腕章をした女にはいい思い出が無い
初投稿です。
イラスト/漫画は経験があるので認められる難しさは分かって居るつもりです。
小説の場合は一行でも読んでもらう難しさがあるわけですが、これを諸先輩方は場違いジャンルにおいてどのようにクリアされて来たのか。
謎は尽きません
いつもの様に速足で裏門に向かった。
一つ前の電車だと学校に早く着き過ぎてしまう。
始業前は図書室は開いて無いしいきなり保健室というのもいかがなものか。
要するに俺の居場所が無い。
そういうわけで始業30秒前に裏門に到達する、というのが俺の日課だ。
そうすれば正に始業時間ジャストに着席することができる。
すでに今月の遅刻回数は限界に達して居る。
始業一分前、俺は最後の角を曲がり裏門を見た。
この時間は既に生徒の登校は終わって遅刻仲間の教員が走ってる後姿を時々見かける程度なのだが今日は違う。
なんか緑の腕章をした女の生徒が立ってる。
なんか薄い顔立ち。
目が吊り上がって・・三白眼というやつなのか。
体もスリム系というよりは痩せこけてる。
しかしこういう女に限ってプロフに「デブで済みません〜」とか書いてるんだよな。
まあとにかく面倒だ。
校則では始業五分前着席の原則がある。
ただし罰則は無い、と思ってたのだが警告はあるだろう。
呼び出しか反省文か …… などと考えてるともう声が届くところまで近付いてしまった。
狭い裏門をさらに半分閉めてるから挨拶無しに通り過ぎるのは不可能になってる。
朝っぱらから権力を傘に着た女と交わるのは気が滅入る。
あの妙な帽子を被った婦警を思い出してしまう。
女と言う奴は少しでも権力を得るとそのどうしようもない頭の悪さを隠し切れなくなってしまう。
その点男はどんな馬鹿でも、馬鹿でも … それはどうでもいい。
なんか対策を練らねば。あと5秒以内に
交わる … … … ?
いかん 3秒経ってしまった。
強行突破だ。俺はさらなる加速を開始しようとした。
ここから行けるのか。
だが3mまで接近した時に俺は思わず足を止めた。
顔は普通。 馬鹿っぽくもない。
さっきの三白眼は近眼の人が無意識にやる目付きで悪意は無かったか。
「さっきはごめん。 顔はけっこうかわいいし体つきも普通、というかけっこういやらしいじゃん」
と無論心の中だけで言った。
一瞬の沈黙の後に彼女の表情がちょっと変わった。
まずい。
読まれたか。
腕章の女は何か言いかけたようだったが、俺達は向かい合ったままフリーズした。
この女コミュ障だったか。
おそらく一般人相手なら普通に受け答えが出来るのだろうが、俺のようなレベルの高いコミュ障を前にするとフリーズする。
これは二流所のPCパーツが台湾製のM/Bには繋がるが大陸製M/Bを使ってる家電メーカー製PC接続するとフリーズするのと似て居なくも無い。
また剣の達人同士が ……
突然誰か走ってきた。
取って置きの薀蓄を心の中に並べるまえに凄い勢いで遅刻常習犯らしい女子生徒が俺達の横を走りぬけて行った。
腕章の女も我に帰ったようで俺に小声で何か言うと小さいプリントを取り出すと俺に渡して走り去って行った。
プリントには、
遅刻常習者のためのガイダンス。
昼休みに図書準備室
の文字が見えた。