僕のクラスメイトは中二病。
僕のクラスメイトは中二病です。
中二病の伊藤さんは僕に、「解放期に選ばれし私たち二人で混沌の大地へ向かおうぞ!」と言った。
おそらく訳すとこうだろう。
「放課後に僕たちで秋葉原に行こう!ってことね。」
こくこくうなずく伊藤さん。
佐藤さんは結構かわいい。ただ、眼帯、包帯、カラコン、十字架のアクセサリー、青髪(染め)と、いろいろあれである。
「ねえ。行こう?」
上目使いで僕を見る伊藤さん。
かわいい。が、
「どうやっていくの?」
秋葉原は遠い。
「あ。ごめん考えてなかった。じゃなくて、想定外だ!」
えー。じゃあいけな・・・・・、いや、
「大丈夫! 僕に任せて!」
「?」
放課後
「見ててね。」
■スキル発動! 「妄想現実!」
僕は秋葉原へのワープを妄想する。
僕たちの前に黒く渦巻いた大穴が開く。
「すごい! どうやったの!?」
やっぱり食いついてきたよ。
「ひみつ!」
「え~教えてよ~。どうなってるの~。」
「まあまあ。ほら早く行くよ。」
「え、これ何なの?」
「いいから来て!」
僕は伊藤さんの手をとって、無理やり引っ張って穴に入る。
「わっ! 秋葉原!? なんで!?」
「ふふ。」
うまくいって良かった。
「ところで伊藤さんはなんの用があったのかな?」
佐藤さんは驚きながら、
「好きなアニメのフィギアがほしかったんだけど……。」
「そっか。じゃあ行こうか。」
「う、うん。」
その後、二人で伊藤さんの好きなアニメのフィギアが売ってある店に行った。
「あったあ!」
それは非常に肌の露出がすごい黒装束を纏った金髪爆乳グラマー少女。ていうかパンツ丸見えやぞ!
「ほしかったんだあ。」
伊藤さんはいつもの中二的発言を忘れるほど、フィギアに感激している。
しかしこのフィギアすごいな。…………伊藤さんがこういう衣装を着ているところを見てみたいかも…………って何考えてるの僕は!
■スキル発動! 「妄想現実!」
伊藤さんの衣服が、たちまちフィギアのきわどい黒装束のそれに変わった。
「ひゃああああああああああ!」
悲鳴を上げる伊藤さん。
しまった!! 僕の馬鹿! スキルが暴走したじゃないか!
悲鳴を聞いてやってきた野次馬がぞろぞろとくる。
ここは秋葉原。つまりいるのはあれな方々ばかり。
「おほおおおおおお!」
「萌えええええええ!」
「パンツが!」
なんと伊藤さんを写真でとり始めたではないか!
「や、やめろよ! 困ってるだろう!」
伊藤さんはその場に女の子座りで座り込んで泣いてしまった。
読んでるみんな! みんなはこんなときどうする?
1 逃げる
2 性欲全開! やっちまえ!
3 写真をとってネットへばら撒く。
4 スキルの力で野次馬どもを一掃!
5 スキルの力で逃げる。
僕はね、全部ありだと思う。じゃなくて! 5だよ!
■スキル発動! 「妄想現実!」
『パーフェクトスキル』を使えるようになる。
■『パーフェクトスキル』 『キング』 『神速』
「へ?」
僕は伊藤さんを抱えてその場を脱出。
「くそおっコスプレ美少女は俺のものになるはずだったにい!」
「あのこはわっちの嫁じゃい!」
「げへへ。この写真で三日は……。」
ちょっとあれな方々はそんなことを呟いておりました。
「はあはあ。」
僕たちは今、とあるビルの上。
伊藤さんの衣服は制服に戻しました。
いやあしかし、まさかちょっと考えただけでスキルが発動するとは…。
「ねえ。」
「はい!」
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんさいごぺんなさいごめんなさい!
「かっこいい!」
「え?」
「すっごいかっこいい!」
「かっこいい」
「うん!よ~し私も!」
そういって右手を前に突き出し、
『深遠なる大地よ!蒼穹よ!この「シルヴァ・ゼ・バリスタ」に力を!』
…………。
何も起こりません。
「うわーん! なんでいかないの!」
泣いてしまった。
「私だって分かってるよ! 絶対できないって! でも、いつかは、願い続ければ、信じ続ければいくって! 諦めたくなくって! ぐすっ……うう。」
「えーと。」
どうしようかな。
あっそうだ!
「もう一回やってごらん。」
「へ?」
「さっきの台詞もう一回。」
「ぐすっ……なんで?」
「いいからほら。」
「う、うん。」
そういってまた、右手を前に突き出す。
『深遠なる大地よ!蒼穹よ!この「シルヴァ・ゼ・バリスタ」に力を!』
その瞬間、伊藤さんが高く浮く。
「わ、え、きゃあ!」
「すごいじゃん伊藤さん!」
ってうおっ! パンツ丸見え! 以外にも白!
「ってきゃあ! どこ見てんのよ! 変態!」
そういってスカートを手で押さえる伊藤さん。しかしそんな抵抗も意味がない。ローアングルからは丸見えだ。
伊藤さんに制御権はない。だからもう少しこれを楽しむか!
「うわーん! うわーん! 助けてえ~~~~~~~~~~~~~~~~!」
30分くらい鑑賞した。
「ううっグスッ……ひっく。」
ぼろぼろに泣いている。
…………。なんかすげー罪悪感。写真まで撮っちゃったし。いろいろあれだわ…………。
「大丈夫?」
「うん……ぐすっ。」
元気づけるためにはどうすればいいかな。
1 「好きなもの買ってあげるよ。」
2 スキルの力でかっこいい技を撃たせる。
3 「君の泣いているところは見たくない。だからほら。笑って。」
4 「パンツ白だったね…………。」
よし、1、2、3だな。
「ほら、さっき浮くことができたんだからほかにもなんかできるんじゃないかな?」
「え?」
「僕ほかのも見てみたいなあ。」
「そお?」
「うん!」
「承諾!」
そういって伊藤さんは右手を上にかざし、
『愚かな愚民どもに裁きを!』
僕は軽い炎を出す程度と妄想した。が、
なんか空が一気に曇ったよ。真っ黒に。
『天』『龍華嵐山』!
ウワッ!巨大な龍が雲の切れ目から出てきた!
龍が口をあける。黒い球体ができる。
や、やばい!あれ多分地球破壊できる威力だ!
「ストーップ!伊藤さん!」
『ひれ伏すがいい!地獄で待っていろ!』
やばいよ!今かるーく世界崩壊の危機だよ!
技の空撃ちで世界崩壊ってどういうこだよ!
よし!『妄想』(解除)だ。
あれ?解除できない!なぜ!
『黒牙龍よ!世界を焼け!』
「待って伊藤さん!」
くそう。やるしか・・ないのか。
『何だ貴様。この「シルヴァ・ザ・バリスタ」に勝負を挑もうと?』
伊藤さんはなんかもうおかしくなってる。
左目の赤いカラコンが光る。
『良かろう。我が最強だということをここで示してくれるわっ!』
■シルヴァ・ザ・バリスタが現れた!
①戦う ②説得 ③逃げる
「もうやるしかない!」
①戦う 1攻撃 2魔法 3回復
1攻撃
ごめんね伊藤さん!僕のせいだ!
■佐々木の攻撃
■最邪悪斬り! 最弱斬りがパワーアップ!でも弱いのは変わらない!
■新スキル発動!
「お!なんだろう?」
■『夢想無双!』 なんでもアリ!?
「なんだこのチートスキル!」
■使う?
1使う 2使わない
うーむ。
考え込んでいたら、
■シルヴァ・ザ・バリスタの攻撃
■スキル発動! 『妄想現実!』
「何!」
■『中二がネット通販でウニを発注中に、急に中二的発言をしたっちゅうに!』
「くだらねえ!ていうか何したいの!」
「うわ!」
■佐々木に500000のダメージ!
強い!何もされていないのに攻撃を食らっただと!
■シルヴァ・ザ・バリスタの攻撃
■『中学二年の中二病患者は急に中二的発言をしたっちゅうに!』
「それがどうしたって!」
「ぐはっ!」
■佐々木に500000のダメージ!
何で! なんで何もされてないのにダメージ食らうの?
■シルヴァ・ザ・バリスタの攻撃
■『チューをしてる途中で登校中の中二病の中学二年生が一酸化炭素中毒をを起こして死んだっちゅうに!』
「意味がわからんわ!」
「ぐはっ!」
■佐々木に1000000のダメージ!
なんでやねん! なんでなにもされ……いや待てよ。もしかして。
■シルヴァ・ザ・バリスタの攻撃
■『コマネチ!』
「っ!」
僕は必死にツッコムのをこらえる。
…………。
「よし! やっぱりな!」
ツッコムとダメージを食らうシステムなんだな。よし!
「布団が吹っ飛んだ!」
逆にボケれば・・。
■佐々木に9999999のダメージ!
「なんでやねん!」
■佐々木に999999999999999のダメージ!
「どうなってのや!」
■佐々木に9999999999999999999999のダメージ!
「もうええわ!」
■佐々木に∞ダメージ!
キリがねえよ!
■佐々木に∞ダメージ!
地の文にまでか!
■佐々木に∞ダメージ!
※しつこい!
■佐々木に∞ダメージ!
※∞ループ
「はあはあ。」
もう疲れたわ!
チート使うぞ!チート!
■『夢想無双!』
伊藤さんを元に戻す!
龍が消える。
そして伊藤さんはパタリとその場に倒れ込んだ。
「ふう。」
「うーん。はっ! ここはどこ! 私は誰!」
「疑問系で言えよ!」
「あへ? 佐々木君? ここはどこ?」
「なに寝ぼけたこと言ってるの?ここは君の家だよ。」
「ふぇえ。あ、本当だ。」
みんな気づいたことない? そう。スキルで伊藤さんから中二をとりました。治療完了です!
「あれ?なんかほしかったフィギアがある!」
やっぱり趣味は変わらないんだ。
「さっき買ったばっかでしょ!」
「そうだっけ?」
こりゃ完全に飛んでるな。すべて。
「じゃあ世界を破滅に追いやったことは?」
「何おかしなこと言ってるの? 馬鹿なの?」
おいおい。ついさっきまで君も馬鹿の部類に入っていたんだぞ!
「ま、いいや。ばいばい。」
「うん。」
伊藤さんは家に入っていった。
「ふぃ。」
翌日 朝のホームルーム前に
「佐々木よ、解放期にえらばれし私達二人で混沌の大地へと向かおうぞ!」
「昨日の夜何があったあああああああああああああああああああああああああああああ!」
■佐々木に∞ダメージ!
しつこいわ!!!!!
とりあえず断った。
「はあ。」とため息をついて、先が思いやられると嘆いていたところに、僕の左隣の隣の佐藤さんが話しかけてきた。
またまたその内容も、僕にとって最悪なものだった。
「あの~佐々木君?今日の放課後戦場を撮影しに行くんだけど一緒に来ない?」
僕のクラスメイトは戦場カメラマンです。
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