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魔女の手料理は胃袋を掴みます(良い意味で)
物体X(聖女の手料理)のダメージが残っていて辛いので、昨日の残りのシチューを取りだしました。
少し古くなってしまったので狩りの獣をおびき寄せる餌にしようとしていたのですが、背に腹は代えられません。
小麦粉を足して量を増やし、耐熱皿に盛ってチーズを掛け、かまどに数分入れます。チーズが溶けたら完成です。
「ほら、これでも喰いな」
落ち込んでいる聖女の前にドンと置いて促します。
自分でも一口食べてみて、まあ焼いたので古さも気にならないから大丈夫だねと頷きます。
聖女は、恐る恐るフォークを手に取り、ぱくり。
一瞬動きを止め、目を見開いて、
「お、おいしい!! すごくおいしいです!!」
叫んだかと思うとガツガツと食べつくしていきました。
そういえば、この国の料理は味も栄養も気にしない残念な代物だったことを思い出しました。
「魔女さん、このご飯の為なら何でもします! 私、ここに住みます!!」
何だかかわいそうになりました。




