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プロローグ
「クッ……まさかこんな死にかけの時に後継者を見つけるとはね……アタシも随分と衰えたものだよ……」
深い深い森の中、今歴史には決して記されなかった……いや、記されてはいけなかった老婆の命が一人の少年の目の前で消えゆこうとしていく……
「おい小僧、アンタにゃ困るシロモノかもしんないが、アタシのチカラをアンタにやるよ。そのチカラは厄を呼ぶ……だがアンタが絶対守りたいものを守ってくれるチカラだ……」
ゴホッゴホッ
老婆は血を吐きながら続ける。
「アンタは唯一この世界にいるアタシの同胞だ……絶対に死ぬんじゃないよ……」
そういい老婆は何か重荷がなくなったような顔をして空を見て呟いた……
「ようやく穏やかに寝れるよ……」
そして、老婆はもう二度と目を開けることなくポリゴンとしてこの世界から消えていった……