輝きますわ
そんなに驚かれる程でしょうか。
これが日頃の行い?
私、非を認め謝罪なされた事もそうですが、私にも非があると認めれば頭ぐらい下げますのに……
致し方ありませんわね。
「驚かれるのも無理は御座いませんわ、仲良くして下さいなどと申し上げご気分も優れませんでしょうし、後日改めまして謝罪させて頂ければと思います」
「お、お姉さま?」
「ヒルデ嬢?」
レイチェル様、ジャンヌ、これは私が幼い頃に背負った業ですのよ。
ですからお止めにならないで下さいませ。
最初から……
こうなる事はきまっておりましたの。
「では、少々席を外させて頂きますが、皆様お気に為さいませんように」
立ち上がろうとする皆様を扇子の一振りと仕草で制し席を外させて頂き増した。致し方ありません。ですが王太子殿下、いえアルフレッド殿下達の変化は本物でした。
ええ、私の努力は無駄では無かったという達成感がこみ上げてきます。
「ヒルデお姉さま」
「ヒルデ!」
「まあ、お二人とも揃っては……あの方々を放置してはいけませんわ」
「構わんさ」
「そうですわ、自分の言いたい事だけを述べてたお兄様方なんて……もっとしっかりするべきなのですわ」
笑顔ではっきり言い切ってくれるジャンヌ。
そしてプンっと頬を膨らませて力強く励ましてくださるレイチェル様。
お二人とも優しいですわね。
少し気が楽になりましたわ。
では席を移させて頂いて、お茶を頂きましょう。
席を探す私共にそこで声が掛かりました。
「あら、ヒルデちゃーん」
「お母様」
「こちらに御出でなさいませ」
恐らく頃合を見計らっていたであろうお母様達からお誘いを頂きました。
まだまだ子供ですわね。
私にはまだ出来ない心配りですわ。
「ねえ、ヒルデちゃん、例の美容薬なんだけど、もう少し手に入るかしら」
「はい?」
「ほら、あの」
まさかお母様、あれを紹介する為ですか!?
私の感動を返して下さいませ!
いえ、それよりもアレは……
確かに素晴らしい効き目ですわ。
ですが材料がまさかコメのヌカは未だしも、特別な鳥の粉が必要で貴重だなんて説明できませんわ。
代替品の鳥の物でもよければ多少は手に入れられますが……
「ほらほら、私の肌がツヤツヤでプルプルになってるじゃない」
「ええ、そうですわね」
「本当ですわ、羨ましいですもの」
そう、まさかのエルミア夫人。
茶会の主催者にですか……
「エルミア夫人のお肌でしたらもっと手軽にお手入れに使える物の方が良いかも知れませんわ」
「そうですの?」
ものは言い様で御座います。
「ヘチマという植物から取れた化粧水と、アマザケという飲む化粧水がありますの」
「まあ、面白いわ」
よ、よかったですわ、これはまだ手に入りますもの。既に領でもサケの生産に移ってますし紹介しても問題はないですわよね。美容と健康はいつでも女性の話題の中心ですから。
ええ、必ずこの化粧水が合うとか、誰にでも使えるといったモノでは無いのです。
それだけにお勧めする相手には注意しなくては。エルミア夫人でしたら問題は御座いませんし、髪に塗るツバキやローズオイルもお勧めできますもの。
母もそして私達三人も、そういう意味では歩く化粧品の宣伝のようなもの。
あら、私なにか色々考えていましたのに……
大した事じゃ御座いませんわよね!
次のお勧めはタケスミの粉末やヌカ、アロエなどを使ったパックですわよー!