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「終わりかよ!?あ、いや、まだあった」
紙を更に捲る。
『冗談です。ちゃんと説明してさしあげます。まず、目の前にあざらしがいると思いますがその子はヒロミさんと相性の良さそうなあざらし型の魔物を探し、私直々にヒロミさんと契約してもらうようお願いしました。一応嫌なら断って構わないとは言いましたがおそらくすでに気に入られていると思います』
『言語ではない意思疎通が出来ているのならすでにあざらしの方から仮契約を結ばれています。なので【契約魔法】を使って契約してあげてください。まあ契約したいと念じるだけで問題ありません。それと名前もつけてあげてくださいね』
「……お前。俺と契約するのか?」
「きゅい!」
「そうか…なら契約しよう」
そう口にした瞬間、目の前のあざらしと繋がった気がした。目を閉じてもどこにいるかわかるような感覚だ。
「契約、できたか?」
「きゅい」
「なら名前な」
瞳の色がラピスラズリを思い起こす深い濃い青だから…ラピスにする。
「ラピスでいいか? ラピスラズリから取って…」
「きゅい?」
「ラピスラズリとか言われても分からないか。お前の瞳と同じ色合いの幸運の守護石をラピスラズリって言うんだ。そこから取ってラピス。いいか?」
「きゅい!」
喜んでくれたようだ。
「ラピス。これから…って、自己紹介してなかったな。俺はヒロミだ。これからよろしくな」
「きゅいぃ!」
それにしても魔物か…。瞳の色が本当に青なんだよな。黒じゃなく。心無しキラキラしている気がするし。地球のあざらしとはやっぱり違うんだな。
契約と名付けをしたので手紙に視線を戻す。
『その子は魔物ですので進化しない限り姿形は変わりません。好きな生き物についてアンケートを取った時、深層心理を覗いたらクマとあざらしが最も好きな生き物だったのと、海が好きだと言ったこと、そして子供の方が好きと言っていたのでその子をチョイスしました。咽び泣いて喜んでください』
うっざい。うざいが…まあ普通に感謝はしておく。可愛いしな。
『それでは魔物と海人族について軽く説明いたします。まずヘミスフィアに魔力や魔石を持たない生物は存在しません。私からしたら全て同じですが…人型生物にとっての魔物は人型ではない生物を指します。ちなみに地球人のような見た目の普人族からしたら海人族も魔物扱いです。ヒロミさんのような人魚型だけは魔物扱いされませんが。
そして普人族、海人族を含め全ての生物は進化が可能ですが、そのあざらしの姿を変えたくないなら進化させないという選択肢もあります。契約した場合進化の可否は契約者に委ねられますので。許可すればそのあざらしの意思で進化も可能です』
……どうするかな。それはまあ追々だな。
ぺらっと紙を捲る。
『契約したら相手のステータスを閲覧出来ますので後で確認してみてください。
そして海人族ですが、地上で生活している者もいますし、水中に街を作っている者もいます。ちなみにアトランティスという名前ではないのでお気をつけください』
………ちっ。
『日本のように戸籍管理をしているわけではないので旅人と言えば問題ないです。そして普人族の街にも海人族の街にも冒険者という職業があるので、冒険者になりたく遠くの流氷地帯から来た、といえば問題ないです。流氷地帯にはあまり人種はいないので。
そこから南に数日泳げば街が見えてくると思うので頑張ってください。
ふぅ。手が疲れてきました』
ぺらっ。紙を捲る。
『ペンは持ってないんですけどね。魔法で書いているので紙を手に持っているのが疲れました』
こいつ喧嘩売っているのだろうか?
ぺらっ。
『まあそんなわけで説明終了です。あまり説明してしまうと楽しみが減ってしまいますからね。
それとヒロミさんの見た目年齢は20歳くらいにしてあります。後、服装は私が適当に選びました。クジラ型の魔物の皮で作った服ですよ。加護も付けてあるので破れることも汚れることもないです。咽び泣いて喜んでください』
チッ。
ぺらっ。
『本当にこれが最後となります。こうして説明した理由は肉体を作る時に知識も付与しようと思っていたのですが、忘れていました。なので時間がある時に私を信仰する教会に来てください。その際に色々教えてさしあげます。そして、腰にある皮袋は防水、破壊不能、容量無限、時間停止の魔法が付与してあります。中にお金…と言っても海人族は通貨というものがそこまで浸透していないので一定の価値が認められる珊瑚や真珠を詰めておきました。人間の国と交流しているところでは通貨は存在しますので金貨なども少々。それと武器や食料など必要そうな物はある程度入れておいたので当面は困らないと思います。それでは、異世界ライフを是非お楽しみください』
忘れていたとか……まあいいや。腹が立つ部分もあるが…感謝することの方が多いしな。
うん…感謝してるさ。創造神ありがとうな。次あったら名前を聞いておかないとな。
「お待たせ」
「きゅい」
気にしてないよ。ってか?魔物って頭いいんだなあ。
「ステータス見るぞ」
「きゅ」
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⚫︎名 前【ラピス】
⚫︎種 族【海豹族】
⚫︎性 別【メス】
⚫︎年 齢【0歳】
⚫︎犯罪歴【なし】
⚫︎位 階【▼】
⚫︎能力値【▼】
⚫︎能 力【▼】
⚫︎魔 法【▼】
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俺と似たような表示なんだな。
メスなのか。名前つける前に雌雄確認しておけばよかったな。まあラピスって名前ならどちらでもおかしくはない…か?
「お、そしてお前も『0歳』か。お揃いだな」
「きゅ〜」
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⚫︎名 前【ラピス】
⚫︎種 族【海豹族】
⚫︎性 別【メス】
⚫︎年 齢【0歳】
⚫︎犯罪歴【なし】
⚫︎位 階
【下位第7位】
⚫︎能力値
【魔力:H】【体力:E】【筋力:G】
【耐久力:E】【免疫力:F】【敏捷力:E】
⚫︎能 力
【水中呼吸】【遊泳】【寒冷無効】【水圧無効】
【暗視】【幸運】
⚫︎魔 法
【水魔法】【氷魔法】【生魔法】
【海魔法】【音魔法】【契約魔法】
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