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【書籍化&コミカライズ】転生した私は幼い女伯爵 後見人の公爵に餌付けしながら、領地発展のために万能魔法で色々作るつもりです  作者: もーりんもも
第二章 領地を改革します

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61 支払いはシュークリーム

 アルマが苦しんで導き出したレシピで作ってくれたシュークリームは、私の理想が全部詰まっている。


「こちらはナイフを入れますと、中に入っているクリームがお皿に全部出てしまいます。大変恐縮ですが、そのまま手でお持ちになって召し上がっていただけますでしょうか」


 十時のお茶なのに、一応フィンガーボールもセットしてもらった。

 本当はナイフとフォークで食べるべきなんだろうけど、柔らかバージョンの皮だからね。

 もし仮に茶菓子として出すなら、一口サイズで固めの皮で作らなくては。

 パトリックには、本来のサイズのシュークリームをそのまま食べさせてあげたいと思ったんだ。


「さすがはマルティーヌだね。格好をつけたり外見だけを飾り立てたりしないだけのことはあるよ。こんな風に勧められたのは初めてだなぁ」


 よかった。許してくれた。


 毒味役の私が先にシュークリームを手に取った。

 大きく膨らんだ柔らかいシューにあむっとかぶりつくと、隙間なく詰められているクリームがむにゅっと押し返してくる。

 まさか舌でペロリと唇を舐める訳にはいかないので、お行儀よくナプキンで拭き拭きしながら食べる。

 パトリックは、そんな私の様子を面白そうに眺めていたけど、すぐに同じように頬張った。


「マルティーヌ! 何だい、これは!? これはすごい。これはすごいよっ! 王妃陛下に献上したら宝物庫にある宝石だってくれるかもしれないよ?」


 それはどうも。

 

「お口に合ったようで、ようございました。素敵な図案を期待しております」

「ははは。忘れていなかったかー」


 えええっ! ただただ、飲み食いして居座るつもりじゃないよね?!


「嘘。嘘。僕はこう見えて自分の仕事にプライドを持っているからね。引き受けたからには最高の絵を描くと約束するよ」

「ありがとうございます」


 本当に有難い。もう、好きなときに好きな物を好きなだけ食べてくれていいよ。



 レイモンがパトリックに、領地に関する基礎的な知識をレクチャーしてくれることになった。

 仕事ばかり増やしてしまって申し訳ない。






『そちらの家令から伯父上(パトリック)の滞在が伸びたと知らせが届いたが、何故だ? 今までの彼ならばその理由も明確に記していたはずだが、それがないということは君がらみで、私の耳にあまり入れたくないことなのだろう。どんな悪い報告だろうと必要な場合は、彼ならば躊躇せずに知らせるはずなので、今回は彼を信用して何も聞かぬが、何かあれば速やかに連絡を寄越すように』


 お菓子を引き取りに来たフランクール公爵家の使用人は、手紙の配達人でもある。

 一応は気遣うような内容なんだけど、公爵の手紙って、やっぱり全面的にお説教口調だよね。

 まあしばらくは見ないふりをしてくれるっていうんだから、いいけどさ。







 ――結局。

 パトリックの滞在は二週間伸びた。

 十日過ぎたあたりから私がソワソワしだしたので、彼の方がウザがって私を避けるように部屋にこもってしまい、進捗を聞けない日々が続いた。


 そして二週間目の朝食に久しぶりに姿を見せたパトリックは、「おはよう」の挨拶もせずに、「はい、これ」と言って丸めた紙を差し出した。


 受け取っておずおずと広げるとビックリ!!


「これは……!」


 出来たんだ。ロゴが――ロゴのデザインが!


 小麦の穂が、正方形の底辺の真ん中から左右に分かれて縁取るように上っていき、ぐるりと囲って上辺の真ん中で出会っている。

 中央には、野菜や肉や卵にミルクといった食材が、豊穣の神への供え物のように、これでもかと積まれている。

 中には半分に切った断面が描かれているものもあり、シズル感が半端ない!

 え? 輪切りや断面のイラストって、前世のデザイナーの発明かと思っていたよ。

 パトリックは天才か? 天才なんだね!


「パトリック様……。もう……。本当に素敵です。素敵過ぎます! さすが我が国一番と名高い画家でいらっしゃる!」

「それ、金満家がよく言うセリフなんだけど。まあいいや。気に入ったんだね?」

「はい! もちろんです!」

「じゃあ、仕事は完璧に出来た訳だ」

「はい!」


 私がキラッキラッの笑顔をパトリックに向けると、彼はプロらしい(余計な)アドバイスをくれた。


「確か、商品にこの絵を貼るって言っていたね。そうなると、大きさもまちまちの同じ絵を大量に描く必要があるよね? 誰かあてはあるのかな? よければ僕の知り合いの画家を紹介するけど?」


 それは困る。困ります。アフターフォローが行き届き過ぎです。


「い、いえ。内々に決めてあることですので、ご心配なく」


 今、ちゃんと顔を作れていたよね? 詮索されたくないんだけど。





 ――そうだった。

 この世界にコピーはない。文字を印刷する技術はあっても、コピーする技術はないのだ。

 パトリックが言うように、本来ならば絵は必要なだけ描くしかない。

 でも私は、紙と絵の具さえあれば、この絵を見るだけで、手を添えて大量に写すことができると思う。

 そんなことがバレたらまずい。非常にまずい。



 うーん。成形魔法でコピーする際も、ちょっと劣化させたりバラツキがあった方がいいのかもしれないな。

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― 新着の感想 ―
そう、ハンコ作ろうよ、ハンコ ハンコを魔法で作って、それを金型にして、ハンコを作れば、金型を保存しておけば、何年でも作れる
一流の芸術家ならば、一目で全く差違のないコピー絵に気付き、あり得ない技術が存在することを理解するでしょうね
[気になる点] 彫士にでもハンコ作ってもらえばいいのではとか思うけど
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