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チートを本気で怒らせると本気で怖いという事です。

 赤く腫れてしまったグレーテルの腕に息子が傷薬を塗っています。


 手の形がくっきりと残っていますが、骨に異常は無いので、跡が残らないように定期的に薬を塗れば、問題ないでしょう。


「僕、もっと強くなる」


「私も、強くなります」


 幼い2人が硬く誓い合っているのを微笑ましく思いながら、床に伸びている騎士たちを聖女と協力して縄で締めあげていきます。


 『鴉』の男とは違い、徹底的にイジメ…いえ、闇魔法をかけたので、彼らはピクリとも反応せずに気絶しています。やはり怖いですよ、闇魔法。


「こいつらはどうするんだい?」


 聖女の指示でとりあえず一纏めにしてみましたが、ここで拘束していても意味が無いように思います。


「まず、こうします」




 聖女が騎士の一人をげしっと足蹴にしました。


 何らかの魔法を掛けたのか、その騎士は気がついて、床に転がったまま怯えきった目で聖女を見上げました。




「お久しぶりですね、隊長。近衛騎士がこんなところで民家を破壊するだなんて何を考えているんですか? 一回人生やり直してみます?」


 げしっ。げしっ。


 大して力の無い聖女が蹴っても隊長とやらにはダメージは薄いかもしれませんが、闇魔法を乗せていることがなんとなく分かりました。チート持ちの精神攻撃、ひどいです。


 どうやら聖女は、私が予想している以上に怒っているようでした。


「い、いいえ聖女様。わたくしどもは御身を救出するために魔女を討伐しようと…」


「へえ、討伐?」


 聖女の眉が吊りあがり、隊長はびくっと傍目にも分かるほどに震えました。


「それで、平和にお菓子作ってるいたいけな少女を怪我させて? 家の中をめちゃくちゃにして? 救出する? 私を? へえ?」


 聖女が疑問符をひとつ飛ばす度、げしっ、と蹴りが隊長の脇腹に入ります。




「申し訳ありません! 申し訳ありません!」


 しまいには、隊長は芋虫のように体を丸め、ただ謝るのみとなってしまいました。




 うわー…。私にはもう言葉がありません。


 正直引くわー、というのが率直な感想でしょうか。




「魔女さん、この男たちどうしますか? 煮ます? 焼きます? 潰します?」


 そんなに良い笑顔でこちらを振り向かないで貰いたいですね!


「………帰って貰いなさい」


 力無い私の指示に、聖女は「かしこまりました」と微笑んで、また隊長を蹴りました。なんで。




「魔女さんの優しさに感謝するんですね」


 妖艶とも呼べそうな色気をまなじりに乗せて、聖女が最後に隊長を蹴りました。



 もう、やめてあげて下さいませんか…。 


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