番外編 僕の妹は腐女子。
番外編キター!
「おにいちゃーん! 起きて~! ってもう起きてるか! 棒が!」
「出オチやめーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!」
「わ! 起きた! そしておにいちゃん! 早くスティックを沈静化させて!」
「読者にいらねー誤解を招くだろうが!」
「え? だって起きてるじゃん?」
「体がな!」
「やだあっ! んっおにいちゃん!あっそのおっきくてかたーいのをほっぺたに押し付けないでぇ!」
「僕の拳だあああああああああああああああああああああああああああああ!」
僕は妹のほっぺたに二つの拳をぐりぐりさせる。
「痛いよ~痛いよおにいちゃん! 破けちゃうよ~膜が!」
「ほっぺたのな!!!!!!!!!!」
「ご飯できたわよー」
「はあい」
母さんの声が、第一ラウンド終了のゴングとなった。
「はあ」
僕はお味噌汁をすすってからため息をつく。
隣に目をやる。
にこやかに白米を口に運んでいる僕の妹。
佐々木葵
綺麗な黒のセミロング。体系はモデル並み。胸は将来期待が…おい!
これが僕の妹だ。
はあ。先ほどの会話から察していただきたい。
彼女は、腐ってます。賞費期限が10年過ぎたくらいに・・・・。
昔は普通にかわいい妹だったのに・・。
小学校高学年あたりからおかしくなって
中学2年の今、このざまである。
けっこうかわいいし、頭もいい。運動もできる。そこはいい!
が! BL好き! 変態! ドのつく変態!
という感じで・・残念なやつなんだ。
「まったく…」
「どうしたのおにいちゃん? いやらしい声だして?」
「だしてねー!」
「ふたりとも。もう時間よ。学校に遅れてしまうわ。」
「うん。」
「はあい。」
準備を済ませた僕たちは、なんとか間に合う時間帯に家を出る。
「おにいちゃんさー。あさから激しかったね…。」
頬を紅葉させて言う妹、葵。
「変にリアリティ出すから回りの人たちが僕に軽蔑の眼差しを送ってくるじゃないか!」
「てへ★」
「『てへ(星)』じゃねええええええええええええええええええええええ!」
「おまわりさんあそこです!」
「ええええええええええええええええええええええええええええええ! なんで!」
「ちょっと君! いいかな?」
「よくないでええええええええええええええええええええええええええええええええええす!」
僕は全力で学校へ走った。
着いてから僕は軽い貧血を起こした。
*
「おにーちゃんいっちゃった。つまんないのお。ふふ、『いっちゃった』だって。ふふ。」
中学校はおにいちゃんの通っている高校とは反対だ。
私はBL妄想しながら学校に向かう。
その途中、
「葵さん!」
「明君」
私と同じ朝のぎりぎり組、後藤明君が私に話しかけてきた。
「急がないと今日も遅刻しちゃいそうだね。」
笑顔で明君はそう言う。
「そうだねー。まあでもまんがいちおくれたばあいは『道端で、おばあさんがしょっていた荷物が重そうだったもので…。』(イケボ)という言い訳でどうだろう?」
「はは。そりゃいいや! じゃ、行こうか葵さん!」
「うん!」
なんかさあ。ここら辺でオープニングとか流れそうだよね!
何言ってるんだろう私…。
『いっちねんせい~になったあら~♪』
あってない!
『ざ~ん~こくな天使の…』
何故!
『進む! 意思を! 笑う! 豚よ!』
『豚よ!』のところで私のクラスのデブのフトシ君の映像があったのは嫌がらせか!
『Under the darkness 閉じ込めた衝動 解き放つ~』(某有名BLゲームの主題歌の一部)
「うひょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお! これよ! これこそが! 真の国歌よ!」
「どうしたの葵さん?」
「ああいや、ナンデモナイ」
「そおかい?」
不思議そうな顔をする明君であった。
ガラ!
勢いよく扉を開ける。
「まったくまた馬鹿夫婦遅刻か!」
あれ~? ぜんりょくではしってきたのにな~
「ふ、ふうふだなんて、先生そんなっ」
とたんにクラスで笑いが起こる。
「お似合いだぜ!」
「ばかふうふ~♪」
「キース! キース! キース! キース! キース!」
なぜかクラス全員が私たちのキスをしろとはやし立てる。
「み、みんなっ!」
デンジャラス? 喜んで!
私は明君のほっぺたに唇ではんこを押す。
刹那―
『わあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!』
*
「葵のやつ大丈夫だろうか?」
あいつは僕と違って、危険を好むやつだからなー。
こんなことを3時間目の国語の時間に考えている僕はシスコンか?
「佐々木君! 君もそう思うよね!」
国語の専門教師が、最後の頼みの綱である僕に話を振ってきたが…。
「ええと。シスコン最高?」
刹那―
『わあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!』
何を言ってるんだ僕は!
死す今じゃねえか!
「佐々木君まで私の話を…うぅ。」
国語の専門教師は、クラスが盛り上がる中ひっそり泣いていた。
*
「葵様! 朝方明というものにキスをしたというのは本当でありますか!」
昼休み。私のファンクラブ? が私のところに集まってきた。
「ほんとうだよ~♪」
「おおなんてことだ!」
「くっそ!」
「ファーストキスは私が…」
「ああ、ファーストキスはおにいちゃんだよ~♪」
「な、なんですとお!」
「うわーん」
「死んでやる!」
「俺もだ!」
「まーまーみんなおちついてー。」
「落ち着いていられませんよ! 我々にとってはハルマゲドンです!」
「あーそーお~。」
「うっ俺やっぱ死ぬのやめた!こんなにかわいらしい方を残して死ねません!」
「べつにわたしあなたのじゃあないんだけどね~」
「うおーみんな! がんばるぞお!」
『おお!』
すでに彼らの脳内から、今朝のキスの件は吹っ飛んでいた。
*
昼休み
「佐々木君! 君シスコンだったのか!」
ハーレム王、斉藤君である。
相変わらずの爽やかっぷりだ。君の笑顔は本当に凶器だ。
「それだったら僕のハーレムメンバーシスコン担当、ギーマ・シトリーさんを紹介しようかい?」
「いや、それはいい。」
「なんで?」
そんなの決まってるだろう
「僕の妹は佐々木葵。ただ一人だからな。」
ちょっとイケボで続ける俺。
「あいつのことはなんだかんだ言って大好きだ。変態だけど…。でもよ! それを受け入れた上で考えるとだな! 本質、根はいいやつなんだ! だから僕は妹、葵が好きだ!」
…………。
はっ! しまった!
大声で話していたため、教室にいるみんなは僕の話を聞いていた。
「そ、その…」
「おにーちゃん。」
「どおわ! 葵! なんでここに!」
「高校の見学できてたんだって、そんなことはどうでもいいの…。」
美麗で整った顔は、見た事がないほどの真剣な表情だった。
「おにーちゃんが私のことそんなにも思っていたなんて………。」
「あっそのだな…」
「ありがとう!」
「へ?」
「その……うれしかったよ! …うぅハズカシイ…」
かなり頬を紅くさせる。朝のとでは比べ物にならないほど、赤かった。
そして妹は言う。心の底から…。
『おにーちゃん…………だいすき…。』
「……葵」
「へ? わきゃ!」
僕は力いっぱい妹を抱きしめた。
恥ずかしい? 関係ない!
「おにーちゃあん! 恥ずかしいよ~」
「…………」
てをほどき、肩に手をやって言う。心をこめて、真剣に!
「これからも…僕、佐々木智和をよろしくな!」
「……うん」
数秒したときだった。
『わああああああああああああああああああああああああああああああああ!』
「さ、佐々木君があ佐々木君があ~」
伊藤さん! そういえば僕のこと好きなんだっけ?
「葵様がーーーーーーーーーーーー!」
なんだあれは? 額に葵LOVEと刺繍された鉢巻をしている。
「葵さん…朝のあれはなんだったの……僕、本気だったのに…あの人…許せない!」
おいおいなんだ君は! なぜ俺をそんなに睨むの? なんでそんな描写できないほどすごい怖い目で睨むの?
「さささき! お前ほんとうにシスコンだったとは…」
『さ』が一つ多いよ! 語堂君! やめてくれ! 肩を掴んで顔を近づけるのはやめてくれ! 君とは付き合えない!
「げへへへ! おにーちゃんがかっこいいひととぐへへへへ! そのままミッドナイトを!」
いわんこっちゃない!
「さあおにーちゃん! 脱いで! そちらの方も! ぐふっ! 興奮しすぎて吐血を…ひひひこれは私が執筆中のBL小説につかえるぞ!」
はあ。残念なやつだ。
そして、大好きなやつだ。
僕の妹は腐女子です。
葵LOVE!