僕のクラスメイトは最凶ヤンキー。
僕のクラスメイトは最凶ヤンキーです。
みんな! 校舎裏といったら?
『告白!』 『チョメチョメ!』 『ヒューヒュー!』 『そのままやっちゃえ!』
いいえちがいます。
『カツアゲ!』でしょ!
僕は郷田君から校舎裏に呼び出されている。
はあ。あれだろ? かつあげ
郷田くんは昭和の不良そのものだ。
リーゼント、短ラン、ボンタン。
しかもつおい。めちゃくちゃつおいんだお。
伝説(噂)じゃあ、「『山○組』ともめたけど生還した」「むしろ痛手を負わせた」だってさ。
コワイヨー
「オウ! 佐々木! きたか!」
郷田君がにっこり笑顔で僕を見る。
「お金ならどうぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「かね? なんの話だ?」
「ふぇ?」
「まあイイヤ。お前に頼みがあってだな……その……」
な、なんだ?! まさかヤっちゃんともめるからお前も来いってか?
うほーこえーーーーーーー!
「伊藤さんと仲いいだろ! その……伊藤さんの好みを教えてくれ!」
…………………………………………。
「え?」
…………………………………………。
「頼むよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「お願いだから胸倉をつかむのはやめてえええええええええええええええええええ!」
「じゃあ頼みを聞いてくれるか?」
「……うーん。」
「次のテストだが……もう内容はヨメタ。既にまとめてあるぞ――どうかね?」
「のったああああああああああああああああああああああ!」
郷田君。実はクラスでトップの成績を誇る。全国でも10番内に入る天才だとか。
「それで! 伊藤さんの好みとかは!」
あーはい。君が伊藤さん(中二病患者)を好きなのはわかった。でもな郷田君……聞いた話によれば伊藤さんは……僕のことが好きらしいぞ!
まあ――いいだろ。
「ええとだね――」
その後、伊藤さんのことをいろいろ話す。
郷田君はうんうんうなずいて聞いていた。
そして何故か郷田君が伊藤さんを遊びに誘う話になりました。
「男だったらちょくせ…………いや手紙にさせてくれ……」
それで僕のアドバイスなしで出来上がったものがコレ。
拝啓 師走の候、肌を刺すような風が心のほうまで冷やしますね。
今年ももう終わる。そう思うとなんだかさびしい気持ちになります。
聖菜様はどうでしょうか? 今年はどんな年に感じました?
さて、聖菜様にお願いがあります。この私、郷田玄造と一緒に映画を見に行くなんてどうでしょう?
冷え切った心を暖める映画を見て、二人で笑いませんか?
無理承知の願いを、どうかきいてやってくれませんか?
ここ最近寒さが厳しくなってきておりますので、お体には十分にお気をつけてくださいませ。 敬具
なんだろう?
キモイw
意外と愉快な方なのね。
それだしてごらんよ。
『キモ!』で撃沈やぞ!
ま、がんばれ!
「佐々木! 俺はイクゼ! 例え世界を敵にまわしても、お前を敵にまわしても、俺は伊藤さんを守る!」
…………。
もう好きにしろ!
5分後。
彼は肩を落として帰ってきた。
どうやら手紙を受け取ってもらえなかったらしい。
「なぜだ!」
郷田君はゴッツイ拳で近くにあったドラム缶を殴る。
ドラム缶は大きく凹む。
そして郷田君はへこむ。
そのとき
「佐々木くーん!」
「伊藤さん!?」
伊藤さんは僕の前に来る。
「?!」
郷田君は目を大きく開いて僕と伊藤さんを一緒に見ている。
「一緒に帰りましょう! じゃなくて共に世界の終焉を駆けようぞ!」
「え、とその…」
ヤヴァイ。やばすぎるぞ!
「佐々木……」
「ひい!」
怖い!
「お前ってやつはああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
ガッ!
「ぐふぉ!」
鳩尾に重い一発。
くそ! お昼ごはんがでる!
「何をするんだよ!」
「うるせー!」
「大丈夫佐々木君!」
「伊藤さんは下がってて!」
くそ! これはもうやるしかないですね。
「ほう。構えたか。だがこの俺に勝てるかな?」
勝てるか!
「行くぜえええええ!」
郷田君の踏み込んだ右足が地面を壊す。
屈強ででかい体格からは想像できないスピードで僕の前に。
右拳が僕の頬をバーン!
「ぐはっ!」
首がゴキリ。
折れたな。
僕の首は真後ろを向く。
「佐々木君!」
「伊藤さん。大丈夫だよ。」
郷田君も、『殺っちまった…』と青ざめている。
■『夢想無双!』
首は完璧に治った。
「え?」
「郷田君。もっと殴るといい。それで君の気持ちが晴れるなら僕は喜んで体を投げ出そう。」
郷田君は黙り込んでしまう。
そのとき
バタッ
僕はその場に倒れてしまう。
「佐々木君!」
「佐々木!」
『!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
何故僕が叫んでいるんだ?
何故僕があそこにいる?
『僕は喜んで体を投げ出そう。』
覚悟はあるのか?
『運命は変わらない。』
『お前が引き止めさせた。』
『何も変わらない。』
『何も始まらない。』
『お前が―弱いからだ。』
「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
「佐々木君! 大丈夫!」
「はっ! 何だ……何だ何だ何だ何だ何だ何だ!」
「落ち着いて佐々木君!」
「…ごめん。」
何だろう? すごく怖い夢を見ていたような…。
ベッドの上?
「あの…僕って…。」
「ここは保健室だよ。佐々木君倒れちゃったから。郷田君が運んだの。」
「郷田君が?」
「うん。すっごい反省してたよ。さっきのこと。」
「ああ。それは別に気にしてないさ。」
ん? 郷田君は?
「あれ郷田君は?」
「ああタオルを取りに行ったわ。佐々木君汗すごいかいてるからって。」
「そっか。」
僕が普通のやつだったら死んでましたね…。
『普通は! ……嫌いだ!』
なんだ!
「うっ!」
頭痛が!
「大丈夫!? まさか悪いところにあたったんじゃ。」
「ああいや大丈夫っっぐ……すぐ良くなると思う。」
それにしても一体何なんだ?―
その後は今まで通り異常な事態に巻きこまれるけれど、特に変わったことはなかった。
3年生は卒業し、いよいよ僕らも修業式を迎えることになる。
僕のクラスメイト達は・・・・・。
第一部はいよいよクライマックスへ!