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魔法使いが愛したロボット  作者: 駿河留守
序章 魔法の国と機械の国
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プロローグ

 昔。正確には50年ほど前の話です。

 この世界にとあるふたつの国がありました。

 魔法の国と機械の国。

 魔法の国は魔法が非常に発達していました。日常生活に魔法は欠かせない。魔法の国にいる人たちはみんな魔法が使えました。とても豊かで平和な国でした。しかし、使えない者には厳しく、魔法を使えない者は非国民でほぼ死に近いような待遇でした。魔法の国で魔法を使えない人は生きていくことはできませんでした。

 機械の国は機械が非常に発達していました。ロボットがいて、いろいろなことが自動化していました。自分たちが難しいことでも機械を屈指、もしくは機械が助けてくれることで難なくこなすことができて、不自由のない平和な国でした。しかし、魔法を使える者をひどく嫌いました。彼らは機械がなくても魔法で機械と同じことができてしまうのです。そこに大きな力の差が生まれます。例えば、喧嘩になったとします。喧嘩では魔法という武器を手ぶらでも使える魔法の国の人が圧倒的に強かったのでした。その力の差を機械の国の人たちは怖がりました。魔法の国の人たちは野蛮で恐ろしい、と。

 ふたつの国は仲良く暮らすことはできませんでした。

 ある日、魔法の国の人が機械の国の人を殺してしまいました。ちょっとした小競り合いだったようです。しかし、機械の国の人は素手だったのに対して、魔法の国の人は炎を操りました。機械の国の人は抵抗もできなくて丸焼けになって死んでしまいました。

 小競り合いの原因は死んでしまった機械の国の人が魔法の国の人のお店から商品を万引きしたからだそうです。これは機械の国の人が悪いように見えますが、その機械の国の人を魔法で丸焦げにするほどでしょうか?捕まえて警察に逮捕させるのが通常の流れではないでしょうか?

 機械の国の人たちは怒りました。やりすぎだと。

 一方、魔法の国の人たちは反論しました。物を盗む方が悪いと。

 その小競り合いはずっと昔から燻っていたふたつの国の導火線に火をともしてしまいました。最初は報復合戦の始まりでした。輸出入の制限から経済的な制裁。それでも飽き足らず軍事施設の攻撃。市街地の攻撃。敵国民の虐殺。気づけば、大きな戦争になっていました。

 魔法の国は強力で広範囲にとても強い炎の魔法をばらまいて街を一瞬にして焼け野原にしました。

 機械の国は戦艦や戦車、戦闘機を使って砲弾の雨を街に降らせて、街をがれきの山にしました。

 戦争は10年近く続きました。最初は魔法の国が優勢でした。魔法はどこでも使えますし、大きな物を運んだりする必要はありません。ですから隠れることも容易で、機械の国の兵器を簡単に壊すことができました。でも、だんだん機械の国が優勢になっていきました。魔法を使うと人は消耗します。でも、機械は消耗しませんし、簡単に作って増やすことができます。さらに魔法よりも強力な兵器を機械の国は開発していき、魔法で太刀打ちできなくなっていきました。こうして魔法の国と機械の国の戦争は機械の国の勝利で終わりました。

 機械の国は魔法が二度と使えないように魔法使いを捕らえて処刑しました。魔法使いを捕まえて警察に連れて行くとお金が貰えたので、みんな一生懸命魔法使いを探して捕まえました。これを魔女狩りと呼びました。魔女狩りの効果で魔法使いはこの世界からいなくなりました。そう機械の国は信じています。

 しかし、魔法使いたちは少数になって生き残っていました。身の危険を感じて誰も寄り付かない山奥に息を殺すように今も暮らしています。明日、機械の国の人たちは見つかって殺されるかもしれない恐怖に怯えながら…。

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