不良と不登校
マックのハンバーガーはどうしてもピクルスを抜いてしまいます。
お前本当兄貴と言う事同じだな!!とか思いながら見てください。
今日もアカラギは学校で、俺は本屋に行く事にした。
今は同い年は学校にいっている時間帯で、いるのは少しの大人くらいだ。
今のすいてる時間帯以外は、あまり行きたくない。
騒がしくなるから。
先日アカラギは勉強を教えてやると言ってくれた。
少し、わくわくする。
参考書のコーナーでも見てみるべきだろうか。
ずらりと並ぶ、訳のわからない単語。
…やばい。
中三のものを見ているが本当に訳がわからない。
何故数学なのにXがでてくるんだ、もしかして数学は英語と共鳴したのだろうか。
「ちょっとどけてもらっていい?」
若い声にドキッとする。
まさか、学生…?
振り向くといかにも怖そうな人がこっちを見ていた。
学生服を着ているのにピアスは開けているし、目つきは怖いし。
ふ、不良だ…
「ど、どうぞ…」
不良って事はまさか学校サボってるのだろうか。
というかなんで参考書なんか…
不良って勉強しないんじゃ…
そんなことを考えているとこっちを見てきた。
「何見てんの…」
「あっ、いやっ…」
プルプル手が震えている。
アカラギ以外は基本喋れない。
あぁ、ダメだこれは路地裏に持っていかれて、殴られるパターンだ。
「お前、俺がこの見た目で参考書見てるのを面白がってるんだろ…」
まゆをひくっとさせる。
面白がってはいないけど大体あっているような。
「あああ、ち、ちがくて、あの…」
今すぐ逃げ出したい。
「…てかお前同い年だよな、なんで学校……お前もサボり?」
やっぱりサボってる!!!
これはサボっている事をちくったら蜂の巣にするぞと言われる!!!
「は…」
「は…?」
「蜂の巣にされる…」
いつの間にか不良とマックにきた。
なんでマック…
なんで話すことに…
「まさか学校行ってない人間だとは思ってなかったわ…」
「は、はい…」
「ダブルチーズバーガー二つとコーラ、オレンジジュースお持ちしました。」
笑顔のお姉さんが去って行く。
ああ、帰らないで、二人にしないで…
「名前、なんて言うの?」
名前を聞かれる。
名前を言うくらいならできるはずだ!俺!
待ってこれ名前覚えられて後でみ、ミンチにされるんじゃ。
「ヒ、ヒロキです…」
「そんなビクビクすんなよ…俺は高梨秋人っていうんだ。」
高梨秋人…高梨秋人…
秋人はこっちをガン見しながらチーズバーガーを一口頬張った。
「俺、そこまで不良じゃないから。」
いやいやいやいやサボってる時点でもう、ピアスつけてる時点でもう!!!
「そうですか…」
もう、何も喋れない。
「ほら…勉強してるし、その…ピアスはしょうがないとして髪黒いし。」
ピアスはしょうがないのうちに入るのか…!?
俺もようやくハンバーガーを口にする。
マック美味しいな。
「…もしかしてマック嫌だった?」
「え、いや、嫌じゃないです!」
わああああ絶対怒ってるよこれ、もう帰りたいよ家に!!!
「もしかしてピクルスは抜きたい派だった?」
「い、いえ、ピクルスは好きな方です…はい。」
「マジか、俺もピクルス好きなんだよね!」
秋人は本当に嬉しそうにニコリと笑った。
不良ってこんなふうに笑ったりするんだ。
「ヒロキってさ、学校通わないの?」
痛いところを刺される。
「うん、いいかな…って。」
「家庭の事情とか?」
「…親、いないから。」
聞いてしまった、という顔をしている。
自分的には別に言っても言わなくてもどうでもいい。
「実は俺もさ、親いないんだよね。」
驚いた。
「兄貴と二人暮らしなんだ。…しかも親殺したの兄貴…だし。」
大事な事なはずなのに、言ってすぐにハンバーガーを食べ始める。
まるで、言い慣れてるみたいに。
「これ言ったのお前が初めてだから。」
なんでそんな笑ってれるんだろう。
「俺は、拾われた。大学生の人と一緒に住んでる。」
「へえ、境遇的にはすっげえ似てるんだな俺たち。」
似ているなんて初めて言われた。
気持ちがわかる人に初めて会った。
「勉強とかしてないの?」
「したいと思ってる。アカラギは教えてやるって言ってくれた……あ、アカラギはその、同居してる人。」
つい、アカラギの名前をだしてしまった。
ばれたら怒られるかな。
「えらいな、お前勉強したいって思ってるんだ。」
「…えらい?」
「学生なんてみんな勉強したくないしか言わないぜ?ああゆうのが学校通えてるのにお前は通えてないなんて不公平だな。」
初めて知った。
でも、秋人は参考書を買っていた。
不良がそうゆうふうな人しかいないって決めつけていた自分が忌々しい。
「別に学校にいってなくても勉強はできる。だから学校行けてない事を悔やんだ事はないよ。」
「…強いな、お前。」
強い?
強いのかな。
「逃げてばっかりだよ、俺なんて。」
話しほうけて外をみるといつの間にか夕焼けがかかっていた。
「ヒロキ、俺もうそろそろご飯支度に帰らなきゃいけない。あのさ、また会っていいかな。」
「あ、アキトがあっていいなら。」
秋人は嬉しそうに笑った。
俺も不器用なんだろうが、笑ってみせた。
初めて、友達ができた。




