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11 なぜ僕を?

 キーンコーンカーンコーン


四時限目の授業終了のチャイムが鳴り響く。


「ふぅ〜やっと昼休みだよ。今日は朝から頭を使ったからお腹すいたな」


「早く学食に食べに行こうぜ」


マイクとニールが声を掛けてきた。


「うん、行こうか」


すると、何故か2人がぽかんと口を開けてこちらを見ている。


「どうしたんだ? ふたりとも……」


「クリフ様」


言いかけたとき、突然背後から声を掛けられた。


「え?」


驚いて振り向くとそこにはクレアが立っている。


「え? ク、クレア様⁉」


「あの、よろしければ私と一緒にお昼を食べに行きませんか?」


すると彼女の誘いに友人2人はギョッとした顔を見せ……


「そ、それでは俺たちは先に行きます」

「どうぞおふたりでごゆっくり」


そ、そんな! なんで行くんだよ!


危うく心の声が漏れそうになるのを必死で抑え、僕は友人たちが去っていく後ろ姿を虚しく見送る。


「あの……ひょっとしてご迷惑でしたか?」


「え⁉」


慌てて振り向くと、申し訳無さそうに僕をじっと見つめるクレアの姿。


「い、いえ。そんなことありませんよ? 僕でよければご一緒させて頂きます」


ジュリオのおかげですっかり作り笑いが得意になった僕はニコリと笑みを浮かべる。


「ああ、良かったです。それでは学食に連れて行って下さい」


「ええ、もちろんです」


そして僕はクレアと連れ立って教室を出る時……背後で視線を感じて振り向いた。


え?


すると僕をじっと見つめるジュリオと目があってしまった。

ま、まずい……! 彼に勘違いされる! 


しかし、何故かジュリオは僕にウィンクをすると親指をグッと立てるではないか。

まるで『頑張れ』と言っているようだ。


冗談じゃない! 彼女は貴方の婚約者になる方ですよ! とは言い出せず……僕はおそらくジュリオに誤解されたまま、クレアと一緒に教室を後にした――




「すみません。ご迷惑でしたか?」


二人並んで廊下を歩いていると、クレアが申し訳無さそうに話しかけてきた。


「いいえ、ちっとも迷惑なんて思っていませんよ?」


まさか、転入したてで女友達が出来なかったのだろうか? チラリとクレアを見ると、彼女が何か察したのか慌てた。


「あ、あの。別に転入したてで、クラスの女生徒に誘われなかったわけではありませんよ? ただ、クリフ様と本日は昼食をともにしたかったのです」


「えぇっ!? な、何故ですか!?」


「はい、お見合い相手のジュリオ様の情報を色々仕入れておきたいのです。よろしいですよね?」


ニコリと微笑むクレアの頼みを……僕が断れるはずは無かった――


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