表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化&コミカライズ】転生した私は幼い女伯爵 後見人の公爵に餌付けしながら、領地発展のために万能魔法で色々作るつもりです  作者: もーりんもも
第二章 領地を改革します

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/175

59 シュークリームは難しい

 自室の壁を見ると、「有言実行」「やればできる!!」と書かれたポスターが見える気がする。

 もう、妄想大爆発状態な私……。


 言霊って本当なのか、ああやって三人の前で口に出した途端に動き出した感がある。

 あれこれとタスクを洗い出す作業は頭を使うけど、勉強と違ってものすごく楽しい。

 優先順位とスケジュールを考慮した結果、なんと一番急ぐのは、「絵師へのロゴデザイン発注」だった。

 そしてスムーズな依頼に繋げるための袖の下的なものとして、「心躍るスイーツの開発」がそれとセットになる。

 パトリックは食に対する執着はなさそうだけど、芸術家なだけに、美しい物や変わった物への感度が高い。

 だから見たことや食べたことのないスイーツには素直に感動していた。




 なので、今、ここ。スイーツの開発。

 講義がお休みなので、パトリックとは別行動。

 もう四の五の言っていられないので、レイモンに見つかったら速攻謝る前提で厨房にいる。

 アルマとシュークリーム開発の真っ最中なのだ。

 ローラはもう随分前に諦めてくれたみたいなので助かる。



「マルティーヌ様。卵の量を五段階に調節した結果がこれです。ミルクやバターは全て同じ分量にしています。いかがでしょうか。真ん中のものがマルティーヌ様が以前おっしゃっていたものに近いと思うのですが……」


 そう言ってアルマが差し出したお皿を受け取り、代わる代わる粗熱が取れたばかりのシュー皮を食べ比べてみる。

 

「そうね。私もこれが、皮も柔らか過ぎずしっかりしていて一番美味しいと思うわ」


 シュー皮の「味」に関しては、これで決まりだな。

 嬉しそうなアルマは、次の課題クリアを目指してまたシュー皮を作り始めた。




 焼き上がりまでの間、先に作っておいたカスタードクリームをつまみ食いすることに。


 出来上がったときにクリーム自体の味見は済ませているので、クリームブリュレにして食べていると、アルマにバレてしまった。


「マルティーヌ様! お待ちください。いったい何をされたのですか? 私にも見せていただきたいのですが。もう一度作っていただけないでしょうか」


 えぇ……。

 新作スイーツに貪欲なアルマ。

 まあでも、これはこれで新メニューになるかもね。


「大したことはしていないわよ? ココット皿にカスタードクリームを入れて、プリンと同じように蒸し焼きにしたら、最後は砂糖をまぶして、その砂糖が溶けて焦げるまで焼くだけ。冷ますとパリンと表面が割れて面白いの。簡単でしょ?」


「すごいです! マルティーヌ様! それも是非皆様にお出ししたいです」

「そうね。でもこれは()()()が帰られてからにしましょう」

「かしこまりました」





 そうこうしているとシュー皮が焼けた。


「マルティーヌ様。私なりに練り具合を変えて焼いてみたのですが、こちらでいかがでしょうか……?」

「アルマ! これよ――そう、これ! これに決めましょう」 


 なかなかシュー皮が定まらなかったようだけど、やっと完成したかな?





 アルマにシュークリームという食べ物を一生懸命説明して、彼女なりにイメージしてもらったところで作り始めてもらったんだけど……。

 私が正確なレシピを覚えていなかったせいで、彼女が一人奮闘する羽目になったのだ。


 材料を常温に戻すのは基本中の基本として、作り方のコツがうろ覚えで、これまでのスイーツのようには伝授できなかった。

 確か、シュー皮の生地は小麦粉を入れてから、ある程度練らないといけなかったような……とか、卵はちょっとずつ入れていたような……とか、記憶が曖昧なのだ。

 霧吹きをしてから焼いたことだけは覚えていたんだけど。

 なにせ数回しか作ったことがなく、どれも満足のいくものが作れなかったからか、記憶から消してしまったらしい。

 


 シュー皮の方にも砂糖を入れた方がいいと言ったのはアルマだ。試食すると砂糖が入った方が美味しかったから採用となった。

 私のレシピから砂糖が抜け落ちていたのか、それともアルマの才能なのか。どちらにせよ、すごいよ、アルマ。





 この調子なら一両日あればマカロンも作れるかなぁ? いや、さすがに時間が足りないか。

 シュークリームでパトリックを落とせたらいいんだけど、保険としてマカロンも作っておきたいんだよね。


 このままの予定でいけば、パトリックは三日後に王都に帰ってしまう。本当に時間がない。



 マカロンもレシピがはっきりしないからなぁ。

 小洒落たレストランで食事をしたとき、「自家製のマカロンです」と出されたマカロンがサックサクでおいしくて、レシピを検索した記憶はあるんだけど、肝心の材料が思い出せない。

 卵白と砂糖に何かを混ぜていたのは確か。何だったっけ?


 でも結局いろんな味のマカロンがあったから、要はメレンゲに味をつけてサクッと焼けばいいことにして、そのままをアルマに伝えた。クリームをサンドすることだけは忘れずに言って。

 後は――アルマに丸投げと相成った。ごめんなさい。


 あの淡いグリーンの有名店のマカロンは、ねっとりとして少しだけ重い感じがしたんだよね。何が入っていたんだろう?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新連載を始めました。ピンクブロンド第二弾です。*続編ではありません。
私が間違っているのですか? 〜ピンクブロンドのあざと女子に真っ当なことを言っただけなのに〜

カドコミ にて『転生した私は幼い女伯爵』のコミカライズ連載中です。

『転生した私は幼い女伯爵』コミック1巻予約受付中です!
amazon 楽天紀伊國屋書店ヨドバシカメラなど
i1033447

『転生した私は幼い女伯爵3 後見人の公爵に餌付けしながら、領地発展のために万能魔法で色々作るつもりです』
⭐️⭐️⭐️⭐️アース・スターノベルから3巻発売中!⭐️⭐️⭐️⭐️
あらすじや口絵イラストはこちらの特集ページをご覧ください。
ご購入はこちらからamazon 楽天紀伊國屋書店ヨドバシカメラなど
i988178

『私が帰りたい場所は ~居場所をなくした令嬢が『溶けない氷像』と噂される領主様のもとで幸せになるまで~』
DREノベルスから2巻発売中!
購入はこちらからamazon 楽天紀伊國屋書店ヨドバシカメラなど
i929017
― 新着の感想 ―
作ったことないとアーモンドプードルは出てこないよね。手作りすると難しいんだよねマカロン
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ