閑話 芽生え
どうして、あの生意気な奴が気になるのだろう。
どうして、顔を合わせたくないのだろう。
どうして、もう一度会いたいと思うのだろう。
どうして、話してみたいなどと思うのだろう。
どうして、こんなにも苦しいのだろう……
傲岸不遜の性格を真っ向から叩きおられた少年。同年代で負けなしだった自負を鎧袖一触で砕かれた少年。自分の才能こそ国の宝だと思っていた驕りを打ちのめされた少年。怖いものなどないと思っていた欺瞞を暴かれた少年。可愛がられる事が当然ではないと思い知った少年。
そう少年達は打ちのめされていた。
生意気な男女のようだと思ってた少女に……
鮮烈な紅の瞳をもち黄金の輝きを放つ髪を持つ少女に……
どうすればいいのか、何をすれば認めてもらえるのか……
甘やかされていた事を知った。自分より才のある者を知ってしまった。そして気高い者を知ってしまった。
あの瞳に侮蔑の色で見られる事を想像するだけで恐ろしかった。
「立派な王になるには如何すればいいのでしょう」
「立派な騎士とはどういうものでしょう」
「才能とはなんでしょう」
「友達ってなんでしょう」
「男らしさとはなんでしょう」
悩みは其々だった。
唯一つ幼い彼らが少年になる儀式としての悩みがあった「恋ってどういうことでしょう」と……




