第七話とある少年の思考
なぜ高校の転入試験はこんなにめんどくさいのだろうか・・・
そしてやはり短いです。
今、王立学園ではある一つの噂が流れていた。
曰く
―――ムチャクチャ可愛いメイドの女の子を連れた銀髪の男がいる。
―――その男は特定の学科に所属していない。
―――その男はどこかの王族で学園長に大きなコネがあるために自分で好き勝手が出来る。
―――そのメイドは失われた暗殺技術を会得している。
等々、様々な噂が流れているが、これはほとんどはハズレであるがその噂にも正しいといえる部分がある。
例えば…そのメイドは通りすがりのおじいちゃんから暗殺術を教わっているし。
その銀髪の男も特定の学科に所属していないし、実を言うと学園長に対して大きな恩がある(本人は知らないが)
さてこれはそんな少年の日常…
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俺は正直そこまでこの学校で目立とうともしていない。
親に言われたから来ただけで俺自身は将来どんな職業に就こうがなんでもできる気がする。
……まあ冒険者として過ごすつもりだけど。
さて、そんな自由気ままに過ごしていた俺だが……
「シャオ君、君も一応生徒なんだから研修には出てよね」
と、アリアさんに言われてしまったため、俺は王立学園戦闘学術研修、略して学園研修に出ることになった。
なんでもアリアさんの話では本当は初等部の頃にやるはずなのだが、3~4年前に事故が起こってしまったことから、今では高等部に時期が変わったらしいのだが….
「まあ、君には君が所属する班のボディーガードとして働いてもらわなくちゃね、何でもその班には【王子】がいるからねー、リリイちゃんだけでは少し心配なのよ」
などと言われてしまった。
「あのー【王子】ってなんでしょう?」
そう言う、俺をまじまじと見た後、何処か納得がいったような顔のアリアさん
「あーそうか、シャオ君ってまともに授業受けてないから友達いないものね~」
グハッ!!クリティカル受けたぜ……
そう、俺ことシャオ=シュウロウ=ランパルドは特定の学科に所属していないため、友達がいないのだ(まあ、元から口下手なのだが……)。
最近になってわざと学科に入れなかったことがあのクソ両親の策略なんじゃないかと思ってきた……
……俺……友達出来るかな?グス
「【王子】っていうのはね、今魔術科に居る子なんだけど少し特殊なの」
「ある特殊な魔法が使える代わりに結構大変な体質をしててね」
「特殊な……体質ですか?」
「そうなのよ、その子自身は何も悪くはないのだけれども特殊な魔法の副作用かなんなのか、城壁から外に出ると魔物が勝手に近づいて来てしまうのよ」
……それはまた難儀な体質だな、オイ。
(ちなみに、予測だがなぜ城壁の中は大丈夫かというと、母さんの作った魔道具のおかげで低級の魔物は城壁に近づくことが出来ないことが原因だと思う)
「前に起きた事故もその子の班だったし、少し過保護なくらいがちょうどいいの、ね?お願い出来る?」
……まあ、断る理由もないし、しかも今回の事で友達が出来たらうれしいから是非この話受けようじゃないか。
そうして俺が肯定の意をとると、
「そうよかったわ」
といって帰ってしまったアリアさん。
まあ帰ってからリリイに詳しい話を聞いてみようと思い、俺は桂を取って『エスケープ』という転移の呪文を唱えたのであった。
今週はあと1,2回くらい更新する予定です