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王子が目覚めました。
「んー…」
「起きたかい? 飯は食うかい?」
「あ、はいー」
「はいよ」
もぐもぐ。もぐもぐ。
「美味しいです。ごちそうさまでした」
「お粗末様でした」
浄化の魔法の影響なのか、王子は水晶玉で見たパリッとした様子は見せず、パンダのようにまったりしています。
夕食を食べ終えた息子が興味深々に王子に近づき、牢屋の中から食べ終えた器を受け取りました。
その息子と王子の目が合ったようで、
「うわあ!?」
と悲鳴をあげたあと、私のことにも気づき、
「魔女!?」
顔色が真っ青になってしまいました。
これが普通の反応だよねえと、規格外の聖女と見比べて頷いてしまいました。
でも息子に悲鳴を上げたから(慣れてるので本人は気にしないけれど)、しゃくに障るので食後のお菓子は王子だけ抜きにします。