小さな星
「よし、全員居るな!」
教官の声がこの集まった、輝きを放つエリート集団に聞こえる。
「良いか諸君! 君たちは部隊流れ星に選ばれたエリートだ。その自覚を持ち、見事その体を輝かせながらも夜空を流れ、見るもの全ての心を虜にするのだ! わかったか!」
「はい!」
部隊流れ星、それは星々の中でも選ばれた星だけがなれるエリート職業である。
星の大きくなったらなりたい職業ランキング第2位、それが部隊流れ星。
ちなみに第1位は星座の星になる事である。
「では流れ星、1軍は本日の夜集合する事! 早速流れてもらうからな。それ以外の星は自分磨きをしておけ!」
「はい!」
そんなエリート集団星の中で、先程から暗い星が1星だけ居た。教官はその1星を見逃さなかった。
「おい、そこの星」
「は、はい!」
「話がある、こっちに来い」
教官に連れられて対面部屋に連行された。その間に会話はなくて、1星に不安が募る。
とある部屋、上官と1対1……。何を話されるのか怖い。
「座れ」
「し、失礼します!」
「何が不安だ?」
「え?」
「何が不安でそんなに暗い星になっている。そんなんじゃ、立派な流れ星にはなれんぞ」
「教官、僕はちゃんと見てもらえるでしょうか」
「続けろ」
「見ての通り僕は小さい星です。光って流れても、目立たないと思うんです。流れ星を楽しみにしている生物達を笑顔にする自信が……」
「流れ星は一瞬だ」
「?」
「その一瞬である輝きの流れを見てもらう。また一説には我々に希望、願い事するらしい」
「そんな説があるんですか!」
「お前はそんな流れ星という仕事に配属され、大勢の者達に期待されている」
「そしたら余計に……」
「わからないのか! 選ばれたんだお前は! 幾多の星からコイツならと、輝けると上が選出した1星なんだ! 胸を張って輝く事だけを考えろ!」
そうか、僕はこんなに小さくても誰かに期待されてるんだ。こんな僕にも誰かが希望や願い事をしてくれるんだ。
「いいか? 大きさなんてどうでもいい。どれだけ輝けるのかが大切なんだ。お前は、この部隊流れ星の中でも1番輝けている。わかったら、無我夢中に輝け! そして立派な流れ星となれ!」
「教官、ありがとうございます! 絶対にたくさんの生物達から祈ってもらい、そして立派に輝きます!」
その日の夜。
お母さん、見て!あの星綺麗!など多くの声が地上から夜空まで響いた。
他の生き物達も夜空を見上げていた。
小さな1星は立派に輝く事ができ、綺麗な流れ星となった。