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乙女転生―悪役令嬢REPLAY―  作者: せおはやみ
REPLAY―学園友情編―
50/75

貸しですわ

 回避できない運命(定め)であるならば……


 精一杯に輝きましてよ!


 扉が開かれ、光溢れるダンスホールへ……



 私とレイチェル様、ジャンヌとエーリカの4人はこの日の為に自らを磨き上げましたわ。

 学校から帰寮した後はダンスのレッスンやマナーの指導。

 十分な睡眠時間を確保して体調を整え、週末にはお茶会への出席を少なめにしつつ、カンパニーのエステを受けて肌を磨いて艶やかに。基礎化粧品を厳選して使い方を講義し、より美しくなる努力を常に続けました。

 更に食事からの美容にも気をつけて、ショコラなどは控えめに……

 ですが、ストレスを溜めては意味が御座いません。

 その対応策としてオカラと蜂蜜やコウジを使ったお菓子を用意したりと、一切の手抜きをしませんでしたわ!

 ええ、王太子殿下のエスコートで会場に訪れたのでは無く、このヒルデガルド・ルビー・スカーレットが王太子殿下と現れたと認識して頂きますわ。



「王太子殿下、アルフレッド・ジュエル・エルドガルド・ローゼン殿下、並びに、スカーレット公爵家ご令嬢、ヒルデガルド・ルビー・スカーレット様がご到着されました」


 扉が開かれて、コールマンを務める王宮紋章管理長官が良く通る美声で私達の名前を告げました。


 歓談していた貴族の方々が見守る中をゆっくりと進みます。


 既に私と王太子殿下を除けば後は王族のみ……


 この順番ばかりは私の一存では覆せませんでしたわ!


 ですからこそ、この場の皆様を私に注目させて見せますの。


 私の気合が通じましたかしら。

 一瞬の喧騒が静寂へと変わり、私と王太子殿下への視線が注がれます。

 ええ、確かに王太子殿下であるアルフレッドの顔も見事ですし、礼儀作法等も一通り修めておりますが、大きな会場にはいるのは初めて……

 ああ、この方もある意味デビューなのでしたわ。

 完全にしてやられておりますわね私。


 ……致し方御座いません、多少はフォロー致しましてよ、そう、もっとゆっくり移動すれば宜しいのです。

 少々力を込めて腕を絡ませればコントロールなど容易いですわ。顔に笑顔を浮かべたままで他人には聞こえないように語り掛けました「自信を持たれれば問題御座いませんわ、私がフォローいたしましょう」「た、助かる……流石に緊張するものだ」と返事をするだけの余裕はまだ御座いました。


 これは貸しですわよ、こちらを見て驚くのも構いませんが理解なさいませ、ええ、どうせ注目を浴びる立場なのは変わりませんもの……こうなればその策に乗りましょう、シショウの教え通り『ドクヲクラワバテゴトサラゴト』ですものね

 王太子殿下も輝かしてみせましょうとも、ええ、ですが私のお陰という恩を売りつけますわよ!


 物事は高くつく事も御座いましてよ!



 最後に国王陛下と王妃様がご登場されまして音楽が奏でられて正式にデビュタントが始まりました。

 普通ですと国王陛下と王妃様のダンスからですが、この日はデビュタント。

 この国での作法通り……


 ええ、私と王太子殿下、レイチェル様とお兄様のダンスが一番最初ですわね。

 そこから徐々に格式に沿って参加する方が増えていきますの。


 基本のワルツ。この曲は王道ですものね。

 3拍子のリズム、優雅にみせるには足運びと体の上下運動……

 今日は王太子殿下のリードに速度を合わせますが、綺麗にリードされるのもまた技術。


 緊張されすぎですわね……

 上下への振りが少ないですわよ、そう、なんだか教えているようになってきておりますわ。

 クルクル花びらを回すように互いに支えあい、徐々に硬さがとれた王太子殿下もリードが見事になってきました、同じ夜の妖精から武術を受けているだけあって、体幹もしっかりしておられますし、足運びも悪く御座いませんでしたわよ。


 曲が終わって次の方へとダンスの相手を変えます。

 ええ、割り込みで来られる方などもおられる場合はございますが、余程の事がありませんとありえませんものね。

 一度お母様の下へと伺った後に申し込みの確認をしておいて、国王陛下へのご挨拶に伺いますの。

 家格などで順番も変わりますし、早くいかないと他の家の方々のご迷惑にもなりかねません。


「陛下」

「おお、ヒルデガルド嬢、素晴らしい踊りであったな。うむ、王妃が望むだけのことはあった、よくぞと云った所、見事だったぞ」

「過分なお言葉在り難き幸せで御座いますわ、ダンスと云えば国王陛下と王妃様を目指すのがこの国の皆の願いで御座います、ですので私のダンスも王妃様への敬愛でございますわ」

「フフフ、ヒルデちゃんったら、もう、やっぱり娘に来て欲しいわ~」


 ……国王陛下は一連の流れを的確に見ておられましたし。

 王妃様はそれは爆弾発言になりかねませんわよ!


「私など不詳のものでございます、王太子殿下には相応しき方が見つかりましょう」

「ふむ、まあその件は公爵とも話し合いは付いておるから深くは云わぬがな、一応見てやって欲しいものだとだけ伝えておこう」


 お父様とどのような話し合いをしたのか、聞き出すのには勇気が要りますわね。



 国王陛下と王妃様への挨拶を済ませ席へと一旦戻ろうとした所で声が掛かりました。

 件の話し合いを如何に聞き出すかに集中しておりましたから少々気を抜いておりましたわね。


 この方も参加されておられたのでした。

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