表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宇宙宅配便カンパニー「ミゥ」!  作者: いのそらん
2部
61/94

5ー3 銘々、命名、宇宙船 その4


 舞の爆弾発言により、場が硬直した中、


「あの・・・」

 徹が小さく手をあげる。

 司会である舞が硬直して動かないため、カレンが代わりに徹を指名する。


「SWAN号で・・・」


 カレンから、『ピキッ』って嫌な音が聞こえた。


「よく冗談こけるな、この浮気男がぁ」

 船名のコメントとは関係ない、心の声まで駄々漏れでカレンが徹に牙をむく。徹は、


「浮気!?え、いや、その・・・」

 動揺して、言葉に詰まる。


「聞き捨てならないわね。浮気がなんですって、白状しなさい!」

 舞がマッハで徹に詰め寄り、徹の肩を両手で揺すって問い詰める。舞、復活である。カレンはカレンで、


「こそこそデートしやがって・・・」

 と、唾を飛ばす勢いで、舞と徹に文句を言い始める始末。もう、場は混沌(カオス)である。


「みんな、徹様の話を聞くにゃん!さっきはカタカナで、今度はアルファベットにゃん?何かあるにゃん!」

 そんな時、意外にも、玲華が徹の助けに入った。


 どうして、会話でカタカナと英語の違いがわかるかなんて考えてはいけない。玲華はスーパー諜報員だから、わかるのだ。とにかく、皆が一斉に徹に注目する。


「えと、あの、


Striker Workship@Newage


が、正式名称で、略称SWAN号でどうかなって・・・」


 徹の船名候補『SWAN号』の正式名称を聞いた舞は、キョトンとした顔で、


「意味は?」

 と、尋ねる。徹は恐る恐る、


「Strikerは、地球時代英国の『護衛空母の名前』からもらって、Workshipは、そのまま『任務遂行艦』という意味です。で、@とNewageで『新時代の』となります。Strikerには、『銃火器を撃発する』といった意味もあります。なので、全体で、『新時代の攻撃および護衛任務艦船』といった感じでどうかなと・・・」


 と、説明を加えた。

 舞を始め、カレン、玲華が思案顔で押し黙る。

 みんなの反応を、徹がモジモジしながら待っていると、舞が、


「いいですわね」

 と、同意の言葉を口にした。

 舞の言葉を皮切りに、


「決まりだな」

「カッコいいにゃん!」

 と、他の2人からも賛同の声が続き、無事、宇宙旅客機の名称が決まったのだ。


 名称がきまると、出航まで時間がないため、舞はすぐに宇宙交通局のデータベースに、先程の船名を正式名称と略称で登録をした。それからカンパニー・ミゥの面々は、急いで準備をして宇宙ドックに向かったのだった。


 アレンは、いつも舞が使用しているリムジンと一緒に、先にコロニーエデンに向かってしまったため、この時はミゥの広告宣伝車両とカレンのスポーツカーに別れてドックへ向かうことになった。

 誰がどちらに乗るかで、若干揉めたりもしたが、時間最優先でくじ引きとなり、カレンと徹、ミゥ、舞、それに玲華の3人のチームとなった。宇宙ドックに着いた時には、徹は心なしかゲッソリしており、代わりにカレンの機嫌は、ようやく元に戻っていた。


 一度事がスムーズに流れ始めると、基本優秀な社員たちではある。2時間後には、ドックでの出航準備を終え、出航(ドックアウト)の順番を待っていた。


 ミゥも、機体頭部のコックピットのパイロットシートに予定通りコネクタ接続も終え、準備万端で出航を待っていた。

 SWAN号に乗り込んだ、カレン、舞、玲華の3人は客席でシートベルトを付けて、ドックから排出される際とギガスペースライン突入時の初期加速に備えている。


 一方徹は、ミゥの横に立って、ミゥと機体のデータリンクや、インストールされたナビゲータープログラムの最終確認をしていた。


「ミゥ、何か不安や問題はあるかい?」

 徹がミゥに訊くと、


「SWAN号ノ航行ニハ問題ハアリマセン」

 そう返答が戻ってきた。


「には?他に何かあるのかい?」

 再び徹が質問する。


「・・・」

ミゥが沈黙する。徹は、


「いいよ、まだ私たちの順番待ちまでは時間が掛かるよ。言ってごらん」

 と、促す。


「徹サン。先程船名ニ関ワル議題ヲ検討サレテイタトキニ、カレンサンガ、マイサンノ年齢ニ言及サレテイマシタ。舞サントカレンサンは同年齢デハナイノデスカ?ナゼ言及サレルノデスカ?」

 ミゥが首を傾げる。


『言ってごらん』

 とは言ったものの、非常に答えにくい疑問をぶつけられ、徹は答えに窮する。

 コックピットからは、客席にいるカレンと舞は見えなかったが、徹は2人の方を一度見てから、口の前に右手人差し指を立てて、ミゥに、


「その質問は、あの2人には絶対にしちゃダメだよ」

 と、伝えた。

 徹の返答は、ミゥの質問内容に直接返答したものではなかったが、ミゥは、


「ワカリマシタ」

 と、徹と同じように口の前に指を立てた。


 ミゥの最終チェックが終わると、徹は客席に戻り、シートベルトを付けた。リラックスした姿勢を取り、背もたれに身体を預けると、徹は先程のミゥの『内緒のポーズ』を思いだし、思わず笑ってしまった。


 カレンと舞は、一人でニヤニヤしている徹に、少しだけ怪訝そうな視線を向けたが、それと同時に管制官から出航を許可する旨の通信が入ったため、姿勢を正した。


 その後、ミゥは滞りなくなく、出航、ギガスペースラインへの突入を成功させ、SWAN号と本社の4人は、チャイが待つコロニーエデンへ向かったのだった。


5ー3完結。次はコロニーエデン編に突入!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ