表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/8

第1話 少女と本と魔法陣





 夢ってこんなリアルなのだろうか……

 動物園の獣臭に生ゴミを混ぜて一晩煮込んだかの様な臭いだ。

 腕の怪我も骨が折れてるかもしれない。


 私は今、ドラゴンと対峙している。

 アニメで出てくる様な、怖いけど、どこか悪めない様な愛らしさなんかは微塵も感じられない。

 そこにいるのは、ただ獲物を狙う獰猛な肉食獣そのものだ。

 私はもう駄目かも知れない。




◆◆◆


〔一日前〕



 私の名前は立花恋桜奈(たちばなれおな)、17歳。


 特に不満があった訳でもなかった……。

 いや、無かったと言ったら噓になるかも知れない。

 私は実の父親との記憶がない…。

 

 父親はアフリカ系とヒスパニック系の混血の在日米軍だった。

 しかし両親は私が物心つく前に離婚し、後に父は帰国した。

 もともと私達は横浜に住んでいたが、離婚を機に母の地元の神戸に引っ越した。


 母はシングルマザーとして私を4歳迄育て、後に日本人男性と再婚した。

 

 私は純粋な日本人の両親を持つ黒人の子供となった。


 幼い私には、その状況が全然理解できなかった。

 母親からは『前のお父さんが外国人なんだよ』と言われたが、外国人が何なのかも幼い私にはどういう事か分らなかったと思う。


 周りの友達とも見た目が違う事に違和感と疎外感しかなかった。

 何故私だけ周りのみんなと違うのだろう?両親は普通なのにと…。

 でも幸運にも友達は私にいつも優しく接してくれたし、もし差別するような子がいても、誰かしら盾になってくれる友達もいた。

 そういう意味では私は恵まれていたんだろうと思う。

 今となれば、環境が違えば陰湿な虐めや差別を受ける事もあったかもしれない。


 新しい父親との関係は、私が5歳の時に妹が出来たが、全く見た目が似ていない私を妹と同じように愛してくれた。


 そのお陰で人並みな幼少期を送る事も出来たのだろう。

 でも、みんな心の奥ではどう思っているのだろうかと本心では疑ってしまっている自分がいたのだ。


 だから中学生の時に私は自分で勝手に友達と距離を置く様になった。

 漫画やアニメにハマったのもこの頃だと思う。

 いわゆる陰キャのオタクになったのだ。


 当時から流行っていた異世界モノとかみたいに、ある日突然異世界に行けたら、この心のわだかまりも無くなったりするのかと思って想像する事が多かった。


 

 しかし、高校生になって同じ様にハーフの友達が出来てから私の生活は一転した。

 友達と積極的にと遊ぶ様になった。

 今迄、散々溜め込んでいた若いエネルギーを全て発散するかの様に。


 そして服装やメイクも派手になり、紹介で知り合ったギャル友達とも行動を共にするようになった。

 次第に学校の成績も下がり、クラブに行くようになってから朝帰りも頻繁にするようになった。

 

 家に帰ると両親と妹の3人の中にいる事に何か疎外感を感じて嫌になってきたからだ。


 そんな毎日が続いて両親との関係も次第にうまく行かないようになっていた。




 ◇◇


 神戸市三宮

 

 私はいつもの友達の先輩がやっているカフェで、いつも仲の良い友達の絵理沙(えりさ)を待っていた。

 絵理沙・カーター・江藤。

 彼女もまたイギリス人とのハーフで話も合ってすぐに仲良くなった。

 学校から近い事もあって大体ここで待ち合わせして、買い物や遊びに行ったりしていた。

 

 でもこの日は、絵理沙は急に彼氏から会いたいと言われたみたいで今日は会えないみたいだった。

 彼女は彼氏の事になると何よりも優先するタイプなので仕方なかった。


 でも、家にこのまま帰るのも嫌だった。

 今日は金曜だしこのまま電車で大阪のクラブに行って遊ぶのもいいかもしれない。

 後の事は行ってから考えよう。


 駅に向かう為にいつもの近道をする為の裏路地を歩いていた。

 

 その時、一人の少女が目に入った。

 彼女はその場に膝をついてうずくまっていた。


挿絵(By みてみん)


 金髪…?

 色がすごく自然だ。

 カラーとかじゃない…。


 じゃあ外国人かな?


 それにしても、服装がかなり変だ。

 まるで、中学生の時に好きだったファンタジー世界のコスプレみたい…。

 何かのマニアックな店で働いてる子かな?

 それにしては、ちょっと幼すぎるよね…。

 どう見ても中学に入学したぐらいの子供だし。


 しかも、何よりも彼女自身の体がボロボロで傷だらけだ…。


 これは……。

 完全にヤバいでしょ…。

 絶対に関わっちゃいけない子だって…。


 私は出来るだけ目を合わせないように横を通り過ぎようとしたが、急に少女が私にしがみ付いてきた!


「ちょ!!!

 ちょっと!何なの!!」


「########!?

 ###############!!

 ###########!!」


 ??


 英語ではない事ぐらいは解るけど言葉が全く分からない……。

 しかし、近くで見るとすごい怪我だ。

 この少女が瀕死の状況な事はわかる。


「……。」


 そしてそのまま、彼女の手から力が抜け、息を引き取った様に見えた。


「ちょっと!

 あなた!しっかりして

 今すぐ救急車を!」


 しかし、その瞬間、少女の体から無数の光があふれ出し、光と共に少女の体は消滅した!


「消えた!?

 人間のからだが!

 どうなってるの!?」


 しかし、彼女の来ていた服や道具はそのまま残されていた。

 これは……杖か何か???

 ハリーポッターとかで見たような魔法の杖…。


 私の頭の中は全く理解が追い付いて来ない。

 そして、彼女が肩から掛けていたカバンがあった。


 その中には見た事もないような小物類…、硬貨、…そして一冊の本が入っていた。


 見た事もない文字だ…。

 少なくともアルファベットではない。

 そして、本の裏表紙には手書きの魔法陣の様な物と文字が書いてあった。


 <ズキン!!>


「痛っ!!!」


 急に激しい頭痛が走った。

 手も震えだし、その上、私の両手が緑色に光りだした。


 何なの一体…。

 この本に触れた途端に…。

 

「え……?」


 それは自分でも凄く不思議で奇妙な感覚だった。


「リ……。

 リッキー……。

 嘘!?読める!

 リッキーリードの旧世界開放叙事詩??」


 本の表紙には、はっきりと『リッキーリードの旧世界開放叙事詩』と書かれている。

 読めなかった文字が急に読めるようになった事に全く理解できなかった。

 

 そして本の裏表紙には魔法陣の様な記号の下に

【文字及び言語瞬間学習術式

 クリスさん勉強頑張って。

 天才大魔道士リッキーリード】

 と記載されている。

 

 更にさっき少女が言った言葉も記憶が蘇ると同時に頭に浮かんできた!


『ここはどこですか!?

 リッキー・リード様は?

 私の師匠に伝えないと!!

 国家騎士に襲撃を受けました!!』



 リッキー・リード???

 誰それ??人の名前なの?

 それに国家騎士って何!?

 あなたは一体誰なの?

 一体何が起こっているの!?


 そして周囲が白い光に包まれた。

 私の周りを無数の光が飛び交い通り過ぎていく。

 

 私は恐怖で意識を失いそうになった。


 暫くすると光が止まった。

  


 私は見渡す限り赤土に覆われた荒野に一人いた。



        To Be Continued…




:登場人物:


立花(たちばな) 恋桜奈(れおな)

 身長 175センチ

 17歳

 神戸市内の学校に通う高校2年生


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ