聖女の拘束を解放します、が。
例えば、私がこれまでじゃんじゃん使っていた土魔法チートが使えなくなったなら。…生活がとても辛くなるでしょう。成り立たなくなるかもしれません。
聖女も同じ状況だとしたら、それはやはり、かわいそうです。でも聖女に付けられた追跡魔法は、私では腕輪無しに外す事はできないのです。
「あんた、大層な魔術師なんだって? あんたには追跡魔法が掛けられていて、魔封じ・検索避け・隷属の輪を付けてあんたの存在を隠しているんだが…魔法が使えるようになれば、自分で追跡魔法を外せるかい?」
聖女はきょとん、と目を瞬かせました。
「はい。出来ると思います」
聖女は、気配を操る風魔法属性なのでしょうか? それとも、遮断する水属性? 光や闇もアリかもしれません。
「信じるよ」
2つの腕輪と首輪を、外しました。
途端に、聖女の周囲を覆うように、1メートルの球状に遮断のフィールドが広がりました。その中のみ聖女の魔法が使えますが、外では魔力の気配はありません。
一瞬で検索避けと魔封じを両立してしまいました。…凄い。
パキン。
そして聖女は、再び隷属の首輪をはめています。
って、何で?
私が驚いているのに気付くと、聖女はにっこりと笑いました。
「だって、私は魔女さんのものですから」