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僕のクラスメイトは霊能力者。

 僕のクラスメイトは霊能力者です。


 霊能力者の椎名君は、1年生にしてオカルト研究会の部長だ。


 その椎名君が、僕のことを部室に呼び出したのだ。


 何だろう?


 かなりの疲れを持ちながらも何とか授業を乗り切り、放課後僕はオカルト研究会の部室に向かった。


「あの~、椎名君に呼び出されてきたんですけど~一体なんの用ですかね?」


 ドアを開けながら言う僕。


「............................................................」


 なんか5人がサークルを作ってぶつぶつ言ってるみたいだけど・・。


「あのー。」



『『『『『呪殺っ!』』』』』



「ぎゃあああああああああああああああああああああああああ!」


「ん、佐々木君か。」


 椎名君だ。


「あの~今のは?」


「ああ、あれは呪ってたんだよ。」


……誰を?


「あ、で頼みなんだけどさ。佐々木君にちょっと一緒に来てほしいところがあってね。」


「来てほしいところ?」


「うん。」


「どこに行くんだい?」


「それはね、三丁目の吉野さんの家の右隣の家の向かいの家の右隣のはす向かいにある家の左隣の隣にある公衆トイレ付近だよ。」


「分かりづら!」


 そもそも吉野さんって誰や!


「あっごめん。三町目の吉野さんの家の右隣の家の向かいの家の右隣のはす向かいにある家の左隣の隣にある公衆トイレじゃなくて、三町目の佐伯さんの家の左隣の家のはす向かいの家の左隣の左隣の家のはす向かいの家の右隣にある公衆トイレ付近だった。」


「脳内エクスプロージョン!」


 わけわからんわ! てか佐伯さんって誰や?


「佐伯さんって誰?」


「あー、ゾンビの女の人だよ。三町目で佐伯さんっていったらゾンビの佐伯さんしかいないよ。」


「ゾンビ!?」


 町がラ○ーンシティのようになってしまうだろうが! バイオ2は面白かったなあ。


「大丈夫だよ。理性を保ったゾンビだから。しかも綺麗な方だし。」


「ゾンビが綺麗?」


「うん。しかもダブルビッグマウンテン! ダブルサンデーだよ!」


「ほうほうそうなのか。では公衆トイレに行くついでに会いに行こうではないか。」


「そうでございますね。ひひひ。」


「楽しみじゃ…。」


「それでは夜7時校門前で。」


「OK!」


 このあとまさかあんな目に合うということを僕は知る由もなかった。



 ゾンビの佐伯さんはまじですごい綺麗な人だった。ゾンビっていうかただの人に見えたけど…。


 ゾンビになった理由は、変な注射をなんか怪しいやつらにうたれたとか。アン○レラか?


 変なことはしなかったよ! …………ほんとだよ!



 というわけで、三丁目の佐伯さんの家の左隣の家のはす向かいの家の左隣の左隣のはす向かいの家の右隣にある公衆トイレ付近にやってきた。


「で、何をするんだい?」


 街灯の明かりが少ないところだな。薄暗くて気味が悪い。


「ああそれはね……。」


 にっこり笑って、


「怨霊退治!」


「はあ!?」


 え! 何、怨霊だって?


「なんで僕が!」


「それはだね、『ガセウソ占い』で、今日のラッキー人間での結果さ!」 


 うわ~信用できなさそうな占いっぽいな。


「ラッキー人間って何?」


「ああそれは、今日一緒にいたほうがいい人さ!」


 ナンテコッタ


「わかったよ……。」


 まあチートあるしね。パパッと終わらせますか。



「じゃあこのあとのことを説明するね。」


「うん。」


 あれ? 何だろうこの変な感じ。このあと椎名君がしゃべることがわかるような……。



 ここには2週間前この場所で殺された、高橋修造の怨霊がいる。

  「ここには2週間前この場所で殺された、高橋修造の怨霊がいる。」


 年齢は26歳。

  「年齢は26歳。」


 怨霊になった理由だが、彼女へのプロポーズ前に通り魔に斬殺されたからだ。

  「怨霊になった理由だが、彼女へのプロポーズ前に通り魔に斬殺されたからだ。」


 通り魔を殺すまでは!と、強い憎しみの感情が作用して、高橋さんはこの世にとどまった。

 「通り魔を殺すまでは!と、強い憎しみの感情が作用して、高橋さんはこの世にとどまった。」


 そして高橋さんは通り魔を殺すのだけれど、その後も成仏せず、ほかの関係ない人まで襲うようになった。

  「そして高橋さんは通り魔を殺すのだけれど、その後も成仏せず、ほかの関係ない人まで襲うようになった。」


「だから今日それを退治しよう! ってことだよね。」


 今僕がいった台詞を言おうとしていた椎名君は驚く。


「ああ、うっうん。」


 なんだこの既視感デジャヴ


 まあいいか。


「佐々木君にも戦闘には参加してもらうからね。」


「ああ。」


 もうなんか俺は普通じゃないのかも。って、それをいっちゃあおしまいよ!


「高橋修造は並じゃない。強い格闘家30人が束になってかかっていっても余裕でつぶされる。」


 あまり俺は驚かない。だって『夢想無双』あるから。


「大丈夫さ。」


 

 時刻は8時半。人通りが全くないこの小さな公園。そして暗く気味が悪い。いかにもでそうな(・・・・)雰囲気だ。


「そろそろでるだろう。準備してくれ。」


 でたら『夢想無双』で瞬殺さ。いやもう死んでるか。


 そんなことを考えていたところに、非常に嫌な悪寒がはしる。


 体が震える。冷や汗が毛穴という毛穴から吹き出る。Tシャツが肌にまとわりつく。気持ち悪い。


「来たか。」


 現れたのは、関節部分がなく、膝から下がない人。顔は皮膚、肉がついていない。黒いオーラがその人を纏っている。


 いや、人ではない。《怨霊》だ。


 そのあまりにもおぞましい姿に戸惑ったが、冷静になって『夢想無双』を使おうと念じる。


 が、しかし


「発動しない?」


 動揺していた僕に、怨霊、高橋修造が異常なスピードで迫ってくる。


「危ない!」


 椎名君が、指で高速で印を結ぶ。


『光矢!』


 いきなり椎名君の前に現れた光の矢が、ものすごいスピードで怨霊である高橋修造に放たれる。


 それに気づいた怨霊は余裕でかわし、手に黒い球体をつくり、それを椎名君に投げる。


 椎名君は、さっきより長く、高速で印を結ぶ。


『堅守壁!』


 椎名君の前に光の壁ができる。


 球体が壁に当たる。


 大きな音と共に、両方消えてなくなる。


 今度は双方目に見えないスピードで激しくぶつかり合う。


 僕はただ見ていることしかできない。


「なにか俺にできることはないのか?」


 考える。


 『妄想現実』は使えるか?


 僕は『パーフェクトスキル』を使えるようにすると念じる。


 が、これもいかない。ほかにもいろいろ念じたがいかない。


「なぜだ!」


 僕はこの戦いをただ固唾を呑んでいることしかできないのか!


 クラスメイトの命が危ないんだぞ! ただ黙っているなんて言語道断だ!


 でも考えてみれば、僕が戦う必要はないんじゃないか?


 普通である僕が、一方的に巻き込まれているだけ。無理矢理に。


 立場上僕は別………何を考えているんだ僕は! 


 最低だ・・。クラスメイトが危ないっていうときに、僕は自分のことを考えるなんて!


 …………。僕もやる。自分のためだけじゃなく……クラスメイトのために!


 僕は近くにあったちょうどいい長さの木の棒を取る。


「普通のやつは普通なりにがんばるだけさ!」




 僕のクラスメイトは呪術師です。

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