掌の上の星
ルル・フォースト…田舎から出てきた出稼ぎ青
年。今は都の下町にある薬
草屋でバイトしながら独学
の魔法を使った何でも屋を
やっている。
シュテルン地区に入ると、またもや街の様子が一変した。通りの両サイドの家々は門付きの邸宅となり、どの家にも庭園がおかれていた。市内はオシャレで、綺麗な街であったが…ここは完全に貴族の世界…店なんて物はほとんどなく、どの家も敷地をめいいっぱい使ってゆとりのある豪勢さを醸し出していた。
それに、歩いている人なんてのも全くいなくなった。すれ違うのは質素ながらも上質で、シックなセンスある馬車だけ…中の人の様子は…というか乗ってるかどうかすらよく分からなかった…
これが貴族の世界か…俺はなんかとんでもないところまで来てしまっているようだった…そんな気がしたがまだ、頭は王宮を一途に強く指し示していた。
その時鐘がなった…ガラン、ガランと大きな音で…どうやら王宮の鐘のようだった、おそらく正午なんだろう…かれこれもう五、六時間も歩いていた。それに、シュテルン地区に入ってからは道が少し上り坂になり始めた、
「ふぅ~」
俺は一度立ち止まって王宮を見つめた。もうこんな近くに…昨日の今頃たしかあの人が来て俺に写真をわたしたんだ、それが一日後には一度も来たことのないシュテルン地区にいるなんて…なんだか、不思議な感じがした。
「ホントにこんなとこまで来たのか…」
そんなとき、王宮を見つめていると俺はあることに気づいた…どうやら俺の感覚は王宮と繋がっている訳ではないようだ…王宮の中のある一点と繋がっている…俺は、王宮の西側の端に近い部分に感覚の塊を感じた…
「あそこだ…」
俺はジッとその部分を見つめた…あそこに継ぎ接ぎが…やっと手の届く所に実感できる…やっぱり感覚は間違っていなかったんだ!
俺は少しずつその感覚にワクワクしながら疲れている足を再び動かし始めた。
にしても、ホントに人がいない。歩いている貴族とすれ違うことがないどころか…貴族の館を守る衛兵すらいない。こんなことでいいのか?だから、ぺぺリアが言ってたような事件が起きるのでは?そんな気がするほど屋敷にも道にも人の気配が感じられなかった…でも、誰かが見ている…そんな気もシュテルン地区に入ってからずっとしていた。
これだけ静かだと、逆に気味が悪い…いつも下町の喧噪の中にいる俺にとっては静けさに包まれたこの空間は耳鳴りがするようで落ち着かなかった…
さらに王宮に向かって歩くこと数十分程…左右の邸宅の大きさはもう、どこからどこが家なのか分からないほど大きな物になっていた。きっと大貴族の家なのだろう…
このままだと、もう王宮に着いてしまう…俺は何となく拍子抜けしていた。きっとシュテルン地区に入ってからは何度も薬草のくだりを使うことになると思っていたが…実際には一度も使うことなくここまで来てしまった。それどころか誰ひとりとして、俺を怪しんで止めようとする人もいなかったのだ…こんなことなら、王宮にも入れるかもしれない…俺はいくら感覚を信用していると言っても少し不安に思っていたが、だんだん楽観的になってきた…
そしていよいよ…下町から歩いてきた道は突き当たりを迎えた。目の前に王宮が現れた…近くで見ると…デカイ、これは、でかすぎる…一体全体どうやってこんな物を作ったのか…王宮の高さは尖塔部分では雄に100メートル以上はありそうだったし、幅は視界に収まらないほどあった。
「はぁ、なんだ…これ…」
俺は、口をあんぐり開けながらそのまま王宮を見上げて歩いていった…
「もしもし…君…落ちるぞ?」
「えっ?」
突然声をかけられて横を見ると、小綺麗な小屋の窓から一人の白髪のおじいさんがこちらを見ていた。落ちる?下を見るとそこには…
「うわっ!!」俺は、飛び下がった…
そこには深い深い崖が…
王宮とシュテルン地区の間には堀があり、そこには跳ね上げ式の橋が架かっていたのだ。
「ほっほっほ…危なかったのぉ~」
おじいさんはおおらかに笑いながら俺の様子を見ていた。なんだよ、このじいさん…そういえば、シュテルン地区に入ってから初めて見た人間だ…
「あ、あの…」
俺は、崖から目を離して…おじいさんの方へ行った。
「ん?なんじゃ?」おじいさんは、小屋から出てきながら言った。
「あの…俺、あっちに…」
跳ね上げ式の橋は上がって王宮にへばりついているのだ…
「そうか…」
「その…おろしてもらえませんか?」
「何の話じゃ?」おじいさんはキョトンとしている。
「え?いや…だから…橋を…」
「まてまて…わしは別にこの橋とは関係ないぞぉ?」
「なっ…」嘘だろ…橋の真横の小屋にいるのに?
「ほっほっほ、跳ね上げ橋なのにこちらからも下ろせたら意味ないじゃろ?」
た、たしかに…それじゃ防衛上何の意味もない…だったらどうすれば…
「じゃ、じゃあ…どうすれば橋が下りるのかだけでも…」
「ほぉ…知らんのか?」
「ええ…まぁ…」
「ほぉん…あの橋はじゃな、勝手に下りるんじゃ…」
「勝手に?」
「そう…あの橋は王宮が受け入れる客が来たときにはおりるんじゃ…つまり、お前さんはお呼びじゃないってことじゃの~ほっほっほ」
なっ…そんなぁ…嘘だろ?ここまで来て…俺は、固まって動けなかった…もう、目の前なのに…すぐそこにゴールがあるのにあそこにあるのに…
俺は、城の西の端の方を見つめた…
「残念じゃったのぉ…まぁ、そういうこともある、またいつかおいで…」
「………俺、どうしても行かなきゃならない仕事があるんです…城の中に…」
俺は、思わず言った。
「ほぉ?どんな仕事じゃ?」
「……分かりません…でも、すっごく大事な…なにか、俺の人生を変えてしまえような…」
「ほっほっほ、若いのぉ~…お前さん、下町から来たんじゃろ?」
おじいさんは俺の服装を見ていった
「はい…」
「よく、そんな曖昧な感覚で…こんな遠くまで…羨ましいのぉその行動力…ほっほっほ」
おじいさんは、大して重大とも思っていないようで…終始ニコニコと話を聞いている。
「まぁ…そうじゃな、ホントに大事な用事ならいずれまた、ここに来る機会がめぐってくるじゃろ…その時はきっと門もあくじゃろう…」
おじいさんは、王宮を眺めて言った。
「運命とはそんな物じゃ…落ち着いて来るべき時を待つんじゃ…急いては事をし損じるぞ?ほっほっほ…」
……なんとも軽いおじいさんだが、何となくその言葉には、落ち着きと物事の真髄が…隠れているような気がした。
「大丈夫じゃ…星はちゃんと見ておる…お前さんの運命のことも…」
おじいさんは、そんなことを言うと俺の方を見向きもせず小屋に戻った…その背中は曲がっていて小さかったが、俺に有無を言わせない力強さがあった…
「俺…また来ます…」俺は、いつの間にか足を今までとは反対向きにしていた。おじいさんの言うとおりなのかもしれない…そんな気がした。よくよく考えれば…感覚も消えるわけではなさそうだし…そんなに急ぐ必要はない。また来ればいい…大して障害になることがないことも分かったし。ここでムリに渡ろうとしてどうにかされてしまう必要はない…
おじいさんは、小さく背中を向けたまま、手を振った…
俺は、誰もいない貴族屋敷街の道を戻っていった…だんだん感覚の向かう先が遠くに離れていった…
~
「あの子がルル・フォースト…」
ルルが去ったあとの小屋には、おじいさんともう一人…王家直属魔法使いのバッチをつけた黒に水色のマントを着た女がいた。
「そうらしいのぉ…」
「けっ!バカバカしい…あんな下町のガキがお魔守だと?信じられっか?」
「声が大きいのぉ…メックちゃん、」
「ジジイはどう思ってるんだ?」
おじいさんは、小屋の中でコーヒーを飲みながら静かに言った。
「そうじゃのぉ…わしは、あの子がホントにお魔守だと思うぞ?」
「マジかよ~、あたし、見てたけどアイツあんたが言わなかったら堀に落ちてたぜ?ただのバカだよありゃ…」
「そうかのぉ~」
おじいさんは、ニコニコと答える…
「けっ!まぁいいや…とりあえず報告書かけよ、さっさと持ってくから。」
「もう書いとるぞ…」
おじいさんが手を振ると…小屋の隅の机から紙が飛んできた。
「おっ、早いじゃ~ん…」
女は紙を受け取って一通り目を通して、ため息をついた。
「はぁ…これじゃホントにアイツがお魔守みたいじゃねぇか…」
「わしは、思った通りに書いたぞ?」
「へいへい…じゃあこのまま渡すぜ、」
女はそう言うと、さっさと小屋の外へでた。
「もう行くのかい?つれないのぉ…」
「忙しいんだよ…場合によっちゃ今晩にでもしなきゃならねぇことがあるんだ…」
女はさっさと小屋の外に出た…そして、少しためらってから言った。
「ジジイも、こんなとこで門番なんかしてねぇでさ、また王宮の中に戻って来いよ、ジジイならどこの陣営でも雇うだろ?」
おじいさんはメックの言葉に静かに笑って答えた。
「メックちゃんも若いのぉ…わしは、権力には興味ないんじゃよ…じゃからこうして暇な門番を…」
メックは、答えを聞き終わる前に…
「あっそ…まぁいいや、じゃあな、またなんか用があったら遊びに来てやるよ…」
「ほっほっほ…上から目線じゃのぉ…じゃ…」
「ああ、じゃあな…」
メックは、姿を消し…王宮のどこかへと、飛び立った。
「面白くなってきたのぉ…ふっふ…」おじいさんは、一人残された小屋で、小さく言った。
~
俺は、夕暮れどき…やっとのことで、下町に入った。まだあと二時間は歩かなければ…これじゃ、日没には間に合いそうもない…
はぁ… 王宮から離れるに連れて、だんだんと落胆が募ってきた。朝ここを通った時には、今日で人生を変える!などと思っていたが…結局、都の中を見て回っただけで何もなかった。ぺぺリアとベートーさんになんて言おうか…あそこまで言ったのに俺…
はぁ… 夕暮れの儚い色と同じように俺の心も切なく、沈んでいた。それでもまだ、感覚は王宮を指している…またいつか来いなんて言ってたけど…よく考えてみると、いったいどんなときなら渡れるというのか…そもそも何を基準に誰がそんなことを決めているのか…シュテルン地区に入ってからは誰とも話していないのに、どうしてそんなことが分かるんだ?
はぁ… 何かと分からないことや落ち込むことが積み重なっている…どうしたものかなぁ 俺は、とぼとぼと見慣れた下町の景色の中を歩いた。
あぁ…日が沈む…太陽はどうやら土色の建物の向こうで地平線に消えようとしているようだった…
昨日のこの時間に始まったんだ…この不思議な感覚は、俺は、ちらりと王宮を見た。あそこに…あそこにあるのに…そのうち、日が…し、ず、ん、だ…
キーン!!
「ぐっ……」そんな、嘘だろ…また!?日没と同時に俺の頭の中に昨日と同じ感覚の嵐が突然訪れた…
「はぁ…はぁ…なんだよ…」
道端にうずくまりながら、頭を抱える…
うっ…なんだこれ…動いてる?動いてるのか?まさか…頭の中に新しい感覚が次々と流れこんできた。まるで昨日の情報を更新するように…そして…
「はぁ、はぁ…どうなって…なんで下町に?なんでこんなに動き回って?」
そう…新たな感覚は王宮ではない場所を指し示していた。それは下町の中、しかもすばしっこく動いていたのだ!
「行かなきゃ…」
俺の疲れ切った足が勝手に動き始めた。
「はぁ…はぁ…はやい…」
俺は、疲れ切っていた足で懸命に駆けたが…感覚の向かう先の動くスピードは凄まじかった。少しでも走る速さを緩めたらあっという間に感覚が遠のくような…そんな速さだった…いったいこの感覚は何を示しているのか…ホントに人?それとも…
町ゆく人々が奇異の目で俺を見ている。だが、そんなの関係ない!今この時を逃したら…もう二度と…そうな気がする…絶対についていかなくては…
「ゲホッ…ゲホッ…はぁ…はぁ…」
どのくらい走っただろうか…やっと…やっと…目的のブツはとまったようだった…俺は、やっと歩みをゆるめ死にそうな足取りでそこへ向かった…
「はぁ…はぁ…」
ここは…どこなのか…よくある下町の裏道のような、どこにでもありそうな薄暗い通りだが、今は違っていた。突き当たりの建物からはオーラが俺に直接語りかけてきていた。こんなに近くで感じたのはそういえば初めてだ。すごい…まるで俺の体と同期しているようにその対象は俺を引き寄せていた。
俺は、半ば自動で動くかのようにその建物に吸い込まれていった…古びた玄関、昔は何があったのかも分からないが中は薄暗くどんよりとしていた。
「……」
俺は、クラクラしながらも何とか落ち着いてきて、建物の中を見渡した。がらんとした空間…もともとは食べ物屋でもあったのだろうか、部屋の中には小さなイスが一つだけ置いてあった。やけに場違いなほど綺麗で輝くようなイス…そして…感覚は…そこを…
「…あそこに…」
ごくりと唾を飲み込んだ。そこには何も見えない。イスしかない…でも…その空間が、いや、そこにある何かが…俺を強烈に引き寄せている…
「今…助ける…」
………
えっ? 俺は、イスにゆっくりと向かいながら…いつの間にかそんなことを口にしていた…
クスッ…「君が僕の…お魔…」
なっ!声?イスのあるところから突然声がした……でも、違和感はなかった、そんな気がしてた…
と思ったその時!
「三等星の名の下に…ザ・クン」
え?新たな声が後ろから…振り返ろうとした俺だったが…その時にはもう…意識は…なかった…
~
「ねぇ、パパ!」
店の奥で薬草を触っていたぺぺリアがガマンの限界に達して飛び出してきた。少し、泣きそうにすらなっている…
「なんや…」店番をしていたベートーさんは入り口近くで店じまいを始めていた。でも、その目はどこか上の空…
「遅すぎない?ルルの奴…」
「………」
「パパ…やっぱり何かあったのかな…」ぺぺリアは、そわそわと落ち着かずに聞く。
ベートーさんは静かに、空を見上げた。もう、少しずつ星が現れてきている…
「ね、ねぇ…」
「ぺぺリア…大丈夫や、ルルは…ルルは…何か、大切なことがあるんや、それで…だから…」
「…パパ……」
「大丈夫…大丈夫…」ベートーさんは寄りかかってきたぺぺリアを優しく抱き締めた…空にはオレンジの小さな星がいつにも増してひかり、自然と目を引いた…
「きっと、悪いことは起きてないで…」
ベートーさんは自然とそういった。いや…そう思った。
~
「んん…」
あれ?俺は……ん…ここは?
ぼーっとしていた頭が次第に感覚を取り戻してきていた。そういえば…俺は…感覚につられて…
「はっ!!」
そうだ!俺はあの時感覚の物が目の前まできていたのに…急に何かに…それで…それで…どうなったんだ?んん…目の前が暗い…なんだこれ…息もしずらい、何かかかっている?俺の顔には何か、異物感があった。
「あっ…エドウィンさん、コイツ起きたっぽいですよ?」
だ、誰?見えないところで誰かの声がした…起きちゃマズかったか?もしかして…何かヤバい奴らに捕まったのか?
ううっ…俺は少し動いてみたが体は動かなかった。何かに固定されてるわけではなさそうだけど…体が反応しない…
「あはは、無駄だよ~それはボクの魔法だからね~君じゃ解けないよ、」
「…!?」
魔法?これが…魔法なのか?
「……おい、ガキ!起きたのか?」
「えっ…」突然強い声がした…女の人か?
ぎゃっ!突然頭に被さっている布?ごと髪をつかまれた
「おい…舐めてんのかコラ…起きたのかって聞いてんだよ…」
「あ、うっ…起きましたっ」
俺は、ヒリヒリする頭皮に耐えながら何とか答えた…これは終わった。絶対にヤバい奴らに捕まった…
グワッ!強く髪を離されて今度は前のめりになった…ゲホッ…
「ネラリ、魔法を解け…」
「はい、」
ふわっと体が軽くなった。な、なんで…解いたんだ?
「立てコラ!」
な、なんなんだよ、この人…俺は、ふらつく足で無理矢理立ち上がった。
「なんだよ、てめぇ…貧弱野郎だな、ケッ!」
「クスクス…ほら、行くよ~」
俺は、どちらか知らないが手を引かれた…うわっ!力つっよ!俺は、半ば強制的にひっぱられながら頭に何かかぶせられたままどこかへ連れて行かれる…足音がどこか知らないが広い空間に響いた。コツコツとまるで何か、上流階級の家のホールのように、足音が大理石に響いている…と、思う。
急に止まった、こけそうになったがこらえる。コンコン…
何か扉を叩くような音…重厚な木の音がこだました…
ガチャン…ゴォ…扉が開いていくようだ、大きな扉なのだろうゆっくりゆっくりと…重厚な音を伴って開いていく
「よし…入るぞ…」
ぐいっとまた引っ張られて俺はまた歩き出した。
だが、今回は少し進むとすぐに止まった。
「ほら…あとはお前が一人で行くんだ。」
え?
「チッ…だから、ここから先はお前一人なんだ!」
「は、はい、」
俺は、思わず答えたが…この先って言われても…何も見えないし…すると唐突に
「じゃあ取るよ~ビックリしないでね?」
え?
ビックリ?何が?パサッ…俺の頭に被さっていたそれが取り除かれた。視界が一気に開けた、やっぱり布がかかっていたのか…その時!ドクン!
なっ……!!ドクン!ドクン!嘘…だろ…頭に感覚がなだれ込んできた。近い…近すぎる…「はぁ…はぁ…」
うっ…俺は、目の前を見た。そこには再び扉があった。金の縁取り、上には白い文字で何か書かれているが……あんな文字知らない…俺は頭を押さえてしゃがみ込む…
「おら!立てよ…こら、てめぇ…お魔守だろ!?」
隣の女の人が俺の腕を無理矢理掴んでしゃがみ込む俺を立ち上がらせた。始めて姿形が見えた…何だ…騎士?…いや…いったい何者なんだ…
それに、おまもりって…何だよそれは…
ぐっ…感覚の嵐の中、俺は何も考えられず直感のままに扉に無意識に手をかけていた。滑らかな手触り…上質な木の感覚が伝わってきた
ガチャン…扉は難なく開いた…
「早く行けよ…」ドン、後ろから押し込まれて俺は部屋に突っ込んで突っ伏したように床にこけた。
「じゃあね~」
「何だよあのふぬけは…ッタク、妃様も訳分かんね」
二人の声が後ろでして、その後…扉はひとりでにしまった。ガチャン…
うっ…これは…あの時と同じ…目の前に…きっと、それが…
感覚がダイレクトに俺に流れ込んできていた。きっと、顔を上げればそこに…
俺は…ゆっくりと…ゆっくりと…顔を上げた…床…そして…少しの段差…その先にはあの黄色…いや…金色!写真と同じ布地が目に入っできた!…これは服か?
そのまま目線を上げると…そこには…
「ヤッホー!ようこそ…ボクのお魔守さん♪」
!!?なっ…子供?そこにいたのは…




