疑いますわ
オ、オホホホホホ、アレですのよ。
驚かせようと思っていたわけでは御座いませんのよ!
少々恥ずかしくてタイミングを逃していた事を忘れておりましただけですの。
心よりお詫びいたしますわ。
院長にもなんとか説明してご理解してもらえました。
それはもう恐縮されてしまいましたが……
そして遂に!
開放されますのよ、内職の徹夜から……
私の内職の造花と匂い袋の作成先になって頂けましたの!
大丈夫ですわよね、ぬか喜びして、やっぱりとか御座いませんわよね。
問題は御座いませんわ、ええ。それと孤児院から働きにでる就職先としても考慮に入れていただけましたし。エステや菓子や料理などのお店を任せる将来有望な子達を確保できましたわ。
ですので、将来の従業員を守る意味も込めまして、権力発動ですわ。
たまたま叩けば色々と埃だらけの商人のようですし、恐らく転売目的でしたのでしょう。
貴族にも賄賂を贈っているようです。丁度良い機会だったと言うわけですわね。幸いな事に証拠として、貴族を侮辱するという罪を犯した者達が居りますものね。
ええ、綺麗に洗いざらい吐いてくれましたわ。
訪れた店は普通の店なのですが、何か変ですわ。
品揃えがバラバラというか……
やる気が見れない点も怪しいですわね。
「いらっしゃいませ、何か御用でしょうか」
「ええ、こちらで孤児院の買収を持ちかけられているとお聞きしまして」
そういうと商人は笑顔を消して対応してきましたの。
「ふむ、なんだ、ワシの商売の邪魔でもしにきたのか、言っておくが合法な手段しかとっていないし、別の商会からも打診されたが共同で事に当たる事もないぞ」
欲にまみれて商売の基本である冷静さを失っておりますわよ?
夜の妖精の報告が届きましたが、背後に貴族がいるからこんな態度なのかしら。
ですが、このスカーレット領で商売するのには少々品位が足りませんわね。
それに、商人としても失格です。
私を知らないなんてありえませんわ。
「この領は発展している最中だからな、まあ商売先のネタは教える訳にはいかんが、フフフ、どうしても教えてくださいというなら、条件次第で教えんでもないがなぁ」
下品な顔ですわ、見るに耐えません。
「どうにも話す品性も持っておりませんのね、これなら私が話す必要も御座いませんわね」
「畏まりました、では後は私が」
「任せますわね」
「なんだ、お前が相手でもするってのか」
ええ、どうも品性に欠ける愚物だったようですわ。
相手で態度を変えますのね。
とりあえず領外へ追放といったところかしら。
「何か、勘違いされてますね。お嬢様にこれ以上対応させるには不相応の愚物と判断した故に私が貴方に処分を言い渡すのですよ?」
「はぁ処分だと、ワシには貴族の後ろ盾もある。そもそも何の罪もないのにどうやって」
「先ず一つ、先ほど貴方を雇い主とした数名の男が孤児院に現れました」
「ハハハ、あいつらは物件の買取を教えただけさ。土地を手に入れたら買い取る約束をしてるだけで、方法なんて指示していないから無関係だぞ」
「そこで、お嬢様に狼藉を働きました」
あら、お姉さまお怒りです?
「それがどうした、奴等がそこのお嬢ちゃん如きに無礼を働いたからといってワシが咎められる筋合いはない」
「そして先ほどから継続して無礼を働いておりましたが、今の段階で、私はこの方がお嬢様であると言ったにも関わらず不敬を働きました、追加ですね」
「だから、多寡が一人の小娘でワシをどうこう「警邏隊捕縛しなさい、現行犯です」はぁ?」
「ハッ」という掛け声と共に警邏隊の兵が商人を取り押さえる。
「お嬢様に対して失礼な真似を働きやがって!」とかなり強く押さえつけておられますわね。
「わ、ワシの後ろにはグルト伯様が居られるんだぞ!」
「何を勘違いされているかわかりませんが、ここはスカーレット領です、そしてお嬢様はこちらのスカーレット公爵家の長女ですがグルト伯爵様がなんの後ろ盾になられるというのか楽しみですわね」
「なぁっ!?」
「あと、ここの品物ですが、盗品ばかりだそうですね。そのあたりの事情も調べます。彼等が全部話してくれてますよ?」
驚愕に包まれた商人は引っ立てられて一軒落着です。
後の貴族の方はお父様達にお任せいたしましょう。伯爵の方もどうやら叩いたら埃がでそうですもの。
それよりも私、現地視察などが後に控えているので孤児院を早く回らなくてはいけませんのよ!
後日発覚致しましたがやはり色々と繋がりがあったそうです。
領内で盗賊行為を見逃し、商品をこちらで売捌く拠点にしようとしていたのだとか。ついでにその資金で土地を買って、発展中なのをいいことに他の貴族へ売捌こうとしていたとか……
確かに領都では土地が余っておりませんからね。
孤児院に目を付けたのでしょうが、我が領地を知る真っ当な商人なら避ける筈の所を狙う訳ですわ。




