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乙女転生―悪役令嬢REPLAY―  作者: せおはやみ
REPLAY―学園悪役令嬢編―
39/75

お出迎えですわ

 過密な予定で全てを処理しているのには訳が御座いましたの。


 勿論、王都のご婦人方をお待たせしない為の手配ですが、急いだのは別件です。

 休暇なのですから、少しは休みを楽しみたいではありませんか!


 レイチェル様とジャンヌが遊びに来るのです。

 それまでに仕事なんて片付けないと!

 折角ですのに、一緒に過ごせなくなるではないですか。

 その為にと直営工場視察なども予定を詰め、一日に3箇所以上訪れましたの。

 私やり遂げました……

 努力という一言で、何とか仕事の予定は全てこなしましたわ。



 そして翌日。

 転移門から来られたレイチェル様一行をお出迎えしましたの。元々がお忍びなのでそれでいいのですが、一つだけ問題が。予想通りというか、先触されましたとおりですが。


 王妃様まで……

 陛下の事は宜しいのでしょうか?

 きっと王都で寂しい思いをされてますわ……

 しかしと言いますかやっぱりと言いますか、陛下と言えど、エステ関係への王妃様の行動は阻止が出来ませんでしたのね。



 そして、最大の謎が!

 どうしてアルフレッド殿下がにこやかに立っていらっしゃるのかしら。

 勝手に来てしまっていいお立場ではないですわよ?

 先触にも連絡御座いませんでしたわよ!


「申し訳御座いませんヒルデお姉さま……」

「一体如何なさいましたの」


 一応はご事情を確認しませんとね。

 何か理由が在るのやもしれないではありませんか。無さそうですけれども。


「その私がスカーレット領に遊びに行くのは許しを得ておりましたのはご存知ですわよね」

「ええ」

「そこにお母様が、私もやっぱり行くわと仰りだして」

「王妃様ですものね」


 申し訳なさそうにレイチェル様が説明してくれますが、大丈夫ですわ。

 驚く事にはなれておりますの。

 王妃様の件、それは想定内ですし先触も御座いましたわ。

 私の母とは親友、更にエステの開発の件をしれば行動も読めますもの。


「そうすると、父上が寂しがったのはおいて置いて、兄上まで付いてくると言い出したのですわ」


 少々不憫ですが、よ、宜しいでしょう。

 問題は突然のアルフ、いえ王太子殿下の行動ですわ。

 

「……止める方は」

「居ませんでしたの、しかも直前ですわよ。本来ならご友人の領地へと行く筈が」

「……陛下はなんと?」

「お父様は『ワシも行きたかった』と呟かれておりましたわ」


 王妃様は自分が行きたいから、当然反対意見が述べ難い。本心で行きたい国王陛下も大きな声では反対が出来ない。


 そんな状態でしょうか、この年齢で我侭を……

 突然来られましても用意と言うものもございましてよ?

 王族が訪問する事を軽くお考えではなくて!

 訪問予定だった場所の事も考えずに行動するとは……



 というか何をされにいらっしゃったのかしら。

 エステでは御座いませんわよね……

 男性の方もスパとマッサージは宜しいでしょうけど、エステを受けられるのはちょっと対応に困りますわ、まあ在り得ないでしょうけども。


 王妃様が来ると言ったから……

 まさか違いますわよね。

 でしたらレイチェル様が心配だったとか……

 ふむ、それならば解らなくもありませんわ。


「それで、更に……」

「更に?」


 なんでしょう、この其処は彼と無い不安に包まれました。

 聞きたくないのですがっ。


「訪れる筈だったご友人達も来たいとかなんとか……」

「なっ!」


 最悪ですわー常識を誰が教えておいでなのですかっ!

 まさか王妃様の真似ですの?


 お一人ぐらいはなんとか致しますわよ……

 それで後何人来るのですか。


「王太子殿下……」

「やぁ、ヒルデガルド嬢、ご機嫌麗しいようだ…が、どうか、したか」

「先にお聞きしておきますわ、突然のご来訪で少々……ええ、少々混乱しておりますが、先ほどお聞きしたら後で誰かが来られるとかなんとか?」

「ああ、レイチェルから聞いたんだね、うん、そうなんだよ」


 うん、じゃありませんわよ!


「お断りをお願い致します」

「え?」


 「え?」じゃ御座いませんわ。

 突然訪問して、さらに来客をつれてくるなど常識を外れすぎていて、何をどう説明すれば宜しいのかしら。

 やっぱり根本は変わってませんの?

 なんですか、その困った顔は……

 私が困っておりますのよ。


「そ、そこを何とかならないだろうか、私だけが来るとなると色々と問題があるんだが」

「では殿下がお帰りになりさえすれば全て問題が片付くという事でしょうか?」

「いや、そうなんだが」

「王太子殿下、流石に突然のご来訪においても先触れの一つも無く。更に何名になるか解らない後続があるなどというのが常識ともなれば如何様に今後の王家と貴族の付き合いができましょうか」


 ええ、実際王妃様のご参加は内々の可能性が示唆されておりましたのよ。ただそうは言っても国王陛下の事もあっても在り得るかもという考慮でしたわ。

 私も母も予想しておりましたの、現状で一番化粧品や健康食品、そしてエステなどの保養施設を用意していて発展しているのがスカーレット領ですから……

  女性のご来訪に関してはそういった経緯もあって余裕もございますし、可能性の考慮もされておりますわ。



 ですが突然男性の人員が大量ともなれば別でしてよ。ましてや王太子というご身分。下手が打てませんのよ!

 遊戯室などの施設も御座いますけれど、猟場などはそれ程に広くありませんもの。男性の方は殆どがご夫人についてくる旦那様ぐらいですし。こういう言い方はどうかと思われますが、エステの旅のおまけぐらいですわ。


 ご夫人の機嫌をとる為に訪れて頂いて、のんびり過ごされる為の設備しか考えておりませんもの。そういう意味では何か開発する必要がございますわね。

 乗馬と狩りとチェスやナイン・メンズ・モリス、バックギャモンなどをするだけでは退屈ですもの。


「ですが、せっかく王太子殿下(実験台)にお越し頂きましたことですし、王太子殿下が色々とご協力下さいますなら……」

「ああ、協力は何でもしよう」


 王妃様、そんな哀れな者を見るような目で……

 大丈夫ですわ、加減は致しますし此れもまた教育ですわ。

 ですけれど。

 オホホホホ、言質は頂きましてよ、娯楽の開発と教育について頑張って頂きますわ!

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