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異世界にゲームの姿でTS転生したので、従者と旅して回ることにしました。  作者: 愛枝ハル
ヴァロニア王国 王都

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第36話 悪魔と皇女

 「あの、どうして使えもしないペンダントを盗ったんでしょうか?」


 透明化する能力を欲して盗ったのならわかるが、使えないのならただの綺麗なペンダントだ。確かに、それだけでも価値はあるだろうが、ペンダントの能力と比べれば雲泥の差だ。

 あの山羊頭は能力を使うための条件を知らなかったのか?


 「悪魔ってのはね、実際のところ何も考えちゃいないのよ。悪魔なんて大層な名前がついているけれど、お伽噺に出てくるような悪魔とは全く違うものなの」

 悪魔のことを詳しく知りたかったので、もう少し教えて欲しいと王妃にお願いすると、お礼の代わりに悪魔のことを教えてくれた。


 とある国が悪魔の生け捕りに成功し、会話を試みたところ、訳のわからない独り言を繰り返すばかりだったらしい。

 結局、生け捕りにした悪魔を使った様々な実験の結果わかったのは、悪魔に知性と呼ばれるものは無く、度々発する人語は鳴き声のようなものでしかない、というものだった。


 確かに思い返してみれば、あの山羊頭は独り言ばかりでこっちの言葉に反応したことは無かったような…。


 「ま、だからどうしてこのペンダントを盗ったか、なんてわかりやしないのよ。もしかしたら、ただキラキラしてて綺麗だから盗ったってだけかもしれないしね」


 そんなカラスみたいな…。




 悪魔の話が終わると、今度は何故か王妃の愚痴を聞かされることになり、やれあの側妃の性格が、やれあの貴族のおべっかが、あの大臣の説教がと、完全な部外者に話していい内容なのか怪しいものまで聞かされてしまった。



 「イリス様、そろそろお時間が」

 「あら、もうそんな時間なの?」

 部屋に一人だけ残されていたメイドが、王妃に耳打ちをして時間を知らせる。


 「名残惜しいけど今日はここまでみたいね。久しぶりに肩の力を抜いて話せたわ」


 メイドが小さなベルのようなものを鳴らすと、部屋の外で待機していたのであろう女騎士や侍女達が部屋に戻ってきた。

 それと同時に俺達も立ち上がって部屋を出たところで、リチャードさんとここまで案内してくれたメイドが部屋の前で待っていてくれた。



 「なんの話だったかは敢えて聞かんが、あまり吹聴するような真似はするなよ」

 リチャードさんは話の内容を知らずとも、内密の話だろうとは察していたのか、釘を刺してきたので、頭を縦に何度も振って答えた。







 王妃との面会を終えて、王宮から出るためにメイドの先導で帰路に就いていた時だった。


 「セレーネ様、お待ち下さい! 市井へ行くなど危険過ぎます!」


 「いいではないか、母上も様々なものを見てこいと言っていたのじゃ!それに、妾を危険に晒せるような者がいるのなら尚の事興味が湧いてくるのじゃ!」


 金色の装飾が入った赤い鎧を着た一人の女性と、それをなんとか宥めている男性が廊下の向こう側で騒いでいる。


 「厄介なのに出会ってしまったな…」

 リチャードさんがそう呟いたのと同時に、騒いでた女性もこちらに気付いたようで、足早に近付いてきた。




 近付いてきた女性は遠目で見た時よりも随分と幼そうな顔をしていたが、腰ほどまである青と銀の混じったような綺麗な髪のせいで、やけに大人びている。

 年齢にして俺とリリー達の間くらいだろうか?


 「お主! 中々強そうではないか! 妾と一本どうじゃ!」

 女性がアリアを指さして勝負を挑むが、アリアは「断る」とだけ言ってすげなく断ってしまった。


 女性は断られたことが信じられないのか、しばらく絶句して再び騒ぎ出した。


 「お、お主妾を誰だと思っておる! ドラゴニア帝国皇女セレーネ・フォルニス・エル・ドラゴニアじゃぞ! 普通そんな大物と剣を交えるとなったら、感激するもんじゃろう!」

 断られたのが余程悔しかったのか、その場で地団駄を踏み出してしまった。

 というか、帝国ってことは他国だよな? なんで他国の皇女が王国にいるんだ…?


 「セレーネ皇女は今留学中なんだ。見識を深めるためにこの国へ学びに来ているんだが、いつもこの調子でな。そのせいで、お付きの近習はいつも忙しくしている」


 セレーネ皇女の側付きであろう男性は冷や汗をかきながら、しきりに頭を下げて謝意を示している。

 確かに、この皇女のお世話は一筋縄ではいかないだろうな…。


 皇女の地団駄が行き過ぎて寝転んで駄々を捏ねそうな勢いだったことと、頭を下げ続けている側付きの方があまりに不憫だったので、アリアに勝負を受けてやるように言ってしまった。


 「スズ様のご命令でしたら。おい、勝負を受けてやる」


 アリアの言葉を聞いたセレネ皇女は、さっきまでの不満そうな表情が嘘のように嬉しそうな顔になった。


 「本当か!? わはは、やはり妾の偉大さに気付いたようじゃな」


 「で、ですが剣を交えるような場所など…」


 確かに、ここは王宮のど真ん中だし、こんなところで剣を振り回すわけにもいかないよな…。


 「それなら私が許可を出そう。王宮を出てすぐ近くに訓練場がある」

 元帥に就いているリチャードさんが訓練場の使用許可を出すと、セレーネ皇女はさらに興奮しだした。


 「おお、あそこか! ずっと行きたかったのじゃが、イアンが絶対に行ってはならんとうるさくてな」


 「当然でしょう! 危険ですし、なにより他国の軍事施設へ気軽に入ろうとしないで下さい!」


 「なんじゃ、ケチ!」

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