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15 授業終了

「は〜……つっかれた……」


クレアとの食事が終わり、教室に戻ってきた僕は机の上に突っ伏していた。


「それで? クレア様との食事デートはどうだったんだ?」


「どんな話をしたんだよ。俺たちにも教えてくれよ」


マイクとニールがからかうように声をかけてくる。


「食事デート……?」


デートだなんて人聞きが悪い。その言葉に反応して素早く起き上がった。


「違うよ、別に世間で言われるようなデートとかいったものじゃないよ」


「それじゃなんだよ?」


マイクが腕組みして尋ねてくる。


「それじゃ……ちょっと二人共、もっとこっちへ寄ってくれるかい?」


僕は2人を手招きすると、彼らは顔を僕に寄せてきた。


「実は……ここだけの話なんだけど、彼女は今度の週末にジュリオ様がお見合いする相手なんだよ」


「な、何!」

「何だって!」


2人が驚いたように声を上げたので僕は慌てて右手でニールの口を、左手でマイクの口を抑えた。


「しっ! 頼むから大声出さないでくれよ! ジュリオ様はクレア様がお見合い相手ということを知らないんだから」


「何だって? それは本当の話か?」


「それじゃクレア様はわざわざお見合い相手に会うために転校してきたのか?」


僕達三人は顔をくっつけあうように固まって話をしている。傍から見ればかなり不気味な光景かもしれない。


「とにかく、クレア様はジュリオ様の情報が欲しくて僕を誘ったんだよ。だからふたりが考えているような関係じゃないから。そこのところよろしく」


「ああ、分かったよ。それにしてもあんな美人がジュリオ様のお見合い相手なんて羨ましいな」


「だけど、クレア様が気の毒だ。何しろジュリオ様は相手の女性をひとりに絞ることが出来ないからな……」


そうして僕たちは暫くの間、三人で顔をくっつけあうようにゴニョゴニョと会話を続けた――




****


キーンコーンカーンコーン……



授業終了のチャイムが鳴り響く。僕のジュリオとの解放タイム終了を告げる鐘の音だ。


「はぁ~‥‥…」


鞄を持って憂鬱な気分で立ち上がる。

やれやれ……またジュリオのお守が始まるのか……


「それじゃまたな。クリフ」

「お仕事頑張れよ」


ニールとマイクが声を掛けて教室から出て行く。


「うん、また」


これから二人は本屋の後に、喫茶店に行くらしい。……羨ましい。

学校では制服を着用し、屋敷に戻ればスーツを着用しなければならない。僕だってたまには息抜きがしたいのに、完全にジュリオの所有物状態だ。


「早く先に行って馬車の前で待機していないとな……」


重たい足を引きずるように僕は馬車の待合所に向かった――

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