修業、修業、修業。
「ほら、右!気ぃ抜くな!!脇が甘い!!」
ダン!! と音を立てて足を踏み込み、内側から抉るように息子の剣の横腹を叩きます。
「痛ッ…!」
堪らず息子は剣を手放し、キィン、と金属音を響かせて大空へ舞っていきました。
「何をしている! 動きを止めるな!」
剣を目で追って空を仰ぐ息子に蹴りを入れます。
ぐっ、と呻いて一歩下がり、しかし今度は固まらずにこちらを見て、突き入れた私の剣を横にかわして距離を取ります。
「そうだ、敵から目を離すな! もう一度剣を取って来い!」
「はい、母さん!」
私の基本は土魔法チートを乱用しての戦闘ですが、それだけで倒せる程魔族は甘い存在ではありませんでした。
それぞれの武器のエキスパートの仲間から戦い方を学び、血にまみれながら力を手に入れたのです。
「握り方が違う! また剣を失うぞ!」
キィン、とまた銀の煌めきが空に飛ぶ。
「もう止めるか!?」
「嫌だ、もう一度!!」
息子の瞳には、当時の私と同じ。強くなりたいのだという強い決意が宿っていました。
「魔女さん、意外とスパルタなんですね…」
庭の片隅で、鯉のぼりのように洗濯物を宙に浮かせて乾燥している聖女が、唖然と一言呟きました。




