最強な人? ……ぶっ殺す!
更新遅れてすみません!
「嫌な風が吹いてきましたね……。」
私、翠蓮寺彩愛は、何か嫌な予感を感じている。
これはきっと幼い頃からずっと鍛錬してきた上でついたものだろう。
「智和様……。」
私は、今持っている全ての力を振り絞って走りだした。
理由なんてない。
ただ、走るだけ……
*
入ると、懐かしい気分になった。ちょっと会っていなかっただけだというのに、なぜだかそう感じる。
みんなの反応は、僕の予想していたものと全然違った。
「佐々木君! 大丈夫だった?! 私心配だったんだよ!」
真っ先に僕に話しかけてくれたのは、僕の事が好きで、中二病な伊藤聖菜さん。
「お久しぶり、いや……やあ伊藤さん。質問に答えるとだね……大丈夫ではなかった。」
正直に答える僕。
「そう…だったんだ……」
「うん……」
「佐々木! 急にお前が転校しちまうからこっちはスゲー寂しかったんだぜ!」
異世界転生者の須藤君だ。
「ごめん……いろいろあってね……」
このあともほかのみんなからいろいろなことを聞かれた。
僕は答えられるものには全て答えた。
けれども、僕は母親のことについては喋らなかった。
これは口外するなと警察の方に言われているからだ。
そういえば警察の調べはどこまで進んだんだ?
椎名猟牙の行動によって発覚した、裏で動いている謎の組織的な何か。
椎名猟牙は、僕が殺してしまったからもう彼から何も聞き出すことはできない。
彼の死はどうやら特別で、殺しても法に触れない対象らしい。
しかし……変だ。
急に嫌な悪寒が走る。
嫌な予感がする。
……何か、あるな。
*
私は、不審者を見つける。
此処は、今智和様が事情でいる学校であるA高校。
そこに、一人の男が入ろうとしている。
しかも、並ならぬオーラをだしている。
只者ではない。
私は一瞬にして悟った。
智和様の友である大槻雄也を殺したのは、あの男だと。
でなければ今あの不審者が此処にいる理由はないことになる。
おそらく奴は、智和様を殺しに来たのでは?
そんなことはさせない。
私は印を切る。
男の足場に無数の手が現れる。
その手は男の足を捉える。
私はそのまま仕掛ける。
「死ねぇええ!」
爆音が辺りに鳴り響いた。
*
「結局…大槻の件について詳しく知っている奴はいなかったか…。」
最凶ヤンキーの郷田君が舌打ちを一つしたあとそう呟く。
そう、結局何もつかめなかった。
わかっているのは、大槻の死、謎の組織による動き、敵は相当なやり手…このくらいだ。
しばらくの沈黙。
静寂が教室を支配しきっている。
ああ、どうしてこう僕は弱い。
何故?……何故?
その時、雷でも近くに落ちたかと思うような爆音が鳴り響く。
「何だ?!」
教室いるみんなは思った通り、凡人達のような反応はしない。皆状況の分析を各々している。
「校庭ののほうだ!」
語堂君が超能力で感知したようだ。
皆がその言葉に続いて、教室から出る。
嫌な予感はどうやら当たったようだ。
校庭が近づくにつれて、徐々に恐ろしいオーラが強くなる。
寒気がした。おそらく体が怖いと本能的に感じているんだろう。
玄関から出る。
びっくりした。
僕の『聖剣』がこっちに飛んできたからだ。
僕は反射的に受け止める。
すごい衝撃が体中にはしる。
「グッ」
金髪の美少女。整った顔立ち。スタイル抜群。
そして…『エクスカリバー』である彼女の名は翠蓮寺彩愛だ。
「大丈夫!」
「なんとか…」
とてもではないが、大丈夫そうには見えない。
目立った傷はないが、顔からは相当な披露が見て取れる。
「翠蓮寺?! どうして此処に?」
彼女は苦しそうに答える。
「智和様に……何か不幸が降りかかるかもしれないと……直感的に感じたからです……」
僕のために翠蓮寺は来てくれたのか?
「智和様……此処は危険です……早く逃げてください!」
「そんなことできるわけがないだろう! 僕は戦うぞ!」
「でも…」
『僕は普通が大っ嫌いなんだよぉおお!』
「っ!」
翠蓮寺は目の色を変えた。
「わかりました。それでは私はあなたの剣になります!」
翠蓮寺は右手を差し出してきた。
僕はその手を握る。
『聖剣変身!』
翠蓮寺は聖剣『エクスカリバー』になった。
聖剣である翠蓮寺が喋る。
『さあ…行きましょう』
「ああ」
僕たちがやり取りしている間にほかのみんなは既に謎の敵に向かっていた。
しかし、全員既に倒れていた。
簡単に命を奪うことができるはずなのに、何故殺さないか? それはきっと任務以外はどうでもいいと言うことなんだろう。
対象以外はどうでもいい、それが敵の考え。だいたいどんな奴かはわかった。
しかし、音をたてず最強の集まりを返り討ちにしたということは多分今まで僕が見てきた中では一番強いだろう。
……敵の姿が見当たらない。
こういうときは大体背後から襲ってくる。
でも裏を書いてくることも想定しておこう。
とにかく集中だ。
来ない?
何分たったであろうか? そう思わせるほど待った。
帰ったとは思えんが…
『智和さm!』
刹那――
手榴弾が僕の後ろに突然現れる。
僕は、気づいていない。
爆発した。
……。
僕は生きている。なぜならば、僕は当たっていないからだ。
そう、『最弱最強!』が発動したのだ。
いや、正確には佐々木智和である僕自身の回避スキルの高さが織り成した出来事、というべきか。
もうあれは発動しない。僕は普通なんだから。
しかし……一瞬にして僕の後ろに現れて、一瞬で消えるなんて……。
『智和様! 大丈夫ですか?』
「うん……」
大槻の命を奪ったほどの実力は本物。敵組織の幹部中の幹部だろう。そうそういないはずだ。こんなの。
今もオーラは感じる。しかし敵の姿は見えない。
プレッシャー
重くのしかかってくるこの重石。
汗がダラダラ流れる。
肩に力が入る。呼吸がしづらい。
!
その時、僕は何かを感じる。
敵が来そうな予感がした。
そう言えば、前に翠蓮寺が言っていたな。僕が『主人公だ』って…。
まさかこれが主人公補正だとでも言うのだろうか?
…………。
!
来る!
「翠蓮寺!」
『はいっ!』
『アンリミテッドデルタブレイク』
ひと振り。
それだけで十分だった。
契約を結んでいるため、剣の重みは大したことはない。だから僕でも振り切れる。
当たるか当たらないか。それは知らない。
無数の黒い粒子が剣を包む。
その中から刃が鈍く光るのが覗かれる。
『僕は……普通じゃない!』
一閃
手応えがある。
僕は食らいついている刃を思いっきりなぎ払う。
斬り抜いた刃からは、血が振り払われる。
本当に僕の感が当たったらしい。
でも……
「いない。」
当たった…が、姿はない。
多分もういない。
体がそういっている。
死んではいないだろう。
逆に絶対死んでいるわけがない。
それほどの奴だからな。
辺りに広がった血は、紅い。
やはり奴も同じ血が通った人間だったというわけか…
真っ赤な夕日が、雲に隠れ、辺りは宵闇。
『絶対にぶっ殺す!』
そう心に誓った。
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