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王子の呪いが解けました。

 鏡を買ってから一週間。


 聖女と王子が家に来てから、二週間と少し。


 パリイィィン、という硝子が割れるような音と共に、王子の入っていた部屋の鉄の棒と、周囲の壁石の表面が砕けて落ちました。


 欠片は床に落ちるまでに透明になり、きらきらと光を乱反射して雪のように溶けて消えて行きます。




「どうやら呪いが解けたようだね」




 丁度朝食を食べていた私たちは、暖炉の横のそのスペースに集まりました。

 

「グレーテル? 大丈夫?」


 息子が返事の無い王子を心配して声を掛けます。


 透明な欠片の反射が眩しくて、中が良く見えません。




 何か手違いがあったのかと私が焦り始めた頃、中からゆっくりと白い手が出てきました。




 桜貝のような爪、細くて白い綺麗な手、すらりと伸びた腕、丸い肘、柔らかそうな上腕。


 それは華奢な肩に繋がり、金の長い髪がふわりと浮かび、その中に包まれているのは非の打ちどころの無い完璧な美少女でした。


 薄い月のような金の眉も。神秘を閉じ込めたような菫色の瞳も。すっと通った鼻梁、つやつやで桜色の唇。春の風が祝福したような薄い桃色の頬も。


 今まで見た誰よりも可憐で魅力的な美少女。




 ……なのですが。


 あれ?


 暖炉の横から出てきた、という事は?




「…もしかして、君がグレーテルなの?」


 息子の震える声が問いかけると、夢のような美少女は、困ったように微笑みながら頷きました。


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