神様ボクは、あいつの不幸を願っています
※バッドエンドです
もし神様が居たら、あいつのことを地獄へおとしてください。
────高校2年の頃。ボクとあいつは友達になった。あいつとは、よくゲームやアニメの話題で盛り上がっていた。喋ってみると凄く明るくて、誰とでも仲良くできるやつだった。
ボクは適当な嘘で場を盛り上げるのが好きだ。それをあいつは必ず拾ってくれる。鉄板ネタは『ボクの死んだ爺ちゃんの夢物語』だ。
「死んだ爺ちゃんが枕元で『初恋は桃の味』って言ったんだ」
「それって逆に祟りじゃんw」
「祟りwww」
言っていることは不謹慎だが、コントのような間が面白いらしく、みるみるうちに、ボクたちはクラスのムードメーカーになっていった。
ボクはあいつのように成りたかった。あいつと仲良くしているうちに、ボクも明るく成れた気がしたからだ。
ボクは、あいつを心の底から笑わせたかった。
でも、陰気な性格のボクはクラスのど真ん中で余計なことを言ってしまった。所謂ネットスラングだ。汚い言葉だった。
今思えば、何も面白くない言葉だった。
差別ともとれるその発言を聞いて、一気に誰も相手をしてくれなくなった。唯一あいつだけはいつも通りのテンションで、ボクをフォローしてくれた。
「お前、昨日のアレ。よく意味わかってなかったんだろ?」
笑顔で助け舟を出してくれた。そのおかげで、誤解が解けてボクは再び仲間の輪に入ることが出来たんだ(長い間、クラスとの対立に仲間を巻き込んでしまったが……)
ある日、ボクに好きな子が出来た。真っ先にあいつに相談した。親身になって乗ってくれた。ボクは心の底からあいつのことを信用した。
ボクのことを2度も救ってくれた。
(へへ、3度目があるかも)
そんな期待をしつつ、ボクは気になってる子に告白することにした。そうしたら、彼女はボクから目を逸らして『あいつのことが好き』だと言った。
あいつの家はボクの家より大きく、両親も揃っていて、バイトでも高校でも優秀な成績を収めている。
勝ち目などなかった。
ボクは大人しく引き下がった。あいつは彼女と付き合い出した。
あいつは良いやつだ。心の底から、幸せになって欲しかった。
────その頃からだ。
あいつが俺のことを無視しだしたのは。
(くそ、女の子との縁のほうが大事ってか。嫌味なやつめ)
それでも、友達というものにすがっていたかったボクは、あいつに付いていこうとした。そうしたらあいつは、「俺に付きまとうな」と言って、仲間全員との関係を切った。
皆は、「付き合いの悪いやつー」と口を尖らせて嫌味を言ってあいつをハブった。
あいつは彼女と二人きりになることが増えた。学校も休みがちになった。久しぶりに登校した日は、転倒したのか腕に包帯を巻いていた。
さすがに声をかけてみる。
「久しぶり、大丈夫?」
「……俺とは関わるな」
そう言ったきり、あいつはボクと一切口を利かなくなった。
────噂で聞いた話だ。
女の子は、何やら悪いグループとつるんで居たらしい。いわゆる美人局だったんじゃないか、と。
(そんな……!)
ボクはそんな女と関わってしまった自分に嫌悪を覚えた。もし彼女を好きにならなければ、あいつは酷い目に遭わずに済んでいたのに。
「2度あることは、3度ある……か」
あのままボクが彼女と関わっていたら、僕が被害に遭っていた。友達になってくれたことや、ネットスラングの件から美人局の件……。
あいつは3度もボクのことを庇ってくれたのだ。
でも、それで良いのか?
ボクは並々ならぬ怒りがわいてきた。積み上げてきた友情、そしてあいつの気持ちを踏みにじるグループが許せなくなったのだ。
ボクはあいつの後をつけた。やっぱり、金をせびられていた。ボクは木製バットでグループを威嚇した。
「──やめろ! 俺とは関わるな!」
あいつが、珍しく怯えた声を出した。
「関わるよ! だって友達だもん!」
威勢のいいことを言ったが、ボクは絶望的な状況を見る。
相手は男3人に彼女1人。勝てっこなかった。ボコボコにされて、根気を失った犬のように地面に倒れ伏す。
それは、あいつもそうだった。
「お前たち、何をしているんだ!」
人の声が2つ。おそらくパトロール中の警察官だろう。グループが僕らを放って逃げる。
「ごめんな、俺のせいで……」
「良いよ。友達だろ」
「女って怖いな」
「……うん」
警察に事のすべてを話した。
それで終わったと思った。あいつが突然自殺するまでは。
あいつの葬式には大勢の人が来ていた。ボクのようなスーツの似合わない母子家庭の者は浮いていた。
遺影を持ったあいつの親族がボクに話をしてくれた。
「あの子は、あなたが勧めてくれたゲームの主人公が好きでね。誰とでも気さくに話しかけて、いろんな人を救うの。あなたが人生で初めて出来たお友達だったから『絶対に守ってやるんだ』と言っていたわ」
「守る……」
「ええ。不良グループがあなたの家を襲うと言ったの。あの子の死が明るみに出れば、あなたの方にまで手が回らないだろうって……」
その顔は、とても複雑そうだった。それもそうだ。ボクと関わらなければ、あいつは死ななくて済んだのだから。
ボクがあいつの人生を狂わせてしまったのだ。いつも。いつも、ボクが思っていることと逆の未来にあいつをいかせてしまう。
────ならば……、
どうか神様。
もし居たのなら、あいつを地獄へおとしてください。来世は人間に生まれないで、とにかく不幸にさせてください。とびっきりの苦いジュースと辛いお煎餅しか食べられないようにしてください。
そう祈っていたら、坊さんの数珠が飛び散った。
あいつならきっと、
「こっわ、祟りじゃんw」
と言ってケラケラ笑ったろうな。
end.
最後まで読んでくれてありがとうございます。




