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お引っ越しもチート鏡にお任せ!!

 さて、何故だか精神的に疲れてしまいましたが、本題に戻りましょう。


「さあ荷物をまとめて。今夜中に引っ越しするよ」


 私の宣言に、グレーテルと息子は頷いて、立ち上がりました。


「グレーテルはあんまり腕を動かすんじゃないよ」


 手伝ってあげなね、と声を掛ける前に率先して動きだす息子は、幼くして紳士的ですね。


 しかしちゃきちゃき動き出した2人を前に、聖女だけはその場を動きません。




「魔女さん、家ごと移動してもかまいませんか?」


「はあ?」




 聖女がゆっくりと立ち上がると、空気が動いて床の汚れが消えました。


 割れた食器はまとめてテーブルの上に。壊れた家具は修復されて、何事もなかったかのように元通りです。


 それを見たグレーテルは冷蔵箱から取り出していた食材たちを元のように戻し、干し肉の燻製を軒先から取り外していた息子も、その作業を中断してこちらを見ます。


 というか君たち荷物って食材でいいの? という私の心の声を置き去りに、聖女がチート鏡に近寄ってふちをツツツと撫でると、どこかの暗い森の中の映像が映りました。




「隣の国の山です。近くに水場もありますし、危険な魔物もいません。温泉は湧いていませんが、人里からの距離は丁度良いと思います。引っ越し先として大丈夫でしょうか?」


 と聖女が聞くので、私は取りあえず頷きました。


 家ごと飛んでいく!! と言われたらどうしよう、と高い所も早い乗り物も苦手な私は内心ドキドキしています。




 しかし、聖女は鏡を壁から外すと、外にふわりと浮かばせました。


「巨大化!」


 聖女の声に応え、鏡は家にぴったりのサイズに大きくなりました。


 そして、ゆっくりとこちらに倒れてきます。




 えっ?




 唖然としている間に、家は鏡面を潜り抜け、そこはもう知らない山の夜の中です。


「鏡は鳥に姿を変えたので明日には戻ってきていると思います」


 にこ、と綺麗に微笑む聖女に、私は自分の心臓の限界を感じましたが、息子が後ろから抱きついて来て言うのです。



「母さん、もう慣れてもいいと思うんだ」



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