困惑ですわ
忙しい日々を送りながらも充実した学校生活を送っております。
更にに二ヶ月以上が経ちました。
皆さんも学校の訓練に慣れてこられておりますし、お手伝いしたりアドバイスする事も減りました。
ええ、一人を除いてですが。
ジャンヌの面倒を見て座学を終え一休みしておりましたら、周りの方々の会話から、もう直ぐに長期休暇が迫っている事に気が付きました。
地方からの学生もおりますから当然休みは一ヶ月間は御座います。
色々楽しまれる方が多いのですわね。
私は様々な事業やご婦人方からのご招待を頂いていて休みという気が全くしませんが……。
長期休暇の前には試験も御座いますから、追試を受けないように、レイチェル様とジャンヌを誘って勉強会ですわね。まさか王太子殿下達の為にと手を回し、礼儀作法と礼典についての授業が増えた事によってジャンヌが苦しむ程とは……
丁度いいですわ、ビシバシいきますわよ!
そうして、気合を入れた数日後です、最近少し気になるのですが……
この感覚は流石に始めてなので、表すのが事実のみとなってしまうのです。
私……
レイチェル様とジャンヌ以外に避けられておりません?
私が朝食を取りに食堂へ行きますとレイチェル様とジャンヌが居ればその隣へ座ります。
これは普通ですわ。
ですが、先に私が行くと、その後は周りの席がガラっと空いておりますの。
もしかするとレイチェル様の為かと思ったのですが。
間が空きすぎですわよね。
そして、私が門へと辿り着きますと、波が引くような、風に木の葉が押されるように人が避けていくようなのです。特に廊下など、ザザッと音がするように一本の道筋ができますのよ。
思わず扇子を打ち鳴らして通ってしまいますが……
私、この所忙しくて特になにもしておりませんわよね。
日々ジャンヌの特別勉強と内職を続けているぐらいですわ。
何が一体、あの方々を怯えさているのでしょうか。
もしかしてアルフレッド殿下達の件が今頃?
いえ、社交界でそこまで伝聞が遅れるなんてありえませんし。
思い当たりませんわ!
この新調した扇子の事も知る人は居ないはず……
こう、パシッと振れば良い音がでる特注の聖魔銀製の骨組みにワシを貼って作った一品。
軽いながらも術式も込め武器にも防具にもなる優れたもの、露見する筈ないですし。
同じく特注のワガサ……いえいえ、それこそまだ出来上がっておりませんし。
公爵領の里の方に特注ですから漏れません。
何が原因なのか、一度調べる必要が在りますわ。
あら?
「そこの貴女」
「ひゃい!」
「失礼……もういいわ、服装が少し乱れておりましてよ、それに緊張しないでいいですわよ」
「は、はい、有難う御座います!」
ゴミを取って差し上げて服装を直しただけですのに、やはり怖がられていますわ……
何が原因ですの!?
「あら、貴女、走っては危ないわ、廊下はまだいいですが曲がり角にはお気をつけなさい」
「は、はいぃ」
逃げ去らなくても……
このレベルでも駄目ですか。
な、何が原因ですの、私の笑顔は怖いのでしょうか。まさか徹夜が続いた内職のせいで顔つきが変わりましたでしょうか。
「ごきげんよう、先日の本は面白かったわ、またお勧めを教えてくださいませ」
「本当ですかっ、次回は、ランチェ・ヌロア・ボルティッティの本をお持ちします」
「助かりますわ、私も本にはまだまだでして」
「そ、そんな事は有りません、あ、少し用事が御座いますのでまた」
……逃げてませんわよね?
「レイチェル様、このプディングは美味しいですわ」
「確かに美味しいですわ」
「ジャンヌもほら、アーン」
「うむ、悪くないな」
ザワッっと一瞬食堂が騒然としましたが、何か御座いまして?
どうなっておりますのでしょうか……
あれから更に一週間、ジャンヌのついでと勉強会も致しましたし、参加者は多数の方に上り盛況だったと思います。
ですが、より学校での状況が悪化しているのですが……
今までは、目立たなかった動きが可視化したかのようですわ。
食事の席が固定されて常に座る方が居なくなる。
人の壁が割れて道が出来る。
小声で何かを話されている。
小さな悲鳴を上げて逃げられる。
目線を合わせると避けられる。
お一人に居たっては気を失われました。
プディングが売り切れになる。
更に男子生徒に頭を下げられる様にまで……
レイチェル様には流石ですと言われますが、違いますの。
私、見本と為ろうとは思いますし、秩序を正すなら悪役も辞しませんが恐れられるのは本位ではないのですわよ。
ジャンヌは、慕われて何よりと言いますがこれは違いますでしょう。
女性に慕われているのは貴女ですわよ。
何が、何が起きてますの!
多少は厳しいですが私普通に接しておりますのよ!?
誰の策謀なのか、全力で暴きだしますわ。