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【書籍化&コミカライズ】転生した私は幼い女伯爵 後見人の公爵に餌付けしながら、領地発展のために万能魔法で色々作るつもりです  作者: もーりんもも
第二章 領地を改革します

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128 春の大運動会③

 ついにやって来た。とうとうやって来ましたこの日が!

 春の大運動会だぁー!!


 まあ、昨日到着した公爵からは、結構なお小言をくらったけど、ぜーんぜん平気。

 ダメージゼロ!

 報連相は大切。よくわかります。運動会が終わったら、きちんとモードを切り替えて優等生を目指すつもりなので許してほしい。



 さてさて。

 入場行進はないので、領内各地から集まった人々は、既に騎士団の訓練場に集合してもらっている。

 エントランス前は狭いので、訓練場を運動会の会場にしたのだ。

 騎士たちがどんな訓練をするのかわからなかったから、周囲に被害が出ないよう、訓練場は野球場くらいの広さを確保している。

 竣工したばかりの結構立派な騎士用宿舎が、それなりの会場の雰囲気を出してくれている。


 宿舎側を上座にして、来賓席はレイモンが――というか、レイモンの指示でドニがものすごく頑張って(しつら)えてくれた。

 幅八メートル奥行き五メートルくらいのウッドデッキを作り、その上にテーブルを設置している。

 それだけでなく、屋外だと砂埃が風に舞うことがあるので、公爵が口にされるものに付着しないようにと、大工に指示をして、四隅と背面側の柱から天蓋付きのベッドみたいに布を被せて、上部と側面から埃が入らないようにしている。

 布はカーテン用のものかな? 白地に黄色の刺繍模様があって、なかなかのゴージャス感!

 ドニもなかなかやるじゃん!


 ウッドデッキに置かれた木製の長方形のテーブルは私が成形魔法で作ったものだ。

 公爵とパトリックとジュリアンさんとサッシュバル夫人の四人がゆったりと座れるよう、特別サイズのテーブルを作った。

 テーブルクロスを敷けば特注感がハンパない。いい感じ。椅子だけは応接室から持ってきてもらったけど。


 私も本来はホステス役で公爵の隣に座るべきなんだけど、ウッドデッキの端に一人用の丸テーブルを置いてもらい、そこに司会進行役として座ることを公爵に許してもらった。

 レイモンからの口添えがなかったら許可してもらえなかったかもしれない。助かった。


 ふふふ。そう。私が総合司会をするのだ。

 だって私が一番よくわかっているからね。というか、レイモンですら、いまだに正確に運動会を理解できていない感じなんだよね。

 なので、レイモンには悪いけれど、私以外に適役はいないと宣言して司会の座をもぎ取った。



 九時の鐘にはまだまだ早いけれど、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ会場の様子を見てみたくなって訓練場を覗いてみたら、子どもがいっぱいいた!


 午前中は知的系中心なので、会場には三人がけのテーブルを横に四つずつ八列並べている。

 子どもたちは前から順に席についてガヤガヤと楽しそうに喋っている。

 ちなみにこの大量のテーブルとスツールもウッドデッキと一緒に、レイモンが人払いしてくれた訓練場で、オーベルジュの建設資材から私が成形魔法でチャチャッと作ったものだ。


 事情があって今日来れなくなった子もいると思うけれど、名簿には百人近い名前が載っていたからね。

 うちの領地って、たくさんいたんだね、子ども……。



 気づかれないうちに引っ込もうと思ったのに、顔役の一人にみつかってしまった。

 新年の挨拶に来ていたんだろうけど、生憎、私は顔も名前も覚えていない。


「おおっ! マルティーヌ様!」


 その顔役は側にいた少女の手を引っ張って私の側までやって来た。

 私は『動きやすい服装で』と案内したはずなのに、その少女は目一杯着飾っている。

 それなりに裕福な家の娘なんだろうけど、運動会には参加しないつもりなのかな?

 まあ知的系だけ参加して午後はおしゃべりの予定なのかもね。楽しみ方は人それぞれだから別に構わない。

 初めてのことだから趣旨を理解できず、スカートで来ちゃった女の子には、運動ができるよう、一応ステテコのような物を貸そうと思って作ってはいるんだけど、この子には必要なさそうだな。



「マルティーヌ様。娘のジルです。十一歳になりましたので、マルティーヌ様とは一歳違いです。ほら……ご挨拶しなさい」


 おいおい。自分の名前より先に娘の名前を言ってるよ……。

 あぁ、そっか。

 領主とお近づきになるチャンスだもんね。

 あれかな。『ご学友』ってやつを狙ってんのかな。

 十一歳かぁ。最近じゃ自分でも段々と精神年齢が低下してきた気がしているけれど、さすがに十一歳の子どもとお友達にはねぇ……。

 というか、私はともかくとして、来賓の公爵なんて本当ならそう易々と顔を拝むことはできない世界だもんね……。


「ジルです。十一歳です」


 ジルはそれだけ言うと俯いてしまった。

 顔役の方が慌てて、「む、娘はマルティーヌ様のことが好き過ぎまして、ああ、えーと、その何分、恥ずかしがり屋でして、いえ、マルティーヌ様があまりにお可愛いので照れてしまって、そ、その――」と、しっちゃかめっちゃかなフォローをしている。


 ここは私からはっきり言っておかないとね。


「コホン。ジル。今日は来てくれてありがとう。どうか楽しんでちょうだい。私は公爵閣下をご案内しなければならないので失礼するわ」

「は、はい」


 ジルが顔を上げたので初めて目が合った。


「あなたも世話役として他の子どもたちをよく見てあげてね」

「かしこまりました!」


 顔役は何をどう受け取ったのか、嬉しそうに顔を綻ばせて頭をペコペコと下げた。

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