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僕は悪魔。/ゼロブレイク②(第一回A高校戦争②)

 私は見てしまった。


 写真におさめてしまった。


 友達が友達を殺すのを…


 クラスメイトがクラスメイトを殺すのを…


 佐々木智和が、伊藤聖奈を殺すのを…


 

 私は戦場カメラマンの佐藤蘭だ。


 敵組織『ゼロ』の、簡易的に設置された校舎裏の本部に来ている私は、情報得ようとしていた。


 幹部らしき者や、コンピューターを操作している者が何人かいる。


 近くの茂みで、カメラをかまえ、いざ写真を撮ろうとしたその時だ。


 伊藤聖奈が現れた。


 そして彼女は、『ゼロ』の総督である佐々木智和に殺された。


 私は見逃さなかった。


 彼の右眼が禍々しく銀に光り、紋章が浮かんだのを。


 写真にバッチリおさめた。その瞬間を。


 何かを掴んだ! そう思ったつかの間、


「何をしている!」


 見つかった。見つかってしまったのだ。


 振り返るとそこには、アサルトライフルを持った『ゼロ』の一人がきた。


 ああ、終わった。


 私は諦めてしまった。


 生きることを。


 撮ることを…


 後悔することが、私の人生最後だった。


 バンッ!!


 


 なんだ?


 近くで銃声がした。


 僕は音がした方へ行く。


 おお、これはこれは。


 見ると、地面には首がない体が一つ。

 

 首からは勢いよく血が吹き出している。まるで噴水のようだ。


 頭を吹き飛ばされたのか、辺りには肉塊がゴロゴロとある。


 そして、カメラが手に握られている。


「総督! 偵察員と思しき者がいましたので、始末しておきました。」


 フフ。


「よくやった。」


 口の端が釣り上がる。


「佐藤さん、良い写真は撮れたのかな?」


 カメラを拾い上げ、映像データを見る。


…………。


 パシャッ


 僕は佐藤さんの遺体を撮る。


「ククク、フハハハッハハハハハ!」


 ガシャッア!!


 カメラを地面に叩きつける。


 カメラは見事に砕け散る。


 また一緒に写真を撮りましょうね。今度は、


「地獄で!!」




「なんだアイツは! …うわぁ!!」


 白銀の刃が、絵を描くかのように線を引く。


 血のしぶきはまるで、舞台の終盤の紙吹雪だ。


 刹那


 迅速、瞬速、神速。まさにそのものである。


 『ゼロ』の幹部であり、以前A高校2年Aクラス全員を病院送りにした実力者。


 最強。これが彼に最も合うイメージだろう。


「…………。」


 大型のサバイバルナイフには、全く血がついていない。


 しかし彼は刃を布切れで入念に拭く。


 その後彼はその場から消えた。




「X、なかなかの人材だな。」


「はい。もうすでに30人は殺しています。」


 僕の感想に対して、『ゼロ』本部管理隊の一人が共感する。


「さあそろそろ、詰めに入るか。」



 

 『ゼロ』の前線攻撃部隊の一人のアサルトライフルから放たれた弾を、異世界人の西城英彰は飛び込むような感じで、なんとか避けきる事ができた。 


 しかし、着地したその地面には、地雷が仕掛けられていた。


「しまっ…」


バアッン!!!!


 轟音。


「西城ォ!」


 異世界転生者の須藤勇人は、土煙が上がっている中に飛び込む。


(おいおい、地雷で味方は死んでも良いてっか?!! 糞クズ野郎に成り下がったな、智和ゥ!)


 須藤は凍りついた。


 西城という人間は既に存在しなかった。


 人間的形を保てていない、紅く、存在感がある塊は、とてもさっきまでそれが、西城英彰だったとは、須藤は思えなかった。


「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」


 叫ぶ。もう自我は無かった。


「黙れ――」


 一閃。


 分子と分子が断ち切られる。


 綺麗に二つに分かれたそれは、須藤勇人の体だ。


 先ほど斬った人間の時と変わらない無表情で、いつもと変わらない表情で斬ったのはX。


 斬った須藤を確認もせず、そのまま次の対象を探すために場から消えた。


 


「どうしてB高校の奴らが来ないんだ!」


 郷田玄造は校舎2階で、『ゼロ』の数人を相手にしていた。




 同時刻、B高校にて


 B高校2年Bクラスの全員は、教室に集まっていた。


 チート勇者の田村浩太の手には一つの便箋。


「皆、こんなものがどこからか送られてきた。」


 彼らにはまだ、A高校で戦争が起きていることは知らされていない。もちろん智和の仕業だ。


「今から確認するよ…」


 皆警戒していた。嫌な予感が襲うのだから。


 便箋の中にはカードが入っていた、


 『佐々木智和』の眼の紋章が浮かんだ――


 銀の光が教室の中に広がる。


「なんだ!」


…………。


「「「「「「「「「「「A高校生徒、コロス」」」」」」」」」」」」


 


 ん? どうやら発動したようだな。


 僕はカードに、能力を仕込んだ。


 それを奴らのもとへ。


 奴らにはAクラスの者共を殺すように力を組み込んだ。


 フフ、完璧だ。


 これで能力を2回使ったな。『レフト』と入れ替わる筈だ。


 クク、『レフト』はこの後、どう動くかな?


 自分の目的が達成されるんだ。もちろん状況に合わせる筈。


 しかし僕はもう、どう『レフト』をそこから落とすかは考えている。


 僕の勝利は確定だ。


 アハハハハ!



 僕は、コンピュータの画面に映る、校舎内の敵軍本部の映像を見て驚く。


 何故お前がそこにいる!!


 何故!


 何故お前がAクラスの指導者を!!


 麻生静華。僕の彼女は、何故かそこにいた。


 僕の意識はそこで切れた。

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