I visit a school.
室内には生徒だけでも三百人はいるだろう。
それに教職員や保護者を加えると、四百五十人はいるのかもしれない。
クラスごとに名簿番号号順にパイプ椅子に座らされ、一人ずつ順番に名前が呼ばれ席を立ち壇上に上がって行く。
そこでは校長から長方形の紙切れが渡される。いちようは証明書なのだが三年前に貰ったそれは今はもうどこに行ったのかさえ検討がつかない。
「足立隼人」
自分の名前が呼ばれて席を立つ。大勢の視線を感じるが気のせいだろう。一般にも劣るかもしれない俺を見る奴はいないだろうしな。
出入口から、遅れて来た誰かの親が入ってくる。途中の入退場は大丈夫なのか?
直ぐに無くなる紙切れを形式に従って、左手右手の順番で端を掴み校長が放したところで右に一歩ずれ、次の奴が隣に並び、腕を伸ばしたまま一緒に一礼する。
壇から下り自分の席に戻る。
後はひたすら静かに波風立たずに式が終わるのを待つだけだ。
それにしても、暇だ。
年齢が増えると年月が早く過ぎていくと聞くが、まだ高校生になったばかりなのに光のような猛スピードで卒業式から入学式の間の春休みが終わってしまった。
もしかしたら一年は音速で終わるのかもしれない。
つい最近受験をしたばかりなんだから、あんまり早く三年にはなりたくはない。それが正論である。
誰もが思うような一般論を思ったところで、世界は変わらないので普通に過ごそう。
たとえここでリムジンが高校の門の前に現れて……、
「来た……」
登校する生徒を押し除け校内に黒くて長い車が入ってくる。そんな車、俺はリムジン以外に知らない。
でもリムジンを見たことがあると言うわけでもない、だがこれはリムジンとしか考えられない。
運転席から二十代後半の黒のスーツに身を包んだ男性が出てきて後部座席のドアを開ける。
「いってらっしゃいませ。お嬢様」
声が、あくまで執事だ。なんて思っていると車内から、
「何を言ってるの? あなたも行くのよ」
「ですが、お父様からは『一人で行かせろ』と」
少しエンジン音だけの空間になる。
周りの生徒は、ざわめきもせずに今の光景に対して呆気にとられている。が一人本を読みながら小さい奴が素通りしていった。
あれがクールというのかな?
お嬢様は長考中なのだろうか、それとも靴下を左右違うものを履いてきてしまったとかいうドジっ子で、今どうしようか分からなくて出られないのだろうか?
俺としては、インテリお嬢様よりドジっ子お嬢様の方がいいかな。
「いいわ、じゃあ一人で行く」
「では、いってらっしゃいませ」
「でも」
空間の音を断絶するような、逆接が聞こえた。
「私がゴミに校舎裏に無理矢理連れて行かれて、白濁液を体の中に出されてもいいのね?」
あれ、ちょっと待ってくれるかな? 今なんて言ったのかな?
ねえ、お嬢様なんだよね? それが……白濁液?
あーごめん練乳とかだよね。俺の心は煩悩だらけだなー、除夜の鐘前借りできないかな?
「それはいけませんね。では」
執事が周りを見渡し、俺と目が合う。視線を反らすと負けた気がするので一分間瞬きをせずに見る。
「あああああああああああああああ、目ぐぁーーーーーーー!」
当然の結果として乾燥して目が痛い、充血してそうだ。ドライアイにならないかな。
両手で目を抑え前後左右に体を激しくゆらす。
「そこの君、ちょっと此方へ来てください」
誰だろう、と思い手を退け見てみると、執事がこっちを見ている。
後ろを振り返る。女子しかいない。
君、ってことは男を読んでる。いや、ボクっ娘を呼んだのかもしれない。
「あなたですよ。さあ早く」
えー俺ー?
自分で我が身に指を差しながら、執事に視線を合わせると。
縦に首を振った。ゆっくりと。
毎回毎回続きを書くのが面倒になります。
キーボードを打つのは好きですがめんどいんですよね……。
妄想は大好きなんですが、授業中それで先生の話を聞けていません……。
全ては突飛な妄想の端くれです。