偶然なったドラゴンスレイヤー ~崖から落ちたらレベル87になっちゃった~
ご覧いただきました!?てへ
ありがとうございます。
王道物もチラッと投稿したくついつい♪
今回
「もしも崖から落ちてドラゴンの頭に直撃したら?」という感じです
主人公のサン・クロワッは、レベル87という圧倒的な数字を手に入れましたが、中身はただの宿屋の倅。
エタりやすいので
短編にしてみました
「僕、絶対にドラゴンスレイヤーになるんだ♪」
宿屋《クロワッサンの香り》のランチタイムの食堂で、湯気の立つ大皿を運びながらつい叫んでしまった。常連の冒険者のおじさんたちが、呆れ半分に大笑いする。
「ははは!サンよ、いつもそればっかだな!!まぁ夢はでっかく持て。でも宿屋を継ぐんだぞ? ここのシチューやハンバーグ絶品だからなー」
「とりま!ドラゴンなんて見たら即逃げるのが賢い冒険者だぞ!」
宿屋の倅
サン・クロワッ、15歳。
転生者も多くいる観光ダンジョン街で生まれ育った
この街に泊まる数々の冒険者の背中を見ながら、僕もいつか、あんな風にパーティみんなでわちゃわちゃしたり語り馬鹿騒ぎしたい
冒険出るため
宿屋の仕事をこなしながら、密かに筋トレに励んでいた
夕方前
僕はいつもの谷で釣りをしていた。
ここは街の近くで、魔物が出ない安全エリア。冒険を妄想しながら
のんびり川面を眺め鼻歌を
ハハン♪ハハハハン♪
その時
地を震わせる咆哮が響いた。
「グォォォォォォ……!!ンオオオオオオー!!!ブホオオオオオ」
一気に
心臓がきゅううううううっと縮み上がるような、重低音と重い圧!!!!?!?
逃げにゃきゃいけないのに
アワアワしちびり散らかしながら、
怖いもの見たさで、僕は音のする方へ近づいた。
ガクブルしながら
木々を掻き分け、山側の崖の縁から恐る恐る顔を出した瞬間、
完全に後悔した。あーあー
なんて馬鹿なことをしたんだ、と自分を呪った。
圧倒的にそこに、いた。
深紅の巨大なドラゴン。
鱗の一枚一枚が鈍い光を放ち、翼を広げさらに大きさに恐怖
戦慄する
そしてそのバケモノと渡り合っているのは、四人パーティ『徒然』。
「あ!『徒然』……街最強のパーティじゃん……! これなら、ワンチャンいけるんじゃ……」
リーダーの桜子は、黒髪を一つに束ねた凛とした女性だ。手にした日本刀のような銘刀が陽光を浴びて閃くたび、ドラゴンの硬い鱗が削り取られていく。
後衛の魔法使いが大規模魔法を連発し、ヒーラーと斥候が完璧な連携で支えている。息がぴたりと合った彼らの戦闘は、ドラゴン目の前にしても
凄い
だがドラゴンはなおも健在だ。
巨大な爪が地面を叩き、衝撃波が僕の隠れている崖まで伝わってくる。
圧倒的な力の差。人間が立ち入ってはいけない領域を目の当たりにし、僕の意識は真っ白に染まった。
――あ、死ぬ。オワタ
恐怖を感じる余裕すら与えられない、完全なる精神的シャットダウン。
音も、光も、自分の体すら感じなくなる。思考は消えそうに。
崖の縁から滑り落ちたことにも気づかない。半気絶状態で、僕は真っ逆さまに暗闇へと落ちていった。
(……ドラゴンスレイヤーになっ、、、)
その瞬間、ドンッ!! という鈍い音が響き、ドラゴンの咆哮が止まった。
桜子の渾身の一撃が、心臓を深々と貫いたのだ。
【深紅の暴竜を討伐しました!】
青いウィンドウが視界に広がる。桜子たち四人には、レベルアップの光が彼らを包む。
しかし、次の瞬間――。
体が熱い。力が血管を駆け巡る。
ふわりと着地した衝撃を吸収し、体が未知のエネルギーで満たされていく。
【サン・クロワッ】
【レベルが 1 → 87 に上昇しました!】
【称号『ドラゴンスレイヤー』を獲得しました!】
意識が急速に覚醒する。僕は地面にへたり込んだまま、自分の手を見つめた。
あれ? 僕、生きてる? かすり傷一つない。体中が、ありえないほどの力で満ちている。
ん!?何このステータス!?
そこへ、桜子たちが駆け寄ってきた。
「ちょっと、あなた! あ!?サン!?崖から落ちて……生きてるの?」
サクラコは僕の肩を掴み、ステータスを凝視した。次の瞬間、彼女は目を丸くして立ち尽くす。
「レベル87……? ガチ!?嘘でしょ、私たちとほぼ一緒じゃなくて……?」
斥候の黒髪清楚系の美女のエリリカ
が苦笑しながら言った。
「分配分以外に、別ルートで経験値がゴッソリ流れてる。システムが『戦闘のど真ん中にいた』って誤認したみたいだな……前代未聞だね、これ」
桜子は呆れたように溜息をつき、それから優しく微笑んだ。
「崖から落ちて、ドラゴンの真上に着地するなんて……史上最も運が悪くて運のいい、偶然のドラゴンスレイヤーね、あなた」
「……僕、本当に、ドラゴンスレイヤーになっちゃったんですか?」
「本当よ。おめでとう。でも――」
桜子は僕の頭をポンと軽く叩いた。
「レベルだけ高くても、技術も知識もない。ただの『数字が高いだけ』の素人よ。……ねえ、もしよかったら、私たちと冒険しない? 訓練してあげてもよくてよ!?荷物持ちしながらね♡」
「はい! もちろんです!あと料理には自信あります! 最高に美味しいキャンプ飯、保証します!」
『徒然』の面々が揃って噴き出した。
街へ帰ると、ドラゴン討伐の報せで既に大騒ぎになっていた。ギルド前で僕の名前がアナウンスされた瞬間、広場がどよめいた。
宿屋の両親が放心状態で立ち尽くす中、僕は照れくさそうに桜子の後ろに隠れた。
その夜、宿屋は大宴会となった。
僕が振る舞った特製牛肉シチューを一口食べたサクラコが、目を見開いた。
「……んふ♡美味しい。ここのご飯は前の世界とひけを取らないわよ♡」
彼女の目元が少し潤んでいるように見えた。異世界転生者である桜子にとって、この味は故郷の記憶を呼び起こすものだったのかもしれない。
結局、サクラコは三杯もおかわりをしてくれた。
夜、自分の部屋に戻り、ステータス画面を開く。
名前:サン・クロワッ レベル:87
称号:ドラゴンスレイヤー
スキル:料理Lv.12 新スキル:竜威耐性Lv.1 他……
僕は小さくガッツポーズをし
鼻歌を
ハハン♪ハハハハン♪
完全に、偶然だったが無駄にするつもりはない。
本当の僕の冒険が始まり鼻歌がとまらない。
ハハン♪ハハハハン♪
最後まで読んでいただきありがとうございます
いろいろ感想やポチッとしてもらえた感謝しっぱなしで
鼻歌がとまりません




