就寝前に甘いココアでだんらんを。
聖女と王子を拾ってから1週間。
息子と王子はすっかり仲良しになったらしく、暖炉脇の牢屋前が夕食後の息子の定位置になり、王子とおそろいのクッションで同じようなポーズでくつろいで談笑しています。
話す内容は息子の毎日の冒険談。王子は瞳をキラキラさせて聞き入っています。
「殿下…グレーテルは、ああ見えても14歳なんですよ」
私は鍋にかけた牛乳を混ぜる手を止めて驚く。そういえばこの世界は欧米風で大人びて見える世界でした。
「息子だって10歳だよ」
へえ、と聖女は目を輝かせました。
「しっかりしていますね」
「苦労を掛ける分、成長は早いのさ」
苦く笑って、牛乳鍋に砂糖とココアパウダーを入れます。白と黒が混じり合い、甘いココアのできあがりです。
「ほら子供たち。これを飲んだら、もう寝なよ」
2人は歓声を上げて熱いカップを受け取り、零さないように大切に口を付けます。
「魔女さん、私も下さいな」
「ほらよ。あんたにゃ砂糖は入れてやらんよ」
「このままでも、おいしいですよ」
「冗談だよ」
コロンコロンと角砂糖を入れてやると、聖女は嬉しそうに微笑みました。
そういえば、聖女の歳はいくつなんでしょうね。




