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乙女転生―悪役令嬢REPLAY―  作者: せおはやみ
REPLAY―学園悪役令嬢編―
34/75

必死ですわ

 ジャンヌの特訓。

 これは一つの日課となっております。レイチェル様の傍にいる騎士を目指す親友を助けるのは当然ですもの。


 オホホホ、決して見るに耐えないなどと思っておりませんわよ。


 刺繍は壊滅的な腕前がなんとか……

 ええ、刺繍はステッチを覚えさせれば何とか。

 本格的? 

 何を仰っておりますの、刺繍とは奥が深く、数十種類のステッチが存在いたしますのに、ジャンヌが覚えたのは5種類のみですわ、まあ花や名前が出来れば嗜みにはなりますから。

 そうです、立派な淑女への第一歩ですわね。


 お陰で裁縫も何とか……

 ハンカチがどうして撚れているのかは不問に致します。余り多くの事は完璧にできませんわ、徐々に出来るようになればいいのです。

 川を止めるも小石から、山を登るも一歩からと申すではありませんか。


 編み物は、やらせるだけ糸の無駄に……

 いえ無駄ではないですわね、向いていない事が判りました。

 基本的にジャンヌに細かい作業が向いておりませんの。ですので、一番最初は豪快にできて体で覚えやすい指のみで編ませました。

 後は趣旨が異なりますが、三つ編み等も始めております。紐も打てますわよ、軍で必要な技能だと告げたら覚えましたの。そうしたら、目の数が少ない編み物ならなんとかなりました。恐らくはマフラーぐらいなら作れるようになりますわね。


 驚いて頂いても構いませんわよ!

 私が驚きましたもの。


 礼儀作法は、幼い頃から鍛え続けて矯正しました。その甲斐があってか、喋り方も「ですかー、あります」口調は直りましたしね。

 それ以外はいくらジャンヌと言えど……

 

 だ、大丈夫ですわ。


 お菓子と料理は私ではどうにも出来そうに無い事柄でしたの。

 人が月には行けませんのよ?

 私人を傷つけさせたくありませんの、ですから、将来のジャンヌの旦那様の為にも謎の物体を食べさせる訳には参りませんわね。

 料理にいくら愛情が篭ってましても……

 私には無理ですわ。


 そして最難関である一般教養、こちらは学校の授業成績に繋がりますから大変でしたわ。

 文学、美術、音楽、歴史、政治学、古語。

 お菓子を餌にして先ずは丸暗記から、ジャンヌの頭が熱を帯びるまで延々と朗読させ続けました。


 基本は丸暗記……


 これから応用を教えますわ。知識としてあっても使えないと無意味ですものね。新作のマッチャソフトを餌にすればもうちょっと頑張れる筈ですわ!




「ヒルデ、少し良いだろうか」

「あら、どうしましたのジャンヌ、畏まったりして」

「いや、日頃の感謝を伝えたくてな……」


 ジャンヌから感謝の言葉を聴くだなんて、私夢でも見ているのでしょうか。

 ですが、どうみても現実ですわ。改めてみても女性に受ける女性といった佇まいですわね。


「ヒルデのお陰でなんとか試験でも悪くない評価を貰えたからな、こ、これは、その、かかか、感謝の印にと思ってな」


 顔を赤らめて渡されたのは手作りのハンカチーフ、周囲が刺繍で埋められていて、端には私のイニシャルが真紅の糸で刺繍を施されていますわ。

 まさか、貴方の作っていた撚れたあれですの。

 この為に作っていたと言うのですか。

 無理ならば仕方が無いと言っても止めなかった理由ですのね。

 試験の勉強の後も続けて趣味になったとばかり思っておりました。

 不器用なジャンヌがとは思えない程に細かくゆっくり、丁寧に仕上げられていますもの。


「ありがとうジャンヌ、親友からの最高の贈り物を頂いてしまいましたわ」

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