友の死 残された意志と言葉
『智和ぅ……逃げろぉ……』
大槻が死んだ。
クラスメイトが死んだ。
友達が死んだ。
まだ高校生なのに……若いのに死んだ。
こんな事、予想もしなかった。
いや、予想したくはなかった。
何故死んだ?
僕のせいだ。
またお前のせいか?
また僕のせいだ。
僕が、僕が弱いから……また……母さんみたいに……
「佐々木!」
僕はハッと我に帰る。
「お前のせいじゃない!」
…………。
いや、絶対アレが絡んでるから僕のせいだ。
僕はまたやってしまった。
僕は今、来たくはなかった、思い出したくはなかった場所であるA高校に来た。
みんなと顔を合わせたくない。
これは完璧な逃げだ。僕は弱い。
「佐々木。とりあえず教室に行こう……みんなもいる。」
語堂君は酷く辛い顔で、酷く疲れた顔で言う。
多分日頃の任務や今回の大槻の事が重なって、限界がきてしまったんだろう。
教室は2階だ。
懐かしい校舎を味わうこともなく、むしろそんなことはスルーしている僕は、とうとう教室の前にきてしまった。
「入るか。」
語堂君は入っていった。
「佐々木が来た。とりあえず皆、知ってる事を全部話し合おう。」
語堂君は真剣な眼差しでみんなに言う。
そこは嘘偽りがない空間。
そこは主人公達がいる空間。
そこは……一つの僕が終わった場所。
そんなところに入れるわけがない。
嫌だ。
無理だ。
「どうした佐々木?早く入ってこいよ。みんなまってる。」
…………。
みんな待ってるだって? そんなはずがない。逆だ。みんな僕が来るのを拒んでいるはずだ。
何も言わず、黙って消えた人間を、いつまでもクラスメイトとして見るものなどいないはずだ。いやいない。
僕は、僕は……
『ボ ク ガ フ ツ ウ ダ カ ラ』
!
『ボ ク ガ ヨ ワ イ カ ラ』
それは、何度も聞いたものだ。
また…それが自分の頭の中に聞こえてきた。
これは、僕の前進の糧になった言葉。
忘れていた。
人間忘れる生き物とは言うが、これはただ単に僕がバカだっただけなんだな。
何故僕は恐れていたのか?
大槻の死を受け入れたくなかった。
みんなと顔を合わせたなかった。
前に進むのが……怖かった。
僕は……普通を超える!
僕は教室に入った。
*
D「×××様。Xを連れて参りました。」
B「ありがとう。下がっていいよ。」
D「はい。」
B「やあX君。調子はどうかな?」
X「…………。」
A「X! 無礼だぞ! 質問に答えなさい!」
B「大丈夫ですよ。こういう奴ですし、しょうがないでしょう。」
A「ですが……」
B「さあX君。次は誰か…わかってるね?」
X「…………佐々木智和。」
B「簡単にはいかないよ彼は。」
X「…………。」
B「まあ期待してるよ。『大槻雄也を殺した』君にはね。」
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