表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化&コミカライズ】転生した私は幼い女伯爵 後見人の公爵に餌付けしながら、領地発展のために万能魔法で色々作るつもりです  作者: もーりんもも
第一章 伯爵家の当主になりました

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/179

14 護衛の到着

 執務室に入った途端に、一人の少年と目が合った。


 え? この美少年は誰?

 いかにもファンタジーって感じの白い髪に赤い瞳。身長は私より十五センチくらい高い。どこか幼さを残したような面影は、庇護欲をかきたてられる。

 ヤバい。私って、セクハラオヤジの素質があるみたいだわ……。


 頬をちょっと撫でてみたいなどと思ってしまった自分に恥じていると、少年がピシッと姿勢を正して頭を下げた。

 それを見たレイモンが満足げに、「マルティーヌ様。リエーフでございます」と、少年を紹介してくれた。


 ……う。

 当主の威厳も何もあったもんじゃない。だって名乗りもせず、リエーフっていう子のことをガン見していたんだからね。レイモンも気づいたよね? いや、本人も気づいたはず。

 こういう綺麗な子って、小さい頃からみんなに見つめられて育っただろうから、他人の視線に敏感そう。

 うわぁ、恥ずかしい。


「リエーフは、先々代の旦那様の護衛を務めていた者にその才能を見出され、幼少の頃より訓練を重ねて参りました。まだマルティーヌ様と同じ十二歳ですが、着の身着のまま森の中に放置されても生き抜けるだけの技量を既に持っております」


 何それ? この世界って、サバイバル能力が必要なの?

 ん? 先々代ってマルティーヌの祖父だよね。まったく記憶にないわ。


「先々代の旦那様は、マルティーヌ様がお生まれになる前に亡くなられておりますので、ご記憶はございませんでしょう。リエーフの師も、とうに現役を引退しております。マルティーヌ様も学園に入学されましたら外出の機会も増えるでしょうから、護衛が必要になるかと思いまして、勝手ながら領地で育成しておりました」


 もうレイモンったら――。

 泣かせないでよね。そういうことって、普通は父親が考えることだよね。


「……マルティーヌ様がお嫌でなければ、リエーフをお側に置いていただきたいのですが。もしご不快に感じられるようでしたら、この者はすぐさま領地に戻し、二度とお目汚ししないことをお約束いたします」


 え? え? 待って。待って。お目汚しって何?

 何よ、その究極の二択みたいなのは?

 え? もしかして私がセクハラしそうに見えたの? ちょっと見惚れただけじゃないの。


「何一つ不快なことなんてないわよ? こちらこそよろしくお願いね、リエーフ」


 え? 二人とも何をそんなに驚いているの? 私、変なこと言った?

 リエーフはパチパチと目を瞬いている。それでもレイモンがチラリと視線をやると、ハッとして口を開いた。


「お初にお目にかかります。騎士としてはまだ半人前ですが、マルティーヌ様の護衛を務められるよう精進してまいりますので、よろしくお願いします」


 お、おう。私の護衛騎士か。


 今後は王都だろうと領地だろうと、私の行くところには全てリエーフが護衛として同行することになる訳ね。

 今日の午後、視察のために領地に行く訳だけど、もちろんリエーフも一緒だよね。それって思いっきり蜻蛉返りだ。馬は大丈夫なのかな。

 まあ、そういうことはレイモンが抜かりなく考えているか。



 



 昼食をひとりぼっちで食べさせられそうになったので、リエーフの歓迎も兼ねてみんな一緒に食べたいと我が儘を言って、ダイニングルームで一緒に食べてもらった。

 ランチはローラが作ってくれた。

 軽く焼き直したパンと、ベーコンと野菜を焼いたものだけだったけど、とても美味しくてお腹がいっぱいになった。


「ローラは料理上手だったのね。言ってくれればよかったのに」


 私は料理は「出来る」だけで、決して「得意」ではない。ただ単に、前世の定番料理の作り方を知っているだけ。


「得意というほどでもございませんが。必要に駆られてやっていくうちに出来るようになったまでですので」


 あー、家族多かったもんねー。ここは便利な家電もない世界。家事に費やすマンパワーって相当だよね。


 ローラは満足なものを用意できず申し訳ないと、しきりに恐縮していた。これで十分なのに。

 パンに挟んでガブリといきたいところだったけど、さすがに、そんなはしたないことはできなかった。







 食事を終えると、私以外の四人はバタバタと動き回った。特にレイモンは大忙しだ。


「ドニ。メイドの採用は任せます。テキパキと仕事をこなせる者を一名だけ採用しなさい。住み込みを希望する場合は、部屋を自分で整えさせるように。それと応接室の壁紙を貼り替える手配は――」

「はい。職人が明後日来る予定になっています。私の方で抜かりなく対応いたします」

「よろしい。できれば絵画も変更した方がよいので、屋敷の中からふさわしいものを数点選んでおくように」

「はい。この屋敷にあるものは全て把握しておくつもりですので、お戻りになるまでに確認しておきます」


 うわぁ。レイモン、諦めてなかったのか。公爵をおもてなしするのに譲れないものがあったんだね。うん。口を挟むのはやめておこう。

 ドニもいつもの色っぽい笑顔じゃなくて、キリッとした執事顔で受け答えしているもんね。

 あ、でも――。メイドの採用はドニに一任されたので、合格者を見れば彼の趣味がわかるかも?






 領地での差配や、私たちが泊まる宿屋の予約もしたいとのことで、レイモンは一足先に出発することになった。

 レイモンは領地まで、また馬で帰るという。いったい幾つなんだろう? 結構いい歳だと思うんだけど、すごい体力だよね。

 ドニとローラが乗ってきた馬車はカントリーハウスで使用している紋章の付いていない馬車で、ドニたちを降ろした後、すぐにそのまま領地へと引き返したらしい。



「レイモン。ちゃんと休憩しながら帰るって約束してね」

「お気遣いありがとうございます。どうかマルティーヌ様もお気をつけて。ドニ、留守を任せましたよ。何かあれば早馬を寄越すように。ローラ。リエーフ。マルティーヌ様をよろしく頼みます」


 三人は声を揃えて、「はい」と元気よく返事をした。



 私もドニたちと一緒に馬上のレイモンを見送った。

 その姿が見えなくなると、なんだかひどく心細く感じた。

リエーフの外見は、この世界でも少々変わっているのです。それについてはもう少し後の方で触れる予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
皆様のおかげで「次にくるライトノベル大賞2025」に2作品がノミネートされました!
投票が始まりましたので、ここからお願いします!(12月1日17:59まで)
1作目○100「転生した私は幼い女伯爵」にチェックして、ページ下の「次へ」
2作目○151「私が帰りたい場所は」にチェックして、ページ下の「次へ」
3作品目は未選択でも大丈夫です。ページ下の「次へ」
最後に「メアド」と性別「女性(例)」年代「30代(例)」(性別年代別ランキングもあるかもしれないので選択お願いします)を選択して確認後、「送信(投票完了)」

ピンクブロンド第二弾完結しました。*続編ではありません。
私が間違っているのですか? 〜ピンクブロンドのあざと女子に真っ当なことを言っただけなのに〜

『転生した私は幼い女伯爵』4巻が12月17日(水)に発売されます。予約受付中です!
amazon 楽天紀伊國屋書店など

カドコミ にて『転生した私は幼い女伯爵』のコミカライズ連載中です。

『転生した私は幼い女伯爵』コミック1巻予約受付中です!
amazon 楽天紀伊國屋書店ヨドバシカメラなど
i1033447

『転生した私は幼い女伯爵3 後見人の公爵に餌付けしながら、領地発展のために万能魔法で色々作るつもりです』
⭐️⭐️⭐️⭐️アース・スターノベルから3巻発売中!⭐️⭐️⭐️⭐️
あらすじや口絵イラストはこちらの特集ページをご覧ください。
ご購入はこちらからamazon 楽天紀伊國屋書店ヨドバシカメラなど
i988178

『私が帰りたい場所は ~居場所をなくした令嬢が『溶けない氷像』と噂される領主様のもとで幸せになるまで~』
DREノベルスから2巻発売中!
購入はこちらからamazon 楽天紀伊國屋書店ヨドバシカメラなど
i929017
― 新着の感想 ―
獣人とか亜人とかで少し迫害されてるのかな?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ