカーレット公爵令嬢のヒルデガルド嬢でいらっしゃいますか?」


 フィリップ・アグニス・ドラゴニアス・パエオニア

 パエオニア皇国皇太子。


 公爵家の伝を伝ってパエオニア皇国の王妃様とは文通する仲ですのよ。

 ええ、化粧品などは効果抜群でしたわね。


 この方は確か、来年の留学に向けて挨拶に来られたのでしたわね。にしましても女性に名も名乗らずに声を掛けるとは、前世でもお付き合いは浅い方でしたが皇太子としては今一つですわね。正式な挨拶ならば誰かを介するのが一番礼に適いますのに、相手が皇太子殿下ともなると完全な無視もできませんわ。


「……」

「これは失礼を、私はパエオニア皇国のフィリップ・アグニス・ドラゴニアス・パエオニアです、お初にお目にかかりますが我が母からも是非に挨拶をしておくようにと伝言を頼まれておりましたので、不躾ながらこうして挨拶に伺った次第」

「初めまして、皇太子殿下、ヒルデガルド・ルビー・スカーレットで御座います。常日頃からパエオニアの王妃様には色々とお話し相手として文通させてもらっております。皇太子殿下にも御会いできまして光栄ですわ」

「ハハハ、素晴らしき腕前で公爵領を発展させておられる貴女に光栄と言われると悪い気分はしませんね、どのような方なのか非常に楽しみにしておりましたが、これほどまでの美しさもお持ちであるとは驚きました」


 あら、口は上手いですわね、良く下が回ります事。礼儀はマイナスで御座いますが。

 この方の情報は今一つ判らなかったのですわ……


 留学しに来るだけの頭脳は持っておられて、秀才というイメージでしたが、目立つと言うわけでもなく、ただ前世ではエーリカ嬢へ自分からお近づきになられていたような風でも御座いましたし。

 これといっては何ですが王太子殿下達とは違う雰囲気ですのよね。


 そう、前世の王太子殿下達の隙間といいますか、心の弱みとなった原因のような物がこの方は無かったのですわ。今生においても夜の妖精を使って調べましたが結果は何もありませんでしたし……


 前世のエーリカ嬢の奔放な感じを好まれたのかとも思いましたが、ここはじっくりと観察させて頂きますわね。


「お褒め頂きましても何もありませんわよ?」

「いえいえ、本心からですよ。出来ればゆっくりとあなたの考えなどをお聞きしたい程ですから、王太子殿下と仲睦まじくされているようですし」

「私など普通の令嬢に過ぎませんわ」

「そうですか? でも宜しければ宝石のような貴女に是非一曲お付き合いを頂きたいのですが」


 かなり強引な方でしたのね。印象と違ってますが、これは挨拶とは違い完全なマナー違反ですわよ?

 デビュタントだからこそ、決まった相手を順番に決めダンスをするのは常識です、パエオニア皇国でもそれは変わらない筈ですし、皇太子ともなればそのあたりは気を使う筈ですのに。


「皇太子殿下、今のはお聞きしなかった事に致しましょう、デビュタントの舞踏会でございますわ」

「失礼、ヒルデガルド嬢、母君がお待ちのようだよ」

「ああ、なるほど、ではまた機会があれば宜しくお願いしますね」


 見かねて助けに入ってきたのが王太子殿下だったのは意外でしたが助かりましたわ。流石に強くは言えませんものね。

 しかし判りませんわね。強引かと思ったらあっさり退かれますし。


「ヒルデ嬢、何かあったのだろうか? 皇国の皇太子と言えど困ったなら言ってくれれば」

「大丈夫ですわ、アルフレッド殿下……皇国の王妃様が化粧品を愛用しているからと礼を仰りに来られた事と少々()()()をされただけですもの」

「貴女がそういうのなら構わないけれども、大切なデビュタントでしょう、無理なお願いが行かない様に私の方でも気をつけておこう」

「有難う御座います」


 成長しましたわねぇ、ええ、国同士の争いの火種にならないよう慎重を期す必要がございますのよ。

 ちょっと見直しましたわ。「いや、そのなんだ、うん」と何故か言葉が続いておられませんでしたが悪く御座いませんわよ?


 少々、皇太子殿下については疑問が残りましたがその後は問題なくダンスを踊り続け、時折レイチェル様達と会話を楽しみながらデビュタントを満喫いたしました。


 アルフレッド殿下が3回、他の方々とは1回、お兄様とは2回……

 自分で相手を選べない事に憤りを感じましてよ。いえ、アルフレッド殿下もダンスはかなりの腕前ですし、嫌と言う訳でも御座いませんし、この場で上手く釣り合いが取れるのが私なのも理解しておりますがっ。


 完全に外堀を王妃様に埋められておりますわよ!?

 如何しましょうか、対策を考えねば!


 私のそんな微妙な問題を除けば皆さん見事に輝きましたわよ。

 レイチェル様も見事なドレスを花のように咲き誇らせておられましたし、ジャンヌもエーリカも頼んだ相手が良かったようですわ、緊張せずに最初の一曲を踊りきってからは徐々にその蕾が花開くようにホールの中で一際目立つ存在になりましてよ。


 ええ、ダンスは夜寝る前まで毎日こなしましたもの。

 エーリカのダンスも振る舞いも貴族令嬢として見事の一言でしてよ。


 ダンスの申し込みが即座に殺到して埋まっておりましたし、私達4人のデビュタントは大成功と言っていいですわ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ